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魂まで喰らいつくして  作者: 小土 反り
都市の暮らし
40/66

団らん

よろしくお願いします。

「ただいま。」


 俺が家に帰ってくると見たことある靴が玄関に置いてある。


「霧刃、どうかした?」


 後ろから針理が聞いてくる。それに答えるよりもよりも前に家の中から声がかかる。


「おかえりなさい。遅かったね。」


 そう言って顔を見せたのはおばあちゃんだった。


「おばあちゃん!!」


 俺はそう叫ぶとおばあちゃんに抱き着いた。


「元気になったねぇ。おかえりなさい。」


「ただいまおばあちゃん。俺、強くなったよ。外でも生きていけるくらい強くなったんだ。」


 おばあちゃんに言いたいことがたくさんあった。


「ただいま。おお、ちょうどみんないるな。どうだ、今日は外食でもしないか?」


 俺が話そうとしたときちょうどお父さんも帰って来た。俺とお姉ちゃんとおばあちゃんはお父さんの方を見る。


「「お父さん、おかえり。」」


「おかえりなさい。今日は早かったね。」


「今日は霧刃が帰ってきてくれた日だからな。早めにあがらせてもらったんだ。さ、みんなリビングに行こう。」


 俺達はリビングのテーブルを囲んで座る。時計回りにおばあちゃん、俺(膝の上に真白)、針理、お姉ちゃん、お父さんの順番で座った。


 俺は外で何があったのか口止めされている部分以外全部みんなに話した。初日にどうやって真白と出会ったのか、今までどうやって暮らしていたのか。俺が擬人之塔で暮らしていたことも場所をぼかして話した。


「そうだったの。真白ちゃんと針理ちゃん。霧刃くんを守ってくれてありがとうね。」


 おばあちゃんが真白と針理にお礼を言う。それにお父さんも続く。


「俺からも父親としてお礼を言わせてくれ。霧刃を助けてくれて本当にありがとう。」


 二人のお礼に針理が慌てる。


「私達も、霧刃に助けてもらいました。お互い様、です。」


 真白もそれに頷いている。


「そう言ってもらえると助かるよ。何かあったらすぐに言ってくれ。俺ができる範囲で力になるよ。」


 お父さんのその言葉を聞いて針理が笑いだす。


「力になる…ふふっ。笑ってごめんなさい。以前霧刃に、同じことを言われました。親子ですね。」


 そう言ってこっちを見てくる。


「親子、か。最高の誉め言葉だよ。ありがとう。」


 お父さんとおばあちゃんも笑っている。とても心地いい時間だ。


 そんな中お姉ちゃんが質問してくる。


「ねぇお父さん、霧刃も学校行くんでしょ。私霧刃のギフト知りたい。あっ私のは爆炎よ。」


 お父さんはなんて答えればいいか迷っている。その横からおばあちゃんが話し出す。


「霧刃くんはいくつかのギフトが使えるみたいよ。真白ちゃんは変身と何かしら?針理ちゃんはよく見えないね。」


「!?」


 おばあちゃんがそんなことを言い出す。


「なんでわかったの?」


 俺はおばあちゃんにおそるおそる聞いてみる。おばあちゃんは優しく話し出す。


「私の”鑑定”のギフトのおかげよ。相手がどんなギフトを持っているのか大雑把にだけど見えるのよ。相手によっては全く見えないこともあるけどね。」


(なんだそのでたらめなギフトは?)


