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魂まで喰らいつくして  作者: 小土 反り
欠けた者達
27/66

探検

よろしくお願いします。

 俺と真白は擬人之塔の隠し通路を通って外に出る。


「おお。」


 森の中の大きな木の洞から外に出た。木々の隙間からは崩れかけたビルなどが乱立する滅んだ町が見える。戦闘用ゴーグルを付けて大まかな位置を確認する。


「旧瀬戸…高山のかなり南にある街だっけ?俺達こんなところまで綾女に運んでもらって来たんだな。」


 綾女に会った初日にリュウグイヘビトンボ────クイちゃんに乗っているときは怖くて目を閉じていたからどこまで飛んできたのか今まで知らなかった。別に知る必要も無かったしな。


「真白、あっちのでかいビルがある旧名古屋に行きたいんだけどいい?」


 俺は少し離れたところにある都市部を指さす。あそこは旧名古屋と言って昔は交通の要所として発展した町だったらしい。


 真白は頷いて翼を出して俺を抱えて飛び始める。前と違って融合しなくても翼を出してくれるようになった。これは真白と仲良くなれた一つの証かもしれない。 


 今は名古屋は沿岸部の地上に要塞都市として存在している。高山都市と違い、正面から異形種と戦えるだけの戦力を抱えているらしい。海にも異形種がいるのに大した都市だ。日本にある要塞都市は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡、の6か所だ。特に、東京は中央都市と呼ばれていて、各都市の中で最高戦力を保有しているらしい。いつか行ってみたいものだ。


 そんなことを考えていると真白の飛行で旧名古屋に着く。自分たちの何倍もある朽ちたビルがたくさんある。


「でっかいなぁ。こんなでかい建物、何に使ってたんだろうね。あ、あそこまだ結構丈夫そうじゃない?あそこに着地しよか。」


 後ろから抱えてくれている真白も頷く。 ビルの近くの道路に降りていく。真白が着地と同時に翼をしまう。


「ありがとう。」


 俺は運んでもらったお礼を言って辺りを確認する。それにしても本当に大きい街だ。いったい何人の人達が住んでいたんだろうか。ボロボロになったコンクリートの支柱、割れてしまっている窓ガラス。ここにはもう人が住んでいないことがよくわかる。


 さすがにこのボロボロのビルに入るのは危ないので外から見るだけにして街を歩く。当たり前だが、誰もいない。道路には木が浸食してきてアスファルトが剥がされている場所や、断層というひび割れができている場所もある。だがそんな中で倉庫のような工場のような鉄筋で出来た建物が見えてくる。外観は錆びつきが酷く、殆ど真っ赤になっている。


「あそこ入っていい?」


 真白が頷く。俺はその建物の入り口を探す。木が邪魔だが俺達の大きさなら1か所だけ入れそうな扉があった。他の扉は全て壊れているか瓦礫で埋まっているところばかりだった。


 俺はアリアを構えて鍵の部分を撃って破壊する。「カアァン!」という音を立てて鍵が壊れる。扉を3回蹴って無理やりこじ開ける。中は思っていたよりも綺麗だった。床材は磨かれた石で出来ており、壁も同じ石で出来ている。相当分厚そうな石だ。


「工場じゃないのか?なんの建物なんだろ…」


 周りを見ると奥に扉がある。その扉を調べてみる。外の扉と違ってスライド式の扉で全然錆びてない。それにとても分厚そうな感じだ。だが、鍵が開いているのか僅かに隙間が空いている。そこを二人で広げると少しだが隙間が広がった。これなら何とか入れそうだ。


 俺は横向きになりながら扉を通り、奥に進んでいく。戦闘用ゴーグルの暗視機能があって助かった。無ければ真っ暗で一歩も進めなかっただろう。扉の先は金属製の床と壁になっていた。なんか別の建物に入ったような感覚がある。


 通路が地下に伸びている。


(これ、降りて行って大丈夫なやつか?絶対この先になにかあるじゃん…)


 だが、もしかしたら綾女と透蜜に役立つものがあるかもしれない。もしそうなら持って帰りたい。もちろん何もない可能性もあるが、こんなに厳重な作りの建物なら何かはあるだろう。俺は階段を降りていく。不気味な感じだ。俺の足音と呼吸以外何も聞こえない。


 それから5分くらい経った。ようやく階段がが終わり、扉が見えてくる。扉の上には何か英語で書いてある。「Neotechno Room」なんて読めばいいのだろうか。


「真白、読める?」


 聞いてみたが首を左右に振られた。俺にも読めないからとりあえず無視することにした。ここの扉は鍵がかかっていなかった。


 中に入るといくつものガラス製の円柱形のタンクがある。どれも割られていたり、中に機械のような生き物のような化け物が浮いている。だが、その一番奥のタンクに俺の目は釘付けになる。驚くことにタンク内が光っている。そしてその中に青い服を着た女の人が入っている。この人はまだ生きているのだろうか。こんな廃墟の中に電気が通っているのか。気になることがいくつもできて俺は急いでその奥のタンクを調べる。


