共和国1:進軍
共和国側は、山賊の砦を抑えられたら大変であることは、すでに承知していた。
だから、帝国と同様のタイミングで、同様の命令を大統領が出した。
「行ってくれるか」
「はい、大統領閣下」
大統領ご自身が直接指示を出しているのは、特命班として組織された、神人を班長とした班である。
返事をしているのは、大統領親衛隊副隊長 神人のイシリウス・フローゲンであった。
彼女は、軍に最初に入隊した。
そこで彼女自身も知らなかった、狙撃の才能が開花する。
そして、狙撃手として教官にもなった。
その後、大統領親衛隊隊長 人類のイシュルゲン・スロトンゲルにヘッドハンティングされ、親衛隊に入隊。
以後は、副隊長として、魔法隊、親衛本隊、後援隊などをまとめ上げている。
そのような彼女が今回特命班の班長として選ばれたのは、ある意味当たり前のことだともいえるだろう。
「部下を好きなように選んでもらって構わないが、人数はできる限り少ない方が好ましいだろう。今回攻めてもらうのは、山賊の砦だ」
「あそこですか」
「ああ、帝国も動き出したようだし、我々も彼らに取られてはならない地点だ。だから、信頼できる部下に行ってもらいたい」
「分かりました、では、風のように進み、地獄の炎のように容赦なく攻撃をします」
共和国の定型句を大統領へ返答し、敬礼をしてから速やかに大統領との会見室から出た。
それから1時間もしないうちに、必要な人員を確保することができた。
副班長として、龍人の大統領親衛隊魔法隊隊長カワウ・マギトシを選任し、班員として、人類のブラウグ・イグニスト、サルード・イグニストの兄妹。ちなみに、サルードが女である。
また、海月のハヤト・ガルバルドンも班員として今回、一緒に進撃をすることとなった。
総勢5名は、招集から5分経たずに集合し、さらに30分ほど準備をしてから進軍を開始した。