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魂まで喰らいつくして  作者: 小土 反り
欠けた者達
26/66

義手

よろしくお願いします。

「それでその成長ってどんなギフトなの?」


 昼ごはんを食べながら綾女が俺に聞いてくる。


「文字通り成長し続ける能力って魂喰が言ってた。これを渡してくれたときは殆ど魂喰と会話できなくて、渡されたらすぐに目が覚めちゃった。」


「ずごいギフトね。普通に研鑽を積んでいけばどこまでも強くなれそうね。」


「そういえば、ずっと疑問に思ってたんですが何故霧刃はもうギフトと話せるんですか?」


 透蜜が俺に聞いてくる。そう言われてもなんて答えればいいのかわからない。俺はずっと話せるのが当たり前だと思っていた。もしかして違うのだろうか。


「俺は最初から話せたんだ。ギフトって普通話せるものなんじゃないのか?」


「ギフトは普通は”覚醒”させて初めて自我を持つんですよ。霧刃の魂喰はおかしいです。」


「そうよね。やっぱりこれも魂を食べてるせいなのかしら?」


 そんなこと言われても俺にもわからないから答えれない。


 俺はああそういえばと思い、前から疑問に思っていた事を聞く。


「魂を食べないなら他の器ってどうやって力を集めていくの?」


 綾女がお茶を飲んでコップを置き、答えてくれる。


「同じ系統の欠片の持ち主を殺すと回収できるのよ。魂自体は拡散してしまうから、回収できるのはギフトだけよ。」


「なるほど?回収方法は魂喰と似たようなものってことか。」


 俺はそう理解する。だが、俺がこれ以上に強くなることを望むなら、訓練に並行して他の魂を食べる必要があるだろう。それに訓練では勝てたが実戦で異形種に勝てるかも確かめておきたかった。


「ねえ二人ともお願いがあるんだけどいい?」


「かしこまって何ですか?」


「外でギフトを集めたい。」


 そう言うと二人の視線がこっちに向く。だが、初めて訓練を頼んだ時に比べればいくらかマシだ。


「いいわよ。」


「いいですよ。」


 なんかあっさりと許されてしまった。もっと反対されると思っていたので意外だった。


 綾女がスプーンを止めて話す。


「霧刃が強くなるためにはいつかそう言うと思ってたわ。渡すものがあるからご飯食べたら透蜜の部屋に集合よ。」


「あらかじめ作っておいてよかったです。」


 なにをくれるんだろうか。二人からはもうたくさんのものをもらってきた。いつかお礼をしようと思っているがこれのままではできない。だから外に出るついでになにか二人にあげるものを探すつもりだった。


(また返さなきゃいけないものが増えたなぁ…)


 そう思ったが何をくれるのかは普通に気になった。俺は急いでご飯を食べた。


─────────────────────────


「これですよ。」


 そこには子供用の戦闘服が二つと真白の戦闘用ゴーグル、左手の義手があった。


「透蜜、俺真白がいるから義手はいいよ。」


 これは前も言ったことだ。俺の左手は真白だから要らないと言って断ったのだ。


 すると綾女から怒られた。


「だめよ。外に行くならこれは付けていきなさい。さっきの料理でわかったでしょ?時にはあなた一人で両手を使わなければいけない時が来るわ。気持ちはわかるけど死ぬよりマシでしょ?」


 痛いところを突かれてしまった。


 俺は背中にいる真白を前に持ってきて抱き上げる。


 真白は俺の体を動くようにしてくれた。どれだけ感謝してもしきれない。真白との融合は俺と真白を繋ぐ大事なことだと思っていた。融合で左手と左目が再生して全力で戦える。外にいる時はそれで戦うのが当たり前だった。


 そんなことを考えていると真白が頭を撫でてくれた。


「…いいの?」


 真白が頷く。


「別に義手を付けたら融合ができなくなるわけじゃないですよ。そこのとこもちゃんと考えて作りましたから。」


 透蜜がそう付け加える。俺は机の上に置いてある義手を手に取る。俺の肘から先の僅かしかない前腕にぴったり当てはまる。


「二人ともありがとう。」


 俺は二人にお礼を言う。黒色で塗装されており見た目はかなり機械感がある義手だ。


「この義手の名前は”タッグ”ですよ。付けてあげますね。」


 そう言って透蜜が俺の腕に義手を装着してくれる。最後に僅かに透蜜から義手に魔力が流される。


「これで動きますよ。基本的には自動的に電気を作って動きます。変形の時だけ魔力を使うので気を付けてくださいね。あと銃形態の時も発砲に魔力は使いますからそれも頭に入れておいてください。」


