ギフトは愛
よろしくお願いします。
「そうだ。ねぇ、二人のギフトって魂喰と融合で合ってる?」
唐突にそう言って綾女が聞いてくる。
「俺は魂喰で合ってる。真白のは俺も知らない。俺は合体かと思ってた。」
真白の方を見ると綾女を見て頷いている。
「そう。ありがとう。やっぱりそうだったのね。」
「俺達のギフトがどうかしたのか?」
そういえば、俺達の家に来た時も同じ事言っていたな。
「説明しておいた方がいいわよね。二人はギフトは大きく分けて2種類あるのは知ってる?」
「知らない。」
俺は即答し、真白も首を横に振る。それを聞いて綾女は丁寧に説明を始める。
「ギフトには”欠片”と”器”の2種類があるの。欠片はギフトの99%以上を占めてる。戦いに向くかどうかは別として、これは誰にでも扱いやすいものが多いわ。まぁ中にはヤバい奴もあるけどそれは例外よ。それで残りの1%未満が器。器は他の同系統の欠片を取り込むことができるのよ。でもなぜか、決まって体の障害がひどい人や部位の欠損がある人に発現するの。つまり、二人はこっちね。」
欠片と器。俺は自分の中にある加速と跳躍を思い出す。
(複数のギフトを扱えるのは魂喰が器だからなのか?なら魂喰の能力ってなんだ?)
俺はすぐに綾女に質問をする。
「待ってくれ。じゃあ、俺の魂喰の能力ってなんなんだ?器のギフトを持ってるならなら誰でも複数の欠片のギフトが使えるんだろ?」
「そうね…さっきも言ったけど器には同系統の欠片しか取り込めないの。あなたの魂喰の能力はその”系統を無視することができる”というものよ。魂を直接取り込んでいるのが原因ね。おそらくもっと応用もきかせられそうだけど、今はいいわ。」
「ふふっ。何度聞いても無茶苦茶なギフトですね。」
透蜜が微笑みながら話しかけてくる。
「あなたのギフトは器の中でも恐らく最強よ。ちなみになんだけど、都市を出る前はどんな暮らしをしてたの?」
俺は下を向く。体に異常があるものに器のギフトは発現する。俺に魂喰が発現した理由は深く考えなくても理解できた。
「俺は生まれてからずっと病院にいた。四肢が動かず、喋ることもできない。左手と左目は元からなかった。」
少しの間、沈黙が流れる。さっきまで笑っていた透蜜も沈んだ表情になっている。
「そうだったのね。でもそんなにひどい状態なのによく5年も都市に居れたわね。普通なら良くて3年よ。多分あなたの家族があなたの為に働きかけたのよ。そうじゃないと5年はあり得ないわ。」
(家族が俺の為に?でも俺にはおばあちゃんと会ったことも無い姉しか…まさか……)
「…まさか…お父さん?」
俺の口から無意識に発せられた言葉。お父さんは俺を見るたびに悲しい表情をしていた。それに、最近は前ほど会いに来てくれないからもう嫌われたんだと思っていた。
(俺に会いに来るのが減ったのは俺が嫌いになったからじゃなくて、俺を少しでも都市で生きていけるようにする為…?)
「あ、れ?」
顔が濡れて、視界が揺れる。下を向くと悲しそうな真白の顔があり、水滴が付いている。
(俺、なんで、なんで泣いてるんだ?)
俺は家族でおばあちゃんしか俺の事を愛してくれてないと思っていた。だが、そんなことは無かった。
(そうか。俺ってお父さんに、愛されていたんだな。)
「ああっ、ああああああ、ああああっ!!」
俺は感情が溢れ出し、大声で泣き出してしまう。
「っ!!大丈夫ですよ。もう好きなだけ泣いていいんですよ。」
透蜜が横に座り、俺を抱きしめてくれる。彼女の方を見ると俺を見て泣いていた。真白も俺の手を握ってくれる。
(なんで泣いてるんだ…泣きたいのは俺のはずなのに…なんで、なんで泣いてくれるのがこんなにも嬉しいんだ…)
俺はしばらくの間、透蜜の腕の中で泣き続けた。
俺が泣き止んだのはコップに残っていたお茶がすっかり冷めたころだった。
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