4.朝の衝撃
翌朝、僕が目を覚ますと、スマホの着信音が鳴り止まなかった。
「うるさいなあ...」
寝ぼけ眼でスマホを手に取ると、画面には見たことのない数字が踊っていた。
**チャンネル登録者数:284,591人**
え?28万人?
昨夜は15万人だったのに、さらに増えてる。
メール欄を開くと、未読が999+になっている。企業からのコラボオファー、メディアからの取材依頼、他の配信者からのコメント...
「隼人、朝ごはんよ〜」
母さんの声に慌てて飛び起きる。階段を駆け下りながら、まだ現実味が湧かなかった。
「おはよう、隼人。今朝のニュースで...」
母さんがリビングのテレビを指差した。画面には「新時代のダンジョン配信者現る!モンスターとの対話に成功」という文字が躍っている。
そして、昨日の僕とスライムたちの映像が流れていた。
「テレビまで...」
僕は呆然とソファに座り込んだ。
「隼人、有名人ね」
母さんは嬉しそうに笑っているが、僕の頭は混乱していた。
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴る。
「はい、どちら様ですか?」
母さんがインターホンに出ると、画面には見知らぬスーツ姿の男性が映っていた。
「桜庭隼人さんはいらっしゃいますか?株式会社メディアストリームの田中と申します。昨日の配信を拝見させていただき、ぜひお話を...」
「すみません、まだ準備ができていないので」
母さんが丁重にお断りすると、男性は名刺を置いて帰っていった。
「隼人、大変なことになったのね」
「うん...でも僕、何をすればいいのか分からないよ」
その時、スマホにメッセージが届いた。送り主は「星野美桜」。
『おはようございます!昨日はありがとうございました。もしよろしければ、今度ゆっくりお話しませんか?配信のこと、色々相談したいんです。お時間のある時で構いませんので...』
美桜さんからのメッセージに、少し心が落ち着いた。
『こちらこそ、昨日はお疲れ様でした。お話、ぜひお願いします』
返信すると、すぐに返事が来た。
『ありがとうございます!それと...隼人さんのチャンネル、登録させていただきました。これからも応援しています♪』
人気配信者から応援されるなんて、夢みたいだ。