「人だ!ねえ、大丈夫!?」


 呼びかけるが反応がない。タンクの前にはなにかタッチパネルがあった。また英語で何か書いてある。これも電気が通っているようだ。俺はタッチパネルに触れる。するとパネルの文字が変化して天井周りの電球で生きていたものがいくつか点く。だが、殆ど壊れてたり点いた瞬間に消えてしまい、結局点いたのは2個だけだった。でも明かりができて少し安心した。


「ネオテクノへようこそ。現在保管中の機体は1機です。管理状態はパネルより確認してください。」


「うお!?だ、だれだ!?」


 天井のスピーカーから急に声が聞こえてきた。俺は警戒してアリアを構えるがそれ以上何も言わなかった。どうやらただの録音が再生されただけのようだ。俺はそう決めつけてアリアをしまう。


 やっぱりこの施設はまだ動いているようだ。このタンクの中の人も助けられるかもしれない。だが、これ以上タッチパネルを操作しても何も起こらない。


「リンク、システムに接続して。」


 俺はそう言って自分のリンクに命令する。リンクは持ち主の声にだけ反応するようになっている。ここの機械が生きているならリンクが接続できるかもしれない。


「接続可能な施設がありません。」


 リンクは接続できなかった。この施設にロックが掛けられているのか、はたまた古すぎてリンクが対応していないのかはわからない。だが、これで詰んでしまった。これ以上動かせるものがない。俺は他に何かないか探してみる。ボロボロの紙束とか壊れたタブレットとかがあるが、どれも使えそうにはなかった。


「この人、生きてるのかな?」


 真白も分からないようで首をかしげている。


(だめだ。さっぱりわからん。真白も分からないみたいだし、機械の事だから帰って透蜜に聞いてみるか。)


「まだ来たばっかりだけど一回帰っていい?」


 そう聞くと真白が頷く。俺は帰ろうと思い、入り口のドアに引き返そうとする。


 そこでいきなり上から「ドカァン!」という音が聞こえ、振動が伝わってくる。


「なんだ!?」


「ジッジジ…警告。上部研究施設の破壊を確認しました。セキュリティを起動。エラー。セキュリティの9割が稼働していません。ルームに人間を確認。緊急対応3-5を発動。」


「え…?え?何?何が起きてるの!?」


 動揺する俺を置き去りにして更に音声が流れる。


「略式契約を開始。責任者の名前をお願いします。」


 なにを言っているのかよくわからないが、取り敢えず名前を言えばいいのだろうか。


「神楽霧刃…」


「責任者をカグラキリハで登録しました。以後、最終試験機『針理(シンリ)』の全ての責任はカグラキリハが負うことになります。稼働中のセキュリティの大破を確認。針理の武装を緊急解除。排水開始。専用武装G-2を優先して解放中。残りの装備も随時解放開始。」


「だから、なにが起きてるの!!」


 俺は切れ気味にそう怒鳴る。すると部屋の一番奥にあった。タンクの水が抜け始める。中に漂っていた女の人の目が開き、こちらを見ている。服は透蜜が着てるみたいな体のラインが出る青い服を着ている。身長は透蜜とかに比べれば低い。150cmくらいだろう。髪は黒で、目は青い。視線は少し怖いくらいだ。


 タンクの水が全て無くなり、ガラスが開く。そしてこちらに向かって歩いてくる。俺は警戒して黒い方の短刀────「エスカ」を抜いて構える。


「お、おい。あんた生きてるのか?俺達に何するつもりだ?」


 まずは相手からの反応を見る。戦闘にならないならそれに越したことはない。頼むから攻撃してこないでくれと願いながら返事を待つ。


「あなた、名前は?」


「神楽霧刃だけど…そっちの名前は?」


 名前を聞いてきた。以外に戦闘せずにいけるかもしれない。


「針理。これからよろしくね。」


「え、あ、うん。よろしくお願いします。」


 俺はそう言って出された手を取る。普通に握手してくれた。本当に敵ではないようだ。俺は安心してエスカをしまう。


「ねえ、針理はここで何してたの?」


「え?わかってて私のバディになったんじゃないの?」


「俺さっきここに来たばっかりなんだけど。」


 そう言ったタイミングで再び大きな揺れと轟音が鳴り響く。そして階段の上の方が崩れて落ちてきた。


「そういうことか。とりあえず話は後。こっちに来て。ここから出る。」


「わかった。」


 もう何が起きているのかわからない。だが、この針理をいう女はとりあえず味方で、何かヤバいのが上から迫ってきてるようだった。


 針理が壁のパネルを操作すると通路が出現した。帰り道が無くなった俺はとりあえず針理について行くことにした。

読んでいただきありがとうございました。

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