 俺ははっとして気付いたことを聞く。


「なら病院に居た時には俺のギフトをもう知ってたの?」


「ええそうよ。ギフトを複数使える能力でしょ。でも霧刃くんが動けなかったから都市の人に教えても、掛け合ってもらえなかったけどね。だから真白ちゃん、霧刃くんの体を治してくれてありがとうね。」


(そうだったのか…)


 おばあちゃんはおばあちゃんで俺の知らないところでいろいろ動いくれていたようだ。


 俺は自分のギフトを都市の人達に知ってもらっていた。でも、動けないデメリットの方が大きいと判断されて捨てられたんだろう。さっきのおばあちゃんの言葉からすると、魂喰が俺の体を治したことは知らないようだ。


(鑑定で分かるのは能力の一部分だけってことか。)


「へぇー二人はそんなギフトなんだ。針理ちゃんはどんなギフトなの?」


 お姉ちゃんが更に食い下がる。


「言えない。私のギフトは、霧刃以外には教えない。そう決めてる。ごめんね。」


 これは針理が絶対に譲らなかった。綾女と透蜜に対しても最後まで言わなかったのだ。ここでも言わないだろう。


「そっか…」


 お姉ちゃんが残念そうな顔をしている。あまりいい返事がもらえなかったからだろう。


 俺はお姉ちゃんを差し置いてお父さんに質問する。


「お父さん、ギフトってそんなに人に言いふらすものなの?」


「いや、本当はあまり言わない方が良いんだ。でも、最近の子は自分のギフトの強さを誇示したがる傾向が強くてな。そのせいで学校でも少し問題になってるらしい。」


 さっきも思ったがどうやら学校は楽しい場所ではないようだ。俺たちは自分のギフトのことを絶対に人に言う訳にはいかない。そうなれば他の子供からどう見られるのか深く考えなくてもわかる。


 俺の表情を見てお父さんとお姉ちゃんが慰めてくれる。


「絶対友達もできるからそんなに悲観することないぞ。学校は楽しいこともちゃんとあるから。」


「そうよ。気が合う人の一人や二人すぐ見つかるわよ。」


 俺には真白と針理がいるから別に友達はもういらないのだが、言わないことにしておいた。


「ありがとう。」


「じゃあ、そろそろどこかに食べに行こうか。」


 そう言ってお父さんが立ち上がる。


「どこ行くの?」


「さっきも言ったろ。外食だよ。」


(だからなんだよガイショクって…)


 そんな言葉は今まで聞いたことがない。俺がガイショクを知らないのを察したのか針理が教えてくれた。


「外のお店で、ご飯食べること。おいしいの食べれるよ。」


「そうなんだ…初めて知った。」


 俺の言葉に全員が押し黙る。お父さんが申し訳なさそうな声で謝ってくる。


「そうだよな。霧刃はずっと病室と外にいたから知らないよな。ごめんな。」


「別に謝らなくていいよ。おいしいものなら一杯食べてたし。ね、真白。」


 俺は腕の中に居る真白に話しかける。真白が頷いてくれる。外での日々は命がけだったが、とても自由で楽しかった。それに綾女たちの料理も絶品だった。


 お姉ちゃんが外に居た時の事を聞いてくる。


「外ではどんなの食べてたの?」


「どんなのって…猪とか、鳥とか、魚とか?」


 熊を食べたのは擬人之塔に行った後で、綾女が熊鍋にして出してくれた。あれもおいしかった。


「楽しそう。」


「命がけだからね。真白と二人きりだったけど楽しかったよ。」


 俺が昔のことを思い出しているとおばあちゃんが立ち上がる。


「さあさ、話もそれくらいにして行こうかね。真白ちゃんは霧刃くんが抱きかかえていけば問題ないだろうさ。少ししたら真白ちゃんも生きやすいようになるから、もうちょっとだけ我慢してね。」


