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共和国3:邂逅
共和国側も、すでに起きており、準備を進めていた。
「イシリウス班長、進撃準備、調いました」
報告しているのは副班長のカワウだ。
「うむ、ならば進もう」
そうイシリウスがいうと、全員がゆっくりと進みだした。
森の中と言うこともあり、また敵陣が近くということもあってか、誰も何もしゃべらない、沈黙の行軍が続く。
不意にイシリウスの足が止まる。
左右へ展開させ、待機させる。
すると、うしろから帝国側の兵士が歩いてきた。
「…共和国の方々かな」
そのうち、隊長格の男が声をかける。
「いかにも。貴殿の名は」
「わが名はラウスト・エパルーゲン。皇帝直隷騎士団団員である。そなたの名は」
ここでイシリウスは、ラウストの前に姿を見せる。
ただし、武器でラウストをずっと狙っていた。
「我が名はイシリウス・フローゲン。大統領親衛隊副隊長だ。人類である貴殿に、我は倒せまい」
「はて、いつ倒すと申しましたかね」
そう言うと、背中から弓を取り出し、引き絞った。
「危ない!」
叫び声は、両軍から同時に出た。