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魂まで喰らいつくして  作者: 小土 反り
欠けた者達
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再会

よろしくお願いします。

 俺達はお父さんが来るまでの間川に入って魚を獲っていた。お父さんはやることがあるそうで遅れてくるようだった。


「それじゃあ、使ってみるよ。」


「いいわよ。魔力の残量には注意するのよ。」


 俺は自分と中心に大きな透明な壁が周囲に作られる。中には水と一緒に何匹か魚も入って来た。これは最後に倒したサギルが使っていた”結界”というギフトだ。四角い透明な箱を作るようなイメージだ。正直、加速や跳躍に比べるとすごい使いやすい。初めて使うのに大雑把だが出力をコントロールできた。


 一辺5m程度の大きさの結界を作る。結界は空間に固定されているようで、中でジャンプしたりしても動かなかった。


「これはかなり使えそう。」


 俺が決壊に触れて硬さを確認していると、背中にいる真白が魚を獲り始める。戦闘体には成らず、背中に掴まったまま脚を大きくして魚に突き刺していた。合計で六匹捕まえることができた。


 俺は結界を解除して、みんなのいる川岸に戻る。なんかみんなこっちを見てくる。綾女と針理はまだわかるけど、防衛隊員の人達はどうしたのだろうか。


 葉っぱの上に魚を置いていると海おじさんが話しかけてくる。


「霧刃、お前のギフトって今の透明な壁のやつなのか?」


「それはち…あー、えっと…」


 俺は否定しようとして言葉を濁す。綾女がすごい怖い顔をしながらこちらを見ていた。おそらく言うなということだろう。


「…そうなんだ。結界っていうギフト。」


 それを聞いて海おじさんが納得した顔をする。


「なるほどな。それで身を守っていたから外でも生きることができたんだな。」


 全然違うのだがそれを言うと話がややこしくなりそうなので、そういうことにしておいた。


「うん。結構苦労したよ。今は綾女のところにいるから安全だけどね。ちょっと火借りるね。」


 俺は話を切り上げてカイナで魚をさばき始める。大きくたいらな石の上に葉っぱを置いてまな板代わりにする。腹を開いて内臓を取り出し、水で洗う。塩が欲しいところだが持ってないので我慢するしかない。


 そう思っていると綾女が小瓶を取り出す。


「霧刃、これ使いなさい。」


 中を見ると白い粉が入っている。おそらく塩だろう。


「ありがとう。」


「その代わり私の分も頼むわね。」


 そういうことかと納得する。綾女も魚を食べたかったようだ。


「わかった。」


 一人当たり二匹でいこうと思っていたが俺の分は後でもう一度獲るとしよう。


「なぁ、霧刃。言いにくいんだけど、俺達の分も頼めないか?」


「…………」


 俺はジト目で海おじさんを見る。


「海おじさん達は携帯食料あるんじゃないの?」


「いやあ、それはそうなんだが…なんというか、そんな旨そうな魚を見ると腹が減っちまってな。すまん。」


 気付いたら海おじさん以外の防衛隊員の人達もこっちを見ている。


(防衛隊員の人達で5、綾女で6…一人一匹でもういいか。)


「二人ともいい?」


「私は問題ない。」


 真白も背中で頷く。


「ごめん。ありがとう。すぐに焼くからちょっと待ってて。」


「すまんな。」


「ごちになります。」


「ありがとう。」


「ありがとうございます。」


「図々しくてごめんなさいね。」


 全員がそれぞれお礼を言ってくる。


「火を借りるからいいです。あと焼けるまで時間かかりますよ。」


 真白が俺の背中から降りて、木の枝を集め始める。


「そういえば自己紹介がまだだったな。俺は相良 海だ。改めてよろしくな。お前たちも名乗れ。」


 他の隊員の人達が立ち上がり、一人ずつ名乗っていく。


「依田 次郎です。よろしくお願いします。」


「佐々木 絵里(ささき えり)。よろしくね。」


「田城 直希(たしろ なおき)です。よろしくお願いします。」


「鈴木 希美(すずき きみ)です。よろしくお願いしますね。」


 俺も手を止めて自己紹介をする。


「神楽 霧刃です。さっきまで背中にいたのは真白です。よろしくお願いします。」


「御鍵 針理です。よろしくお願いします。」


 針理も俺に続いて名乗った。今針理は真白と一緒に木の枝を削って串を作っている。できたものからこちらに渡してくれる。


「はい。」


「ありがとう。」


 なんか懐かしい気分だ。真白と二人きりで生活していた時はいつもこんな感じだった。火を起こして、串に肉や魚を刺して塩を振って食べる。果物以外は全てこの食事ばかりだった。まあ、二人でいたので大して辛くはなかった。


