風呂
よろしくお願いします。
「ここが脱衣場よ。洗濯物はここに入れておいて。機械が勝手に洗ってくれるわ。」
「わかった。」
俺はゴーグルを頭から外し、ボロボロの病院服を脱ぐ。
「ちょっと待ちなさい。それ、もう限界だと思うわよ。」
俺は自分が脱いだ服を見る。この服で何度も戦闘をして、何をするときもずっとこの格好でいた。そして、今日の戦闘で肩の部分を大きく切り裂かれてしまい、もう本当に限界だった。
「これ以外に服持ってないんだけど、どうしよう?」
綾女が横で黒いドレスを脱ぎながら答える。
「透蜜が着替えを持ってきてくれるから大丈夫よ。必要ないなら捨てておきなさい。」
「わかった。」
(今まで助かった。ありがとう。)
俺は心の中でお礼を言って、ゴミ箱にボロボロになった服を捨てる。この服には今までずっとお世話になった。
どんなお風呂なんだろう。三人で入れる大きさなんだろうか。俺はどんな風呂なのかいろいろ想像してみる。
綾女がブラジャーを外して最後にパンツを脱いで裸になる。へアゴムを手首につけてタオルを持ち、お風呂に続く扉を開ける。
「見たら驚くわよ。」
俺と真白は笑ってお風呂場に歩いていく綾女に続く。
そこにあったのは巨大な温泉だった。石で作られた湯舟の一角にはお湯が出てきている場所がある。湯の色は白く濁っていてあちこちに白い膜ができている。
「すごい。本当に温泉だ。温泉って今の時代にもあったんだ。」
都市では動けなかったのですごく浅い風呂にしか入れなかった。溺れないように安全の為だったので仕方がなかったが、そのせいで俺はずっと大きい風呂に入ってみたかった。ぶっちゃけ俺は少し大きい風呂がある程度だろうと考えていた。これは予想外だ。
温泉は俺がいた都市にはなかったと思う。昔は日本のいろんな町に温泉があったらしい。
「驚いてるみたいね。その顔が見れて満足よ。今時源泉かけ流しなんてここぐらいしか無いわよ。さあ、こっちにいらっしゃい。体を洗ってあげるわ。」
俺は綾女にの側にいきシャワーをかけられる。シャワーから出てきたのも暖かいお湯だった。すごく気持ちがいい。綾女がシャンプーとボディソープで俺の体を洗っていく。どちらも何かの花の香りがする。
「ほら、目を閉じなさい。洗い流すわよ。」
俺は言われた通りに目を閉じてジッとする。頭から順番に綾女の手とシャワーによって洗い流されていく。
「これでよし。うん。しっかり男前になったわよ。」
俺は鏡に映る自分を確認する。今日の戦闘でついた汚れが綺麗になっていた。
「綾女、ありがとう。真白は俺が洗ってあげる。」
真白の髪にシャンプーをして優しく洗っていく。真白の髪は本当に綺麗だ。基本的に白色なのだが、光の当たり方によっては銀色に見えることもあるくらいだ。
(髪は女の命、だったよね。)
俺は昔、病室で聞いたセリフを思い出す。今も真白は女の子かわからないけど、髪が長いから女の子として扱うと以前に決めたのだ。俺は次に体を洗う。下半身が無い分俺よりも早く終わる。脚も全て開かせて隅々まで洗った。
「待ちなさい。真白の髪にはコレもしてあげなさい。」
「これは何?」
「トリートメントとコンディショナーよ。真白は女の子なんでしょ?もっと、もっと気を使ってあげないといけないわよ。」
もっと気を使わなければいけないらしい。女の子と一緒にいるのは思ったより大変のみたいだ。だが、これからも俺は真白と一緒にいたい。
「わかった。頑張ってみる。どっちを先に使えばいい?」
綾女が体を洗いながら答えてくれる。綾女の体を泡が包み込み、玉のような肌が更に輝いて見える。
「わからないものをちゃんと聞けたのは偉いわよ。これからも分からないことは全部私に聞きなさい。先にトリートメントよ。その後にコンディショナーをしてあげて。髪の真ん中より下に使うのよ。使ったら2分くらい放置しておいてから洗い流すの。」
俺は言われた通りに真白の髪を洗っていく。真白の白い髪がどんどんさらさらになっていく。
「真白の髪の毛、すごい綺麗。」
そう言うと真白が嬉しそうに笑った。全ての行程を終えると綾女から声がかかる。
「やり方は覚えられたかしら?」
「大丈夫。ちゃんと覚えた。」
俺は自信をもって答える。手順道理に真白にできたし問題はなかったはずだ。
「なら今度は私を洗ってもらおうかしら?背中、お願いするわ。」
「わかった。」
さっきやってもらったように俺は綾女の体を優しく洗っていく。すごい綺麗な肌だ。直に触れるとそれがよくわかる。適度な弾力があり、それでいて表面はつやつやだ。
「あら、今日は霧刃に洗ってもらっているんですね。」
入口の方を見ると透蜜が扉を開けて入ってくる。元々この中で一番大きいが、背中から出た脚があるせいか余計大きく見える。
「気持ちいいわよ。透蜜も後でやってもらったら?」
「ならお願いしてもいいですか?」
透蜜が頼んでくる。綾女の後でいいとゆうことなので大丈夫だろう。並行してやれと言われたらさすがに無理だったが。
「わかった。透蜜も洗ってあげる。」
「お願いします。」
俺は体を洗い終わったので最後に綾女の髪のコンディショナーを洗い流す。
「ありがとう。気持ちよかったわ。お先に湯舟に行ってるわね。真白も行くわよ。」
「いってらっしゃい。」
俺は真白達に手を振って、透蜜の背中を流し始める。二人にやったように背中を洗う。その後優しく手を入れて髪も洗っていく。後ろから見ると背中から生えている足がよくわかる。蟻とか蜂の足に近いような気もする。
「これで終わったよ。」
「霧刃、ありがとう。私たちも入りましょう?」
透蜜と一緒に湯舟に浸かる。
「…………あぁー……」
すごく気持ちがいい。なんというか普通のお湯と違い体に染みわたる感じがする。先に入っていた真白が並んでくる。横を見ると真白は幸せそうな顔をしていた。
「霧刃、とても気持ちよさそうね。」
「そうですね。まあ都市のお風呂と比べたらこっちはすごい豪華ですから。」
髪を束ねた綾女が透蜜と話をしている。だが、この温泉の力に抗うことはできなさそうだ。
俺は真白を抱えながら温泉を満喫した。
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「暑い…」
俺と真白は下着姿の綾女と透蜜の前にいる。
「全く。私たちが出るまで一緒に入っているなんて。まだ子供なんだから時間には気をつけなさい…」
何をしているかというと、のぼせた俺達は脱衣所でぶっ倒れていた。
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