油断
よろしくお願いします。
俺は素早く結界を作ってやれやれ隊を閉じ込める。
「やれやれ、俺に同じ手は効かないんだよ!」
柊が右手を挙げるとそこに氷が作られていく。氷は槍のような形になり、結界に向かって発射される。
「お前ら後ろに居ろ。俺が殺してやるよ。異形種。」
俺を本気で殺すつもりなら、こいつはリンクを集中攻撃してくるだろう。仮想戦闘中は絶対に殺すことができないからだ。
俺はどうすればいいかを考える。
こっちには針理と真白がいるが、装備と能力の制限によって十分に力を発揮することができない。そして入り口が押さえられている。
時之番人を使えば針理だけは逃げられるが、こんなところでは使わないだろう。
それに、俺のせいで一真と愛理を巻き込んでしまっている。
(時間が無い…どうする?)
「ああ、そいえば仮想戦闘中だったのか。やれやれ、こんなお遊びなんてする必要ないよ。俺の力で消してあげる。」
そう言うと突如仮想戦闘が強制終了される。
「なんだそれ…!」
俺が焦っていると一真と愛理が話しかけてくる。
「霧刃、俺たちに任せてくれないか?」
「私も鍛えてもらって強くなったのよ?」
(そうゆうことか。)
俺は一真と愛理のギフトを思い出す。この二人が力を合わせれば、ここを切り抜けることができるかもしれない。
「二人とも頼む!」
二人は俺の前に出てギフトを発動させる。
「任せろ!」
「任せて!」
愛理の周りに黒い煙が立ち上る。そして、その煙がどんどん広がっていく。
「おい、お前ら何してる!俺の邪魔するな!なんだこのキモい粉は!」
柊が叫んでいるが一真と愛理は無視してギフトを使い続ける。
「いいわよ!」
「わかった!」
次に一真の前方に渦を巻くような風が出現し、黒煙を絡め捕っていく。
愛理のギフトは”黒炎燐”という発火性が高い粉を作り出す能力だ。敵に使って銃で起爆させたり、あらかじめ地面に設置してトラップとしても使える。戦闘においては幅広い使い方ができる。だが、ここまでの量を一度に作るのは初めてだ。
そして、一真のギフトは”旋風”という風を操るギフトだ。自分の後ろから追い風を出して早く動いたり、突風を起こして敵の態勢を崩したりといろいろできる。
ゴオオッという風が吹き荒れて巨大な黒い竜巻が出現する。
「霧刃!撃って!」
一真が振り返ってそう叫ぶ。何を撃つのかは聞かなくてもわかった。
「了解!」
俺はアリアを抜いて竜巻に向かって魔力弾を撃ち込む。
ドオオオオンッ!!というおおきな爆発音とともに黒炎燐が発火し、煙が訓練室に充満する。
「「「うわあああああ!!」」」
「キャアアアアア!!」
男の悲鳴が三人分を、女の悲鳴が一人分聞こえてくる。
「チッ!」
今のは春夏の舌打ちだろうか。だが、今は我慢してもらうしかない。
俺はアリアをホルスターに収めて、入口に向けてダッシュする。
「全員行くぞ!」
「「「了解。」」」
煙の中に全員で突撃し、やれやれ隊の合間を縫って訓練室を抜けていく。
「あっこら待て!」
「殺すぞクソが!」
「この俺に勝てないからって逃げるな!」
「マジでなんも見えない!はじめくん助けて!」
「はじめくんこわーい!」
敵が混乱している内に俺たちは訓練室から脱出した。
訓練室を出るとサイレンが鳴ってスプリンクラーが起動していた。
「火災が発生しました。火災が発生しました。訓練室から火災発生。直ちに避難してください。繰り返します。火災発生──────」
俺はそのサイレンを聞いて焦る。
「しまったさっきのやつのせいか!みんな走って逃げるぞ!」
俺は振り返って4人に指示を飛ばす。全員走り出して校舎の外を目指す。
一真が走りながら話しかけてくる。
「わかった。でも、どこに行く?」
「とりあえず俺の家に行く。あそこなら安全だ。あのアホ達も追ってこれないだろう。」
俺達は俺の家に行くことにした。
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