閉会式と次にやること
よろしくお願いします。
春夏と別れた後、俺はミーシャさんの部屋から防衛部隊の限られた人しか入れない観戦ルームで仕合を見ていた。こんないいところで見れるなんてラッキーだ。というかよくよく考えたらセラを除いた俺たち全員はクラスレベル5なので昨日もここに来ればよかった。
セラは何故か普通に入って来た。ミーシャさんがバレなきゃいい理論で通したのだろう。
今日は十代の部なので昨日よりも迫力のある試合が繰り広げられた。ぶっちゃけ滅茶苦茶楽しい。こっちの観戦席でもみんな試合に熱狂している。防衛部隊のかなり上の階級を持っている人や、高そうな宝石を付けている人も試合が終われば拍手をして、声援を送っている。
やはり勝負の楽しさはどんな人にも共通しているのだろう。
この日以降は大過なく、最後まで武闘会を楽しんだ。
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そして、大会の最終日になった。無差別級の決勝戦が午前に行われ、午後からは閉会式になる。
防衛隊員が参加しだす20代以降のトーナメントが一番盛り上がっていた。隊長の地位にいる人が出た時は会場も熱狂に包まれていた。
俺は真白、針理、セラ、一真、愛理の五人で会場外のステージの前に集まっていた。今はちょうどお昼時で、このステージでイベントが行われる。俺たちは最前列に陣取っている。
一真がそわそわしながら待っている。
「なあ霧刃。ほ、本当に神楽中佐が声かけてくれるんだよな?噓じゃないよな?」
この質問ももう何十回も聞いた。
俺は昨日のことを思い出す。
昨日の内にお父さんに一真のことを頼んでおいた。
「最前列に俺と一緒にいる友達の二人にサインをしてあげて欲しい。」
「わかった。霧刃の頼み事するなんて珍しいからな。お父さんに任せておけ。」
お父さんは快諾してくれた。お姉ちゃんは武闘会の間は学校の友達と一緒にいたらしい。
「私も友達付き合いがあるのよ。あーあー、霧刃みたいに私も素直に試合見たかったなー。」
なんか外の出店で買い物ばかりしていたらしく、試合を見たのはほんのちょっとだけだったらしい。さすがに可哀そうだと思ったが俺にはどうすることもできなかった。
俺は昨日のやり取りを思い出していると、イベントが始まった。
「お待たせいたしました!武闘会最終日の特別イベント!良い子のみんなの為にすごい人が駆けつけてくれました。この都市のヒーロー!神楽章斗さんです!」
司会の男の人がそう言うと舞台裏からお父さんが出てくる。
周りの観客はみんな立ち上がって「きゃああああ!!」という黄色い歓声が聞こえてくる。お父さんは笑顔で手を振りかえしている。一真と愛理もいつの間にか立ち上がって叫んでいた。
(愛理は前に一真のことを重度のファンとか馬鹿にしてなかったか?)
俺は一真と全く同じ憧れの視線を送っている愛理を不思議そうに見る。
とりあえず俺も拍手を送っておいた。
「はじめまして。先ほど紹介にあずかりました、神楽章斗です。本日はよろしくお願いします。」
そして、お父さんのトークショーが始まった。
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「────はい。神楽中佐ありがとうございました。ここからはみんなからの質問に神楽中佐が答えてくれます。質問がある人は手を挙げてアピールしてください!ただし、時間の関係で5人までとさせてもらいまーす!」
周りの子供は全員、その親も半分以上手を挙げている。「「はいはいはいはい!!」」というすごい声が周りから聞こえてくる。というか右隣に座っている一真と愛理も凄い形相で手を挙げいた。
お父さんの方を見ると誰を指名すればいいか迷っていた。俺は横にいる一真を指さす。お父さんがそれを見て小さく頷く。
「それじゃあ、そこの一番前の青い服を着た男の子。」
お父さんが一真を指名してステージまで上がってくるように手招きをする。
「ぅぉぉぉ!霧刃ありがとう!!」
一真は小声でお礼を言ってステージに上がっていく。
滅茶苦茶緊張しているようで、カチコチになっていた。
「まずは、名前を教えてもらっていいですか?」
司会の人にマイクを渡されて一真が話し始める。
「さ、さい、斉藤一真ですっ!」
司会の人が自分のマイクを使って進行していく。
「一真くんは神楽中佐に何が聞きたいのかな?」
一真は下をちらちら見ながら用意しておいた質問をする。
「す、好きな武器はなんですか?」
お父さんはその質問に笑顔で答える。
「一番好きな武器はやはり刀ですね。私の刀はレガシィなので、刃こぼれもなくて使いやすいです。私のギフトとも相性がいいですし、刀は一番使い慣れていますしね。」
会場から拍手が巻き起こる。
「はい。ありがとうございました。それでは神楽中佐にサインと握手をもらってください。」
司会がそう言うと周りから「えーいいなー。」「羨ましい…」「次は俺が…」と、ぶつぶつ言っている。
一真がお父さんと握手をして嬉しそうな顔をしながら戻ってくる。
「霧刃ありがとう!間違いなく人生で最高の日だよ!」
