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三人称視点  作者: 反町樹
学園物語
7/18

第七話:月曜日の午後と、返事のつもりじゃない返事

 5時間目の理科の授業。

 教室の空気はやけにピリついていた。

 原因は、昼休みに飛び出した「好きです」事件である(※パンに対する発言)。

 もちろん彼自身は、そんなこと忘れている。

 今はスライドに映るカエルの消化器官を見て、

 「この図、ちょっとラーメンに見えない?」とか思っていた。すごく平和。

 しかし、ミナミは違った。

 彼の言葉が本気か冗談か、パンなのか自分なのか――その真相を探るため、

 授業中にもかかわらず、机の中で密かに**「返事メモ」**を書いていた。

 >「えっと……もしさっきのが、パンじゃなくて、そういう意味だったら……えーと……私も、わりと……」

 自分で書いておいて、赤面。

 (なにこの乙女文?誰これ?私?)

 ミナミの自意識が一時的に爆発した。

 で、あろうことかそのメモを落とした。

 理科のノートに挟んだつもりが、**つるっ……**と机から床へ。

 そしてその紙は、偶然にも……オオタくんの足元へ。

 オオタくんは見た。

 ミナミの筆跡、そして「わりと……」の文字。

 ……ついに来たな、と。

 (ああ……これはつまり、告白への返事の下書き……!ミナミさん……ちゃんと向き合おうとしてる……!)

 そして彼はそっと紙を拾い、ごく自然な動きで彼の机の上に置いた。

 「……はい、落とし物」

 彼は言った。まるで、ただの親切なクラスメイトかのように。

 でもその内心はこうだ。

 (ついに二人の物語が動き出す……!“返事を渡す橋渡し役”、オオタ、ここに爆誕)

 問題は、この紙を受け取った彼本人である。

 彼は、さっきまでラーメンに見えていたカエルの腸から意識を戻し、

 紙を受け取り、読んだ。

 読んだが。

 (え?……なにこれ……「私もわりと……」?なにが??)

 彼の脳は1.2秒で混乱に陥り、2.5秒で誤解した。

 (……あっ、これ、オオタのメモか)

 そう。彼は、オオタくんが突然「自分も焼きそばパンわりと好きだよ」ってことを伝えてきたんだと思ったのだ。

 それが5秒後に返された言葉:

 「お、わかる。パンってたまに刺さるよな」

 ──当然ミナミは、

 (……今のって、私への返事……?)と、頭を抱えた。

情報の流れ(※間違ってます)

ミナミ:「わたし、もしかして返事書いちゃった……」

オオタ:「彼に渡した。完璧。青春、進行中」

彼:「オオタ、パンの話わかってくれるやつだった」

結果的にこうなった

ミナミ:「多分、フラれた……?」

オオタくん:「おめでとう、カップル誕生!」(勝手に祝ってる)

彼:「あいつ、焼きそば派かと思ったらあんパンもいけるのか〜」

 みんなそれぞれ、自分の答えを手に入れた(つもり)。

 だが現実の答えは、誰も知らない。

今日の教訓

メモは落とすな。

パンと恋は、同じ言葉で語るな。

「私もわりと……」というあいまい表現は、人類にはまだ早かった。

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