真実
よろしくお願いします。
お風呂を出た俺は4人で夕食を食べて自分の部屋に戻って来た。俺の右隣が真白の部屋で逆側が綾女だ。その綾女の部屋の左隣が透蜜の部屋だ。
俺は自分の部屋のベッドにダイブする。
「ふかふかだ…」
背中に掴まっていた真白がころころと転がってベッドに寝転がる。どうやら真白もここのベッドが気に入ったようだ。
「真白ー。俺疲れたからもう今日は寝るね。真白も早く自分の部屋で寝なよー。」
俺は今日色々なことが有り過ぎて、もうくたくただった。初めて生き物を殺した時並みに疲れたかもしれない。
だが、どうやらあの二人は俺達を殺すことはないようだ。最初は警戒していたがあまりに二人の強さの底が見えず、途中からどうにでもなれのやけくそ状態だった。
(殺されそうになったら全力で暴れようと思ってたけど、大丈夫だったな。)
俺達に何を手伝わせるつもりなのかは明日聞けばいいだろう。そんなことを考えている内に俺は眠りについた。
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俺は白い空間で目を覚ます。ここは見覚えがある。初めて魂喰と話した場所だ。俺は周りを見渡すと少し離れた場所に魂喰が座り込んでいた。以前見た通り体は真っ黒だった。
「おーい。今回はどうしたの?」
俺は魂喰に話かけながら近づいていく。
「…ふん。”虫ノ王”め。あの程度で俺の目をごまかせると考えているのならふざけた奴だ。それに”機械ノ王”に力の一部を渡しているのは何の冗談だ?」
「なんの話?」
俺は魂喰に質問する。”虫ノ王”とか”機械ノ王”ってなんの事だろうか。そんな言葉今まできいたことも無いはずだが。
魂喰がこちらを向いて答える。
「今日会ったあの二人のギフトのことだ。霧刃、お前あの二人に気を許すなよ。あれらは”融合”の持ち主とは違う。明らかに俺を目的に近づいてきた。俺に何をさせたいのかは知らんが、お前が拒め。」
なんか魂喰の機嫌が悪い。そんなに綾女と透蜜は危険なんだろうか。
「なんでそんなにあの二人を毛嫌いしてるの?」
「それは…お前だって最初はあんなに警戒していただろう?それと同じだ。殺されなかったからと言ってこちらに害を与えないとは限らない。」
正しいことを言っているように思う。だが。
「でも、そんなことばかりしてたら誰も信じられなくなっちゃうよ。それにもし警戒しててもどうせ逃げれない。」
そう。根本的に強さの桁が違うのだ。今日はあの二人と直接戦った訳ではない。だが、それでも勝てないと思えるくらいの圧力があった。
「そうだな。だが、完全には信用するな。心の隅に留めておいてくれ。」
「そこまで言うならわかったよ。」
意味ないと思うが一応の警戒はしておこう。
「じゃあ、今日呼んだ本題に入る。二つ目のギフトを手に入れたな?」
「あの”跳躍”ってやつ?寝る前に少し試したけど、超使いにくかったよ。」
今日はバタバタしていたのでそんなにたくさん試す時間はなかった。
「使いこなすのは追々でいい。話したいのは俺の能力についてだ。」
「!」
魂喰の能力。綾女は系統を無視するのが魂喰の能力だと言っていた。もしかして、それ以外に何かあるのだろうか。
「まずは俺が器だということはもう知っているな?」
「うん。今日教えてもらった。」
綾女がしてくれた器と欠片の話の事だろう。ちゃんと覚えている。
「俺は本当はもっといろんな事ができたんだ。だが今は弱体化して魂を生命力に変える事と、魂の中にあるギフトを強引に起動することしかできない。」
十分に強いと思うがこれでも弱いのだろうか。透蜜は滅茶苦茶な能力と言っていたし、俺には強いのか弱いのかもうよくわからなくなってきた。
「他の器に比べればまだまだ弱い。だが、ここまで来れたのは間違いなくお前のおかげだ。助かった。」
「お礼を言いたいのは俺の方だよ。魂喰のおかげで自分で動けるようになったんだし。」
