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論破

作者: 木こる

「……はい、皆さんが静かになるまで3分かかりました

 生徒の数は30名なので、合計で90分を無駄にしたことになります

 1時間半……この時間で、一体どれだけのことを学べたでしょうね」



「先生、その計算は正しくありません」


「どういうことですか?

 聞かせてもらいましょう」


「先生も含めて31人……つまり、無駄になった時間は93分です」


「なるほど、言い得て妙ですね

 ですが、約90分が無駄になったことには変わりありません

 皆さんはもう少し、時間の大切さを心に留めるべきです」



「先生、無駄な時間なんてないと思います」


「興味深い意見ですね

 聞かせてもらいましょう」


「僕たちはこの3分間、クラスメイトと他愛無い会話を交わし合い、

 お互いの友情を高め合っていたのです

 それは人生において最も尊い宝……青春の1ページだとは思いませんか?」


「思いますが、それは休み時間と放課後にやってください

 今は授業中なんですよ 私との信頼関係を大切にしていただきたい」



「先生、すいませんでした」


「え、はい

 ちゃんと謝れて偉いと思います

 正直どう反応していいのか迷いました」



「先生、一番時間を無駄にしたのは先生自身なんじゃありませんか?」


「聞かせてもらいましょう」


「3分前に先生が教室を静かにしていれば、

 合計93分の損失は発生しなかったはずです」


「確かに」

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