焼き餃子の翼
ちょっとテンションあがりますよね。
もしも翼がはえるなら 背中からじゃなくて
両腕を失った肩からだって知ったぼくは
空を飛ぶのがこわくなった
両腕を失って手を繋げなくなったぼくたちは
散り散りになって 思い想いの空をめざして
飛び去っていくのだろう
両腕を失った代償に手に入れた翼が
別れをもたらすものならば
ぼくはそんなものいらない
ぼくがほしいのは焼き餃子のような翼だ
ひとつひとつの焼き餃子からはえた羽根が
餃子どうし みんなを繋げて
ひとつの翼を織り成す
それでも やがて 箸に裂かれて
順番に別れは訪れるのだろうし
翼から羽根を一枚ずつ散らすように
離れていくことになるのだろうけど
みんなを繋ぐ翼でいっしょに飛べたことを
焼き餃子たちは決して忘れはしないはずだ
ぼくから ぼくたちからはえるのが
焼き餃子のような翼だったら
ぼくも空を飛ぶことをおそれなどしないだろうに
食べるぶんには、べつになくてもいいかもしれませんけど。










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