魂喰が下を向く。何か気に障ることをいっただろうか。
「…違うんだ。お前が動けなかったのは、俺のせいなんだ。」
「…え?」
俺は一瞬何を言われたのか分からなかった。
(どうゆうこと…?魂喰のせいで俺は今まで動けなかった?待て待て待て。意味が分からない。俺がああだったのは生まれつきのはず…)
「器を持っている奴は体に異常を持つ奴だけだというのはもう知っているな?それは器のギフトを人の魂が受け止めきれないからなんだ。」
魂喰が何をいっているのかよく分からない。
「つまり、どうゆうこと…?」
「器のギフトを手にした者は、その反動で生命力が欠けてしまい、それに引っ張られて体に異常が起きるんだ。」
「……………」
言葉がでなかった。俺が話せなかったのも、四肢が動かなかったのも、左手と左目を持ってないのも、全部その反動のせいだというのか。
「その中でもとりわけ俺は強いからその反動が大きいんだ。今まで俺をまともに使えた奴はお前を含めて、たった二人だけだ。そいつと比べればお前は力に呑まれていないから前の奴より遥かにマシなだがな。」
色々衝撃的すぎて頭がついていかない。器を手にすれば必ず体に異常が起きる。
(それを都市の人たちは知っているのか?いや、そもそもギフトってなんなんだ?意思を持ってるし、俺を含めて二人ってことは前は誰かが魂喰を使っていたっていうのか?もう、わけが分からん!)
「安心しろ。俺はお前の味方だ。お前が生きる為なら協力は惜しまない。」
「…その保証がどこにあるんだ。お前だって俺を利用しているかもしれないじゃないか!そもそもなんで病院に居る時に出てきてくれなかったんだよ!」
俺は疑心暗鬼になっていた。さっきはあの二人を警戒しろと言われたが、元をたどれば魂喰のせいで今の状況になっている。信じろというのは無理があるだろう。
「あの時は俺はもっと弱かったんだ。お前がたくさん魂を喰ってくれたから今話せている。頼む霧刃もっと魂を喰ってくれ。そして、他の器を見つけるんだ。」
魂喰がまた何か言っている。俺はその場に座り込む。
(はぁ……もうどうすればいいんだ。)
今までは生きるのに精一杯で毎日を生きる事を目標にしていればよかった。他の事なんて考えてる暇が無かったんだ。でも多分これからは違う。ここにいれば少なくとも生きる事が毎日の目標ではなくなるだろう。
(目標、か。)
「…それをやったら何かあるのか?」
「俺のできることが更に増える。その力は当然お前も使えるようになる。いずれはあの二人を超えるくらいに強くなれる。」
(強くなれる…)
「強くなってどうするの?」
「お前がやりたいことをするんだ。守りたいものを守ってもいい。気に入らないものを破壊してもいい。なんでもいい。自分を通すためには力が要る。俺の力は絶対にお前の助けになる。」
(守りたいものを守る…)
俺は真白の顔を思い浮かべる。俺が守りたいもの。俺の命の恩人。俺の大事な友達…いや、親友だ。今日は真白を失うかもしれなかった。
なぜか。俺が弱かったからだ。
俺がもっと早く真白の危機を察知できればあんなことにはならなかった。俺が一人であの熊を倒せば真白をもっと早く休ませることができた。
(俺が弱かったから…)
周りの空間に黒い亀裂が入り始める。制限時間が近いようだ。
「わかったよ。お前の為じゃない。俺達が生きる為に、真白の為に俺は強くなる。そのために力を貸してくれ。」
そう言って俺は立ち上がり、魂喰の左目を見る。考えてみればここもいつ追い出されるかわからない。そうしたらあの外での生活に戻ることになる。力を付けるなら早い方が良い。
「それでいい。自分の生きる意味を見失うな。俺を好きなだけ利用しろ。絶対にお前を強くしてやる。」
その言葉聞くのを最後に俺は意識を失った。
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