「わかった。真白、行こう。」


 俺達は外食しに家を出た。


─────────────────────────


 車に乗って家を出て、とある店に到着する。


 車を降りて店の中に入っていく。赤を基調とした店内には俺達の他にも人が何人か来ていた。


「予約していた神楽です。はい。6人です。」


 店の人とお父さんが何かを話している。その間もキッチンの方から肉が焼けるいい匂いが漂ってくる。


「懐かしい感じ。」


「針理は外食したことあるの?」


 針理が首を横に振る。


「ないよ。でもこういう映像、昔はたくさんあった。」


 昔とは一体どれくらい前のことなんだろうか。針理のことはまだ謎が多い。せっかくだし今夜聞いてみよう。


「今夜針理の昔のこと教えてもらってもいい?」


「いいよ。」


 あっさりと了承された。もしかしたら針理は昔のことを聞いてくるのをずっと待っていたのかもしれない。


 そんなことを話してると俺達はテーブルに案内されて席に着く。テーブルの上には何もないが一体どうすればいいのだろうか。俺がおどおどしているとお父さん達が慣れた手つきで机に触れて自分のリンクと接続する。俺達もそれを真似する。すると電子モニターに様々な料理が映し出される。


「おお、すごい。」


 針理も驚いている。


「ね。今こんな感じなんだ。」


 料理に触れるとそれが立体になって飛び出してくる。面白いシステムだ。


「決まったか?」


 お父さんが聞いてくる。俺はどれを食べようかと端から端まで料理を見ていく。その中にステーキがあった。


「真白はステーキ?」


 右隣に居る真白にそう聞くと頷いてくれる。


「じゃあ、ミニ俺かつ丼が食べたい。後で交換しよ。」


「私は天ぷら定食で。霧刃、私とも交換して。」


 左隣に居る針理が服を引っ張って聞いてくる。


「いいよ。三人で少しずつ交換しようか。」


 それを見てお姉ちゃんが口を開く。


「ねぇ、私もその中に入りたいんだけど、いい?」


「いいよ。」


 特に拒む理由もないので快諾した。いろんな料理が食べれるならその方が楽しそうだ。


「本当!ありがとう!私、お子様ランチがいいわ。」


「じゃあお父さんはかつ丼の大にするか。」


「私は山菜天ぷら定食でお願いね。」


 お父さんが電子モニターを操作していく。全ての操作を終わったのか電子モニターをしまう。俺達もしまった。


「来るまで少し時間かかるから待っててくれ。」


「わかった。」


 時間ができてしまった。何をすればいいのかわからない。お姉ちゃんの方を見るとリンクから電子モニターを出してなにかしていた。自由にしていていいようだ。


「作戦会議するか。」


 真白が頷いて針理も賛同してくれる。


「異議なし。議題は、テクノの戦闘型?」


「そう。最後のあのタックル、針理から見てどうだった?」


 俺の視点では急に繰り出されて回避不可能な攻撃だった。だだ、それは俺がテクノと近距離で正面から向き合っていたからだ。あの時針理は距離を取って中距離で撃ち合っていた。何か別のことが見えていたかもしれない。


「うーん…私からは、そんなにきつい攻撃には、見えなかった。多分、攻撃の流れのせい。」


「攻撃の流れ…そうか。あのタックルの前に俺は距離を開けられて焦ってその距離を詰めた。その反応を見て相手が攻撃の仕方を変えたのか。」


「そう。霧刃は撃ち合いに弱い。もっと鍛える。」


「待て待て。霧刃達は何を話しているんだ?」


 俺たちの会話にお父さんが割って入る。俺はお父さんの方をじーっと見る。


「どうかしたか?」


 俺は一体何をやっていたのか。強くなりたいなら強い人に聞くのが最短ルートだ。今までだってそうやって来た。俺の目の前にはこの都市で最強の防衛隊員がいるじゃないか。


「お父さん。」


「お、おう。」


「お父さんならテクノの戦闘型に遭遇した時、どうやって倒す?」


「テクノの戦闘型か。そうだな…」


 お父さんが少し考え込む。


「懐に飛び込んで一撃で切り伏せる、かな。」


 だめだ。強すぎて参考にならないパターンだ。俺は何回同じミスをするのか。綾女に聞いた時もこんな感じだったではないか。


 地道に鍛えるしか無いようだ。


 そんなことを話しているとロボットが料理を運んできた。


「「「「「「いただきます。」」」」」」


 俺達は戦いのことは置いておいて、料理を交換しながら食べた。味は普通においしかった。




読んでいただきありがとうございました。

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