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第四話「影の舞」
月明かりに照らされた森の中、風走り隊は静かに進む。
新隊長の小隊は夜戦の訓練を受けていたが、実戦は初めてだ。
影と霧を利用して敵に気付かれずに接近する――風走り隊の基本原則が試される。
「間合いを守れ。光に立つな、音を立てるな」
新隊長の声は低く、隊員たちは無言で動く。
敵の哨戒兵を発見した瞬間、ジャベリンを投げる。
投げた槍は敵の足元に当たり、音と動きで混乱を誘う。
短槍を構え、半歩前に出て突く。すぐに離れて影に隠れる。
拾った槍を再び投げ、森の陰に溶け込む――まさに影の舞だ。
敵が反応して動き出す。だが隊員たちは小隊の動きと間合いを意識し、散開して対応する。
「守れ、離れろ、回収!」
新隊長の指示は簡潔だが、各隊員が判断し、自律的に行動している。
小隊の前進と撤退は、敵の動きに合わせて絶妙に同期する。
ジャベリン投擲、短槍突き、回収、半歩下がる――繰り返される一連の動作は、昼間の戦場とは違う緊張感を生む。
風のように入り、影のように消える。教本に書かれた理想を、そのまま体現していた。
戦闘後、森の奥で新隊長は隊員たちを見渡す。
「今日も生き残った。夜の間合い管理は成功だ」
隊員たちは息を整え、焚き火の周りで小さく頷く。
戦術も判断も、昼間の前線とはまた違う力を試される――だが、それもまた風走り隊の戦いだ。




