夢の現実
そして竜巻の一件から数ヶ月のこと。三度目の偶然が訪れた。
兄貴の妻が自分の見た妙な夢を兄貴に話してきた。
その夢とは、何者かに背中から黒い物体を入れられたと言うのだ。夢にしてはあまりにリアルな感覚が気になったらしい。僕と兄貴は念のため調べにいくことにした。
すると、それは夢ではなく現実のことだった。
背中から入れられたのは鬼の子供で、兄貴の妻は妊娠させられていた。僕は、彼女と息子の住む家の結界は最低でも二日に一度は破れていないか見にいくのだが、兄貴は適当に見ていたため破れていたことに気づかず、そこから入られてしまったようだ。
兄貴の妻に入れられた鬼の子は僕たちとは違い正当な鬼の子で、少し成長しただけで僕と兄貴の二人で力を合わせてもまったく歯がたたない力を持つほどになる。
この子がこの世に出てきてしまったら鬼のドアとなって再び鬼がこっちの世界に来れるようになってしまう。そうなると最初にすることは間違いなく僕たち一族を一人残らず殺しにかかることだろう。
なにがなんでも腹の子をこの世に出してはいけない。
僕と兄貴はさっそく兄貴の妻の腹からその子を出し、帰そうとした。ところが一日あれば済むことだと思っていたのだが、思いの外かなりてこずった。腹に入れられて間もないというのにとんでもない力を持っていた。
結局全てを終えるまで四日ほどかかってしまい、彼女に相当心配かけてしまった。だが、今回のことも兄貴の妻があと一日でも兄貴に言うのがずれていたら、僕たちでは対処できなかった可能性の方が高い。すぐのすぐに話しても一時も気が抜けない状態だったのだから。
このことがあってから、増々彼女は自分たちが神様に守られ、導かれていると喜んだ。
そうなると自分が神に応えるべきことは一つだと、今まで以上に俄然やる気を出し“呪い”と闘いだした。
彼女がやる気を出してくれることは僕たちにとって非常にありがたいことではあるが、この時点ではまだ神の助けがあったとは僕は信じきれていなかった。兄貴にいたっては少しも信じていないようだった。
だが、次に起こる出来事で僕と兄貴も希望を持てるようになっていった。
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