未来
よろしくお願いします。
お風呂の後に俺達はご飯を食べて眠りについた。俺の料理はまた今度にしてもらった。さすがに疲れた。
針理はおいしそうにご飯を食べていた。機械の体でも飲み食いはできるようだった。部屋は俺の右隣りになった。
次の日の朝、俺はいつものように真白と一緒に起きる。真白を背負って食堂に行く前に針理の部屋に寄っていく。扉をノックしてから中に入る。
ベッドの上で針理が寝ていた。全裸で。
(寒くないのかな…?)
機械の体だし風邪とかも引かなそうだからとりあえず無視した。
「針理起きて。朝だよ。」
そう言うと心理がすぐに目を開ける。こっちを見てくるが再びだんだんと目が閉じていく。
「あと5分…」
「……………」
これは起こすのに相当苦労しそうだと覚悟した。
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「おはよう、霧刃。」
「おはよう。食堂行こ。多分もうご飯できてるよ。」
俺は起きた針理に挨拶を返して二人で並んで歩き出す。
「真白もおはよう。」
真白も右手を上げて返す。ちゃんと挨拶されて嬉しかったようだ。
「真白って、いつも背中に居る。歩かせないの?」
真白を見ながらそんなことを聞いてきた。
「もうここが定位置になっちゃってるから。あとこの体だと歩くのめっちゃ遅いんだよね。」
「へー…そうなんだ…」
何故か針理が真白の方をじーっと見ている。真白も何故か睨み返している。俺の知らない間に何かあったのだろうか。
「着いたよ。綾女、透蜜、おはよう。」
俺に続いて針理も挨拶する。
「おはようございます。」
「あら、遅かったわね。三人ともおはよう。」
「やっと来ましたね。おはようございます。スープ冷めちゃいますよ。」
二人はもう席に着いて待っていた。二人ともリンクからいくつか電子モニターを出していたがすぐにしまった。
俺達も席に着いく。 俺の右側に針理が座って、左側に真白を座らせる。ちなみに真白の椅子は少し高くなっている。食べやすいようにだ。
「「「「いただきます。」」」」
いつもみたいに和やかに朝食が進む。
「透蜜、コンソメスープと蜂蜜は合わないんじゃない…?」
「そんなことないですよ。蜂蜜は全てをおいしくしますから。」
「相変わらず蜂蜜の狂信者ね。蜂蜜自体のおいしさは認めるけどそれは認めないわよ。」
「昨日のご飯も、おいしかった。でも、このパンも、おいしい。」
「針理、ありがとうございます。ああ、今日の綾女のおやつは蜂蜜に確定ですよ。」
「…余計な事言っちゃったわ。はぁ…」
「俺のと換えてあげるよ。」
「ありがとう霧刃っ♪やっぱり持つべきものは仲間よね~。」
「そんなに透蜜のおやつは、不味い?」
「おいしいよ。蜂蜜率が高いだけ。」
真白が頷く
「ちょっと、気になるかも。」
そんなことを話しながら俺達は楽しく朝食を食べていった。
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「さて、朝食も食べたことだしちょっと真面目な話をするわよ。」
綾女がこちらを見ながらそう言ってくる。俺もマグカップから手を放して聞く。
「単刀直入に聞くわ。霧刃、高山都市に戻りたい?」
「え…?」
思ってもみなかったことを聞かれて呆然とする。一体どうゆう風の吹き回しだ。今まで都市の話なんて殆どしたことはなかった。俺は動揺しながら答える。
「きゅ、急に何?」
「急なのは謝るわ。でも、これまで透蜜とも何回か話し合ってきて決めたことなの。あなたが戻りたいというなら私たちが戻してあげる。そうするとここには戻って来れないけどね。」
「私たちのことは気にする必要はありません。霧刃がどうしたいかを教えてください。」
そんなことを言われても、どう答えればいいのだろうか。俺の馬鹿な頭ではなんて言えばいいのか全く分からない。都市に帰れるということは家族とも会えるということだ。
俺はふと気になったことを聞く。
「もし、帰ったら真白と針理はどうなるの?」
「二人の意思を尊重する、と言いたいところだけど。二人はここに残ってもらうわ。理由は二人とも都市とは反りが合わないからよ。真白は異形種と見なされて殺されるし、針理はサイボーグだとばれたら解体されて中央都市送りよ。」