 俺は串刺しにした魚を火の近くに突き立てていく。


「はい。あとは焼けるまで待ってて。真白行こ。」


 俺は真白と一緒にもう一度川に入る。


 もう一度結界を作って魚を獲っていく。魔力が少なくなってきたが融合はしてないので、多分大丈夫だろう。


 さっきと同じように綺麗に捌いて真白達が作った串に刺していく。そして、空いている場所に串を突き立てる。


 火を囲みながら焼けるのを待つ。


 すると誰かがこちらに走ってくる。俺には誰が来たのか遠くからでもわかった。


「おー--い!霧刃ー!!」


 大きな声で俺の名前を呼んでいる。


「お父さんだ。」


 俺の目の前までお父さんが来て俺を抱きしめる。真白はいつの間にか背中から降りていた。


「霧刃!霧刃!」


 俺はお父さんを抱きしめ返す。俺もお父さんも泣いていた。


「お父さん、俺頑張ったよ。生きる為にいっぱい殺したんだ。すごい頑張ったんだ。」


 お父さんの抱きしめる力が強くなる。


「ごめんな。守ってやれなくて本当にごめんな。」


 お父さんが謝ってくる。


「別にいいよ。お父さんが俺の為に頑張ってくれてたこと知ってるんだ。ありがとうお父さん。」


 俺とお父さんはしばらく泣き続けた。


─────────────────────────


 今はお父さんも一緒に魚を焼けるのを待っている。さっきから綾女と海おじさんと何か話している。なんの話かよく分からないので俺は火の番をしていた。


 すると鈴木さんが話しかけてくる。


「霧刃くんはどこで魚の捌き方覚えたの?」


「真白に教えてもらったんです。生きるのに必要なことはほとんど真白から習いました。」


 火を見ながらボーっとしながら答える。先に焼いていた6本を回転させる。焼き目が付いておいしそうな匂いが漂ってくる。だが、それを台無しにする視線が俺の後ろに集まっている。


「その真白、ちゃんは人間なの?」


 嫌な質問だ。


「知りません。そんなことどうでもいいです。死にかけていた時に俺を救ってくれたのは真白です。それだけです。」


 俺は淡々と答える。真白が人間だろうと異形種だろうと関係ない。真白が俺の命を助けてくれたんだ。俺の一番大切な存在だ。俺は真白を前に持ってきて抱きかかえる。真白以上に大切な人なんていない。全てを失ったとしても真白さえいれば俺は生きていける。


「そっか。そうだよね。私が口だすことじゃなかった。ごめんね。」


 少し声が小さくなっている。


「別に気にしてません。」


 海おじさんが悪い空気を感じ取ったのか話を変えてくれた。


「なら、綾女さんとかとはいつ出会ったんだ?」


「綾女とは外で少し暮らした後。その後はずっと綾女達と暮らしてた。はい。焼けたよ。」


 俺は焼いた魚を葉っぱの上に置いて全員に渡していく。俺達もようやく昼ご飯にありつける。


「はい。お父さんの分。」


 俺は自分の分の1匹をお父さんにあげる。


「いいのか?霧刃のご飯なんだろ?」


「みんなで食べた方がおいしいから。」


 お父さんが魚の乗った葉っぱを受け取ってくれた。


「ありがとう。すごいおいしそうだ。」


「それじゃあ、少し遅くなったけどいただきましょうか。」


 綾女がそう言うとみんな手を合わせる。


「「「「「「「「「いただきます。」」」」」」」」」


 獲ったばかりの魚はとても新鮮でおいしかった。魚にかぶりついているとお父さんが話しかけてくる。


「霧刃、さっき綾女さんと話したんだけどな。お前、守護者になったのか?」


 俺は食べるのを止めて顔を上げる。


「うん。でもそのおかげで俺も高山都市にも行けるようになったんだよ。」


 お父さんは嬉しいような悲しいような複雑な顔をしてる。


「そうか。もう全部自分で解決していたんだな。少し見ない間に大きくなったな。」


 そんなに大きくなっただろうか。まだ都市を出て半年も経っていない筈なんだが。


 俺たちの話に綾女が入って来る。


「それで霧刃がこれからどうするかって話なんだけど。普段は高山都市で暮らして、休日はこっちで暮らすって感じでどうかしら?」


「それでいいよ。真白と針理も一緒に行けるんだよね?」


「ええ。それは大丈夫よ。手続きとか色々あるからすぐには行けないけど、なるべく急ぐわ。」


 頑張った甲斐があったようだ。これでいつでも三人一緒にいられる。俺は安心した。


「そうゆうことですぐには行けないけど、ちゃんと高山都市に帰るよ。」


 お父さんも嬉しそうな顔をしている。


「ああ。ちゃんと部屋も用意しておく。それにしても息子が守護者とはな。お父さんも誇らしいよ。」


 そんなことを話しながら俺はお父さんにこれまでの事を話していった。

 


読んでいただきありがとうございました。

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