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魂まで喰らいつくして  作者: 小土 反り
都市の暮らし
46/66

油断

よろしくお願いします。

 俺は素早く結界を作ってやれやれ隊を閉じ込める。


「やれやれ、俺に同じ手は効かないんだよ!」


 柊が右手を挙げるとそこに氷が作られていく。氷は槍のような形になり、結界に向かって発射される。


「お前ら後ろに居ろ。俺が殺してやるよ。異形種。」


 俺を本気で殺すつもりなら、こいつはリンクを集中攻撃してくるだろう。仮想戦闘中は絶対に殺すことができないからだ。


 俺はどうすればいいかを考える。


 こっちには針理と真白がいるが、装備と能力の制限によって十分に力を発揮することができない。そして入り口が押さえられている。


 時之番人を使えば針理だけは逃げられるが、こんなところでは使わないだろう。


 それに、俺のせいで一真と愛理を巻き込んでしまっている。


(時間が無い…どうする?)


「ああ、そいえば仮想戦闘中だったのか。やれやれ、こんなお遊びなんてする必要ないよ。俺の力で消してあげる。」


 そう言うと突如仮想戦闘が強制終了される。


「なんだそれ…!」


 俺が焦っていると一真と愛理が話しかけてくる。


「霧刃、俺たちに任せてくれないか?」


「私も鍛えてもらって強くなったのよ?」


(そうゆうことか。)


 俺は一真と愛理のギフトを思い出す。この二人が力を合わせれば、ここを切り抜けることができるかもしれない。


「二人とも頼む!」


 二人は俺の前に出てギフトを発動させる。


「任せろ!」


「任せて!」


 愛理の周りに黒い煙が立ち上る。そして、その煙がどんどん広がっていく。


「おい、お前ら何してる!俺の邪魔するな!なんだこのキモい粉は!」


 柊が叫んでいるが一真と愛理は無視してギフトを使い続ける。


「いいわよ!」


「わかった!」


 次に一真の前方に渦を巻くような風が出現し、黒煙を絡め捕っていく。


 愛理のギフトは”黒炎燐”という発火性が高い粉を作り出す能力だ。敵に使って銃で起爆させたり、あらかじめ地面に設置してトラップとしても使える。戦闘においては幅広い使い方ができる。だが、ここまでの量を一度に作るのは初めてだ。


 そして、一真のギフトは”旋風”という風を操るギフトだ。自分の後ろから追い風を出して早く動いたり、突風を起こして敵の態勢を崩したりといろいろできる。


 ゴオオッという風が吹き荒れて巨大な黒い竜巻が出現する。


「霧刃!撃って!」


 一真が振り返ってそう叫ぶ。何を撃つのかは聞かなくてもわかった。


「了解!」


 俺はアリアを抜いて竜巻に向かって魔力弾を撃ち込む。


 ドオオオオンッ!!というおおきな爆発音とともに黒炎燐が発火し、煙が訓練室に充満する。


「「「うわあああああ!!」」」


「キャアアアアア!!」


 男の悲鳴が三人分を、女の悲鳴が一人分聞こえてくる。


「チッ!」


 今のは春夏の舌打ちだろうか。だが、今は我慢してもらうしかない。


 俺はアリアをホルスターに収めて、入口に向けてダッシュする。


「全員行くぞ!」


「「「了解。」」」


 煙の中に全員で突撃し、やれやれ隊の合間を縫って訓練室を抜けていく。


「あっこら待て!」


「殺すぞクソが!」


「この俺に勝てないからって逃げるな!」


「マジでなんも見えない!はじめくん助けて!」


「はじめくんこわーい!」


 敵が混乱している内に俺たちは訓練室から脱出した。


 訓練室を出るとサイレンが鳴ってスプリンクラーが起動していた。


「火災が発生しました。火災が発生しました。訓練室から火災発生。直ちに避難してください。繰り返します。火災発生──────」


 俺はそのサイレンを聞いて焦る。


「しまったさっきのやつのせいか!みんな走って逃げるぞ!」


 俺は振り返って4人に指示を飛ばす。全員走り出して校舎の外を目指す。


 一真が走りながら話しかけてくる。


「わかった。でも、どこに行く?」


「とりあえず俺の家に行く。あそこなら安全だ。あのアホ達も追ってこれないだろう。」


 俺達は俺の家に行くことにした。




読んでいただきありがとうございました。

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