「……………」
(そんな馬鹿な…)
俺は家族か真白と針理か、どちらかを選ばなくてはならないということだ。俺の頭の中をいろんな考えがぐるぐると駆け巡る。都市で普通の生活を送ることができる。だが、そうなればみんなとは離れ離れになってしまう。一体どうすればいいのか。そうしていると左右から服を引っ張られる。
「霧刃…」
「……………」
そこには悲しそうな顔をしている真白と針理がいた。
「お願い。ここにいてほしい。私のバディは霧刃だけ。」
真白は俺の腕に抱き着いてくる。
俺は昨日、高山都市の事を忘れようと決意した筈だ。なのに何を迷っているんだ。もうあそこの事は思い出さないと決めたはずなのに。どうして俺はこんなにも悩んでしまってるんだ。
「俺、は…」
そう口にしようとしたとき、真白が融合を発動して俺と一体になる。
「真白…」
真白からは今までに感じたことがないくらい否定の感情が流れてくる。俺に都市に行ってほしくないということだろう。そして、俺の顔から涙が流れる。俺の涙ではない。真白のものだ。どれだけ真白が悲しく思っているのか融合したことで痛いほど伝わってくる。
真白の思いを感じていると透蜜から声をかけられる。
「霧刃、私の言葉を聞いてくれますか?」
「うん…」
「私達は本当は今回の事を霧刃に言うつもりはありませんでした。でも、状況が変わったんです。折衷案があるので聞いてほしいです。」
折衷案とはなんだろうか。言葉の感じから読み取るに行くか残るかの中間の案、ということだろう。
「聞かせてほしい。」
「霧刃達を新しい私たちの仲間として中央都市に認めさせます。そうすれば二人は霧刃について行くことができますし、霧刃もいつでもここに帰って来れます。」
「本当!?」
俺は驚いて思わず立ち上がる。そんないい選択肢があるならなぜ最初から言わなかったのか。
「ただ、これには一つだけ条件があります。」
透蜜が少し怖い顔をする。条件って一体何だろうか。
「その条件は、何?」
少し間をおいて透蜜が話し始める。
「テクノ、サギル、ミイツの内一つの街を三人だけで破壊してください。」
「なんだそれ…」
そんなことできる訳が無い。サギルとミイツはともかくとしてテクノは絶対に無理だ。昨日だってたった二体に命からがら逃げてきたのに、街を攻撃するなんてどうかしてる。
「待ってほしい。それはどんな街でも、いいの?」
横から針理が透蜜に聞く。
「はい。大きい街でも小さい街でも構いません。一つだけ攻め落としてください。」
「小さい街でもいい…」
俺はその言葉をよく考える。つまりはまだ作られたばかりで異形種の数が少ないところでもいいということだ。それに加えて3人、要は真白と針理も一緒だ。
「装備は何を使ってもいいのか?」
「霧刃達が持っている物なら何でも使っていいですよ。」
装備の制限はない。ということは針理のあの銃も全て使えるということだ。針理の方を見るとどうやら同じことを考えているようだった。こちらを向いて頷いてくる。
(やりようは、ある。)
俺は自分の意思を固める。
「やるよ。その街落とし。俺は家族に会いたい。でも、同じくらいみんなとも一緒に居たいんだ。その為ならやってやる。」
「私も異論はない。霧刃と居れるなら、やる。」
真白からも肯定の意思が流れてくる。
「わ、た、し、も、いぃ。」
俺を含め全員が驚いた顔をしている。今のは俺の口から出た言葉だ。だが、声色も俺のとは違うし、俺が言ったわけでもない。
真白だ。
俺は胸に手を当てる。
「真白…ありがとう。」
綾女と透蜜が優しい目を向けてくる。
「そう。あなた達本当にいいトリオだわ。私は普段信じてないけど、もしかしたらあなた達の出会いは運命だったのかもね。ちゃんと頑張るのよ。」
「わかりました。期限は今日から一週間です。戦闘の様子は私が記録させてもらいます。期待していますね。」
今日から一週間。やることは山積みだ。
「針理は全ての装備の点検をしておいてくれ。何を使うかわからない。」
「わかった。」
「真白は俺と一緒にコントロール室に行くぞ。」
真白が融合を解除して、背中に掴まる。
俺達の未来の為に行動を開始した。
読んでいただきありがとうございました。