お父さんのサインが入った色紙を持って幸せそうにしている。喜んでくれたのなら何よりだ。
そして、次の指名が始まる。愛理がすごい勢いで手を挙げているので、今度は一真を通り越して愛理を指さす。
「それじゃあ、そこの白とピンクの服を着た女の子。」
「きゃあああ!霧刃くんありがとう!」
愛理が小声でお礼を言ってからステージに上っていく。
「まずは、名前を教えてもらっていいですか?」
愛理が緊張しながら名前を言う。
「い、石川愛理です。」
「愛理ちゃんは神楽中佐に何が聞きたいのかな?」
愛理が顔を赤くしながら質問をする。
「どんな人が、す、好き、ですか?」
お父さんは困ったような顔をしながら答える。
「そうですね。私は努力している人が大好きです。何をするにもまずは努力を始めるところがスタートラインです。そこに立てればあとは方向性を決めるだけです。ですが、みなさんはそれを自分一人で考えなくていいんです。みなさんの周りには親御さんや学校の先生といった頼れる大人がたくさんいます。大人を頼り、そして自分の道を切り開いていってください。」
お父さんがそう締めくくると「「うおおおおおお!」」という歓声が上がる。好きな人の話し最初で終わってるじゃんと思ったが、そこからこの結論に持ってこれるのは経験がなせる技なのだろう。
愛理はお父さんのサインをもらって握手をしてもらい、帰ってくる。
「ありがとう霧刃くん!最高の一日だわ!」
その笑顔を見て一真が愛理と喜びを分かち合う。
「な!よかったな!!」
「ええ!よかったわ!」
俺はお父さんにお願いしただけなのだが、喜んでくれてよかった。
お父さんには2人だけって話してあるのでサムズアップをして頷いておいた。お父さんも頷いてくれたのでもう合図を送る必要はないだろう。
その後のいくつかの質問がされ、トークショーは無事に終わった。
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閉会式を見る為に俺たちは訓練施設の観戦ルームに来ていた。今日は一真と愛理も一緒だ。
「皆様大変お待たせいたしました。只今より第51回高山都市武闘会の閉会式を始めます。」
アナウンスが流れて、各階級の優勝者におばあちゃんがメダルを渡していく。全体は金色で、中央にはカットした魔石がはめ込まれている。
知っている人は悲しいことに柊しかいなかった。
俺はおばあちゃんの閉会の言葉を聞いて外に出た。みんなで見る試合はすごく楽しかった。来年も絶対行くと心に決めた。
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武闘会が終わって学校もとっくに年末の休みになる。
俺たちは自分の家でゆっくりしていた。
だが、俺にはやらなければいけないことがあった。
俺はセラと春夏を連れて外に行かなければいけないのだ。その過程で問題になったのが、セラ全然戦えない問題だった。本人曰く「うちにとって武器は作るものであって使うものじゃないの。」らしい。何故それで外に行こうと思ったのかこれがわからない。
俺はセラの安全を確保したうえで探索できるところを探す。だが、そんな都合がいい場所は中々見つからない。
「しょうがないな…外に出て自分で探すか。」
俺がそう言うと動物の動画を見ていた二人がこっちを向く。
「外行く?」
「うん。さすがに下見しておかないとヤバそう。」
俺がそう言うと二人とも外に行く準備をする。服は戦闘服に着替えてマントを羽織る。武器を装備して、真白を背負って準備を完了する。
「じゃあ行こうか。」
「行く。」
俺たちは外に出る為に都市のゲートを目指した。
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「はい次の人どうぞ。」
俺は受付の人のところに歩いていく。
「近藤さん、こんにちは。」
「霧刃くん珍しいね。いつもは週末に来るのに何かあったのかい?」
この人は都市の外出受付の近藤さんだ。週末に擬人之塔に帰る度に会っているので、すっかり顔見知りになってしまった。
「地形についてちょっと調べたいことがあって。」
今度セラと春夏を連れていく為に調べるのだから嘘は言っていない。
「相変わらず外への興味は尽きないか。しかし会ったばかりの時は毎週外に行く度に死ぬんじゃないかとひやひやしたよ。今じゃそれもいらない心配だったけどね。はい許可を出したよ。気を付けてね。」
外出の許可データをもらって近藤さんにお礼を言う。
「ありがとうございます。行ってきます。」
俺に続いて針理もお礼を言う。
「ありがとうございます。」
俺たちは三重ゲートの脇にある通路を歩いて外に出る。
外は寒く、冷たい風が吹いていた。戦闘用ゴーグルを着けて地形データを再スキャンする。地形は最後に出た時に比べて大して変わっていなかった。
俺たちは近場で探索のし甲斐があって危険度が低いという三拍子そろった場所を探し始めた。
読んでいただきありがとうございました。
なんな面白いことはもう起きそうになかったので武闘会は端折りました。すんません。




