ギャルの山崎さん
山崎さんはギャルだ。
もちろん髪は染めてるし、学校でもメイク、ネイルは当たり前。制服も着崩していて、地味な私とは正反対で正直あまり関わりたくない部類の女子だ。
「山崎!メイクはするなと昨日も言っただろ!」
「先生スクールメイクって知らないんですかー?」
教室移動中、今日も先生の怒鳴り声が廊下に響いている。
と思ったら山崎さんが逃げながらこっちに向かってきている。そのとき
「あ」
ガチャン
向かってきた山崎さんと腕がぶつかって、持っていた教科書や筆箱を落としてしまった。
「あっごめんね!」
山崎さんはすぐに謝り落としたものを拾ってくれたが筆箱につけていたイルカのキーホルダーが落とした衝撃で壊れてしまっていた。
「うわほんとごめん壊しちゃった」
「いえ全然大丈夫です、安いものだし」
「山崎ー!!どこいったー!」
「やっば…ごめんね絶対後で返すから」
そういうと山崎さんはまた走っていってしまった。
次の日の朝、登校中にふと昨日のことを思い出した。
あんなふうに言っていたが山崎さんはどうやって壊れてしまったキーホルダーを返すつもりなんだろうか。昔小さなクレーンで取ったものだから見つからないだろうし別に帰ってこなくても良いのだけれど。
そんなことをぼんやりと考えながら教室に向かっていると、教室の入り口に人が立っていた。明るい髪に短いスカート、山崎さんだ。
「あっ!いた!」
山崎さんはこっち見るなり物凄い勢いで近づいてきた。周りの視線が集まるから勘弁してくれと思っていると。
「これ、昨日私のせいでキーホルダー壊れちゃったでしょ、だから代わりにはならないけどお詫びしたくて」
渡されたのは私がつけていたものと似たイルカのキーホルダーだった。
私が突然のことで驚き固まってしまっていると山崎さんは表情を曇らせてこう言った
「本当は同じ物を返そうと思ったんだけど見つからなくて、本当にごめん」
「い、いえ!全然嬉しいです、ありがとうございます」
私がそう言うと山崎さんは、よかったと言いホッとした表情になった。
ちなみに、なぜ面識がないのにクラスが分かったのか聞くと、友達づてで私のことを特定したらしい。流石ギャル、恐ろしいと思ったがそれよりもいつも先生から怒鳴られているギャルの山崎さんが、にこやかに話す様子に驚いた。なぜならあの近寄りがたい雰囲気が全く感じられなかったからだ。今まで山崎さんにはあまり良いイメージを持っていないどころか怖いイメージが強かったが、こう見ると実は普通に良い人なのかもしれないと思う。山﨑さんの話を聞きながら人は見た目だけでは無いのかなと考えていると後ろから怒号が聞こえてきた
「くぉら山﨑ィ!スカートが短いと昨日も言っただろう!」
「うわ先生だ!あ、名前は?」
「え?田中です」
「じゃなくて下の名前!」
「ゆ、由衣です」
「由衣ちゃんね!じゃまた!」
そういうとあっという間に山﨑さんは昨日と同じように走っていってしまった。
またと言われても話す機会はもう無いだろうがもしまた先生から追われているのを見かけたら少し匿ってあげてもいいかな、と思った。




