第九話:水曜日の朝と、伝説のパンリスト
水曜日の朝、教室に一枚の紙が貼られていた。
「給食パン評価リスト 作成者:匿名」
その紙には、ずらっとこう書いてある。
パンの名前評価(1〜5)コメント
焼きそばパン5神。説明不要。人生変わる。
あんパン4甘さ控えめで推せる。
メロンパン3まあ普通。メロン感はない。
カレーパン2油が重い。後悔する日もある。
コッペパン1これを主食にしたら泣くレベル。
クロワッサン0ただのバターの塊。事故。
誰が作ったのかは不明。
だが、この「伝説のパンリスト」は、わずか数分で教室中の話題をかっさらった。
ミナミはノートにこのリストのコピーを貼り付けながら呟いた。
「……あのさ、このリストって、もしかして“あの人”の……?」
そう、ミナミが思う「“あの人”」とは、もちろん彼である。
彼は教室の隅で、スマホでパンの写真を撮り続けていた。
そして、「伝説のパンリスト」を見て、ニヤリとした。
(やっぱり俺の味覚、間違ってなかったんだ……)
彼は今夜、新しい投稿を考えている。
アカウント名は秘密だが、タイトルは決まっている。
「焼きそばパン愛好会」
オオタくんは、そのリストを真剣に読みながらこうつぶやいた。
「クロワッサンが0点……さすがに可哀想だろ……」
そして、彼はこっそり自分の机の引き出しから、クロワッサン型の消しゴムを取り出した。
「これ、プレゼントしようかな……」
そして、話は教室の後ろ。
ケンタが「焼きそばパン最高!」と叫びながら、
あんパンを頬張っている。
今日の教訓
評価は主観、でもけっこうみんな納得
クロワッサンは、いじられキャラ確定
「伝説のパンリスト」は、日常にちょっとした革命を起こす
ミナミの推理はいつも8割方当たる(でも残り2割が重要)