 すごい。まるでそこに本当に左手があるかのような感覚がある。義手が触れているものの感触まで伝わってくる。真白の左手と同じ位の精密さだ。それはそうと気になる単語が聞こえてきた。


「変形ってなに?」


 これは義手のはずだ。義手に変形する機能が必要なのだろうか。俺は透蜜に聞いてみる。


「腕の内側のところを見てください。スイッチが一つあるはずです。試しに押してみてください。ああ、念のために腕を前に突き出して。」


 俺は言われた通りに腕を前に突き出して、腕のスイッチを押す。すると、義手は一瞬でガチャガチャと変形して銃身が1m程の銃になる。しかし、その見た目に反して驚くほど軽い。俺が両手で余裕で持てる軽さだった。


「おお!」


「内蔵型スナイパーライフルの”ティア”ですよ。遠くから魔力弾で狙撃したいときは使ってみてください。腕との接合部分が少し動かせるので狙いも付けやすいと思います。魔力の消費量は結構あるので考えて使ってくださいね。」


「ありがとう。すごいかっこいいよ!」


 俺は嬉しくてティアを構えてみる。リンクから「特殊装備”タッグ”接続済み」「義手内蔵型変形式スナイパーライフル”ティア”接続済み」と表示される。そして、ティアの上部に電子モニターで照準が表示される。どうやら拡大もできるようだった。これは狙撃だけでなく、遠距離からの偵察にも使えそうだ。


「あと真白と融合して2本腕の時は自動的に左腕の鎧に変形しますよ。4本腕の時は今みたいに銃に変形できるようになります。」


 どうやら透蜜は俺達の為に融合状態のことまで考えてこの義手を、タッグを作ってくれたようだ。


「ありがとう透蜜。これで真白とも一緒に戦える。」


「よかったわね。さあ、自分の部屋で準備してきなさい。」


 そう言われた俺は早速戦闘服に着替える為に自分部屋に戻るのだった。


─────────────────────────


「よかったんですか?もう渡してしまって。」


 私は椅子に座りながら透蜜に返事をする。


「監視は付けるわ。絶対に死なせないようにするから安心しなさい。それに、霧刃はもう十分外で戦えるだけの力は手に入れたわ。背は小さいままだけどね。」


「そうですか。でも霧刃が色んなことに興味を持ってくれるようになってくれてよかったです。それはそうと、さっき見せてくれたあの指令書、行くんですか?」


 私はどう答えようか迷う。


「位置からして霧刃が居たであろう高山都市の人も来るでしょう。そして、あそこの防衛部隊のトップは確か、神楽中佐。どこかで聞いた苗字ですね?」


 透蜜が暗に何を言いたいのかが伝わってくる。彼女は霧刃が家族の元に帰れるなら返すべきだと思っているのだろう。


「私は反対よ。理由はなんであれ彼らは霧刃を1度捨てた。それを回収したのがたまたま私だっただけ。なら私達とずっと一緒に居ても文句を言われる筋合はないわ。」


「それを、霧刃に向かって言えますか?」


 透蜜から鋭い視線が突き刺さる。


「…とにかくこの話はこれで終わりよ。私が戦力として拾って来たんだから私が最後まで面倒見るわ。今は防衛部隊の奴らには会わせない。」


「…まあ、今はまだ子供ですからね。私達の監視下に置いておいた方が、何かと安全なのも確かです。それにせっかく私達に心を開いてきてくれましたしね。分かりました。今回はそれで納得します。」


 話が終わったタイミングで霧刃が準備を終えて戻ってくる。


「透蜜、綾女どう?おかしくない?」


「ええ、かっこいいわよ。」


「サイズもぴったりですね。」


 そう言って、霧刃の格好を褒める。普通こんな小さいサイズの戦闘服はない。透蜜が作った特注品だ。戦闘ゴーグルにリンクも身に着けて、その恰好はさながら小さな防衛隊員だ。


「この周辺の土地は私たちのものだから異形種も殆どいない筈だけど、注意はするのよ。そして、危険と判断したらすぐに逃げる事。わかった?」


「わかった。行ってきます!真白行こう!」


「いってらっしゃい。」


「気を付けてくださいね。」


 楽しそうに走っていく霧刃達を私は笑顔で見送った。





読んでいただきありがとうございました。

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