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三人称視点  作者: 反町樹
学園物語
8/18

第八話:火曜日の放課後と、張り込み作戦(未遂)

 ミナミは、決めていた。

 「今日こそ、彼に“直接聞く”」

 “あのメモ”が彼の手に渡り、そして返ってきたあの「パンってたまに刺さるよな」の返答――

 どう考えても告白への返事とは思えなかったが、可能性はゼロじゃない。

 ゼロじゃないけど、もはやマイナスに近い。

 (ていうか、「パン」って言った?私、パンじゃないよね?)

 彼女は午後、真剣に考えてしまった。「パン顔」と言われた経験はないが、もしかして新しい隠語か?と。

 一方、彼はと言うと。

 放課後、理科準備室の前でスマホのカメラロールを見ていた。

 パンの写真が7枚あった。

 しかも全部、昨日の焼きそばパンのアングル違い。

 「これ、マジで光の入り方で全然違うんだよな……これとか、もう芸術……」

 そう、彼は今日、パン専用インスタ垢を作った。

 アカウント名:@yaki_love_365

 (※この名前を見たミナミが、後に深く誤解することになる)

 そのころ、オオタくんは、

 ミナミと彼がついに接近すると信じて、図書室で隠密張り込み中だった。

 場所は、カウンター脇の観葉植物の影。

 視界は悪いが、彼には「気配」で察するスキルがある(と思っている)。

 彼の持参したメモ帳には、こう記されていた:

 ---

 《観察メモ:Day8》

 ・二人とも行動に変化なし。

 ・しかしミナミ、鉛筆を2回落とす(=緊張の表れ?)

 ・彼、スマホの画面を見て笑ってた(=彼女からのLINE?違う、パンだった)

 ・あいつ、どこまでパンなんだよ……(※個人的感想)

 ---

 そして、運命の放課後。

 ミナミは、ついに彼の元へ歩み寄った。

 (今度こそ、ちゃんと聞こう。遠回しじゃなくて……)

 深呼吸して、真正面から声をかける。

 「ねえ、昨日の……“好きです”って、どういう意味だったの?」

 彼は振り返って、少しだけ戸惑った。

 「ああ……あれ?」

 そして言った。

 「……なんか、急に食べたくなってさ」

 その瞬間、空気が爆発的に誤解方向にねじれた。

 ミナミ:(……え?急に“私”を食べたくなった???)

 彼:(あ、パンの話してるよね?)

 オオタくん:(気配が一気に変わった……これ、完全に告白返事タイム入ったな……)

 ミナミは、顔を赤くしながら笑った。

 「え、そっ……そんなに……?」

 (いやこれ、言い方やばいって!なに言ってんの!?)

 彼も、微笑み返して言った。

 「うん、昨日のパン、マジで神だった」

 (ほら、オオタのメモ、まじ当たってたわ。あいつ、分かってるな)

 その瞬間、ミナミの思考はまた数秒間フリーズした。

張り込み終了してない

 オオタくんのメモ帳に、でかでかと書かれた。

 >「ついに両想い確定。焼きそばパン=合言葉説、濃厚」

 そしてそのページの下に、さらにこう書かれる。

 >「※だが、彼は少し頭がゆるい可能性あり。検証必要。」

今日の誤解まとめ:

ミナミ:

 →「彼、めちゃくちゃストレートに気持ち言ってくるやん……こわ……」

彼:

 →「パンの話って通じる人、やっぱいいな〜」

オオタくん:

 →「観察は、愛より深い。(←名言っぽいけど意味不明)」

教訓(だれも得してない)

「食べたくなった」は、使う文脈を選ぼう

人をパンにたとえると、わりと重い

オオタくんのメモ帳は、たぶん後世に残ると面倒

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