地獄絵図
目を開けてみると、目の前には美しく咲き乱れる花々が・・・・・・。
と言いたいところだが、残念なことにその真逆だ。まさに地獄絵図とはこの事を言うのだろう。あちらこちらから聞こえてくる叫び声やうめき声。よく見てみると鋭利な刃物で背中を刺されている者や、何者かに追いかけまわされ逃げ惑う者、火あぶりにされている者、ここにいるすべての者がボロボロにされ、助けを乞うている。
目を覆いたくなるような光景がそこには広がっていた。ここはまちがいなく地獄だろう・・・。ここを地獄と呼ばずどこを地獄と呼ぶのか。本当にここは悲惨だ。痛みや悲しみ、すべての陰の集まりのような感じがした。やはり俺は死んだのだ・・。しかも地獄におとされた。今に俺もそこで無数に苦しんでいる者達のように痛めつけられるんだ・・・。
あまりの光景に立ちすくんでいると、また何かが呼ぶような声が聞こえてくると同時に、さっきと同じようにすごい力で引っ張られた。
次に引っ張られた先にいたのは“恐怖”だった。
七つの頭がある物体がそこにいた。例えようのない恐怖だった。その七つの頭の一つが俺に話しかけてきた。
「お前を呼んだのは俺だ。」
「・・・俺は死んだのか?」恐る恐る聞いてみた。
「いや死んだのではない。時期がきたのだ。」
「・・・・時期?」
「お前は二十歳になった。お前は俺の子供として目覚めたのだ。鬼の子としてな。」
ますます意味がわからず、俺はだんだんとこれは夢なんじゃないかと思い始めていた。