表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
上書きされた僕の血筋  作者: pipoca
僕の事
32/44

救い

そんな生活の中、二つ目の偶然を体験する。


俺と兄貴二人共がまったく気付かない中、竜巻を起こそうと他の鬼の頭が静かに動いていた。その竜巻は彼女の住んでいる地域も兄貴の妻の住んでいる地域も襲い、甚大な被害を出すほどの規模だった。


しかし彼女からの一通のメールでその竜巻の存在に気づくことができ、結果何ごともなく済んだ。


もし、あのまま気づかなければ彼女も息子も、兄貴の妻も子供たちも今頃死んでいただろう。その彼女の送ってきたメールは、彼女の父親から送られてきたメールを転送したもので、その内容は空の雲の画像が添付されたメールだった。


後から聞いたのだが、義父も友人からそのメールを受信し彼女に転送したそうだ。友人がそのメールを義父に送ったのは地震雲だと思ったからのようだった。


普段の彼女は、そういった少し変わったメールがきても電話で話すか、会ったときにそのメールを見せてくれるかのどっちかなのだが、この日は受信してすぐに僕に送ってきた。もう少し時間が遅かったら手遅れになっていた可能性も多いにある。本当に危ないところだったのだ。


ここにきて僕は誰かに助けられている気が少しずつしていた。


普通の人間なら先祖の人間が思い浮かぶだろうが、そんな程度ではない。この世の全てを握っている神によって守られているのではないか・・・と感じ始めた。


だが、その考えもすぐに消えた。なぜなら僕は神とは間逆の世界の者だから。彼女と出会ってからの僕は悪いことはせず、彼女のためや、彼女の身内のために普通の人間ではどうにもできないことを無条件に助けたりしてきた。


それは僕たちの世界ではしてはいけないことで、罰も受けてきた。しかし、どんなに苦労して助けても信じてもらえないことも多々ある。


通常はその報復として何かを憑けたり解決したことを二倍三倍にして返したりするのだが、彼女の支えもあり何を言われてもグッと堪えてきた。


日常生活においても神がタブーとすることはやめてきた。それでも僕の行いは神に届かない。

僕の声も届くことはない。


しかし、彼女はそうは思わないようだ。必ず見てくださっていると信じている。そうでなければおかしいと。いつも僕が落ち込むとそう言って励ましてくれるのだが、僕にはなかなかそう思うことは難しい。


そうであってほしいとは願うが、僕はこの世界のことを知っている。彼女が自分の力を信じることができないのと同じで、僕にも信じることができないのだ。それでも、もし仮に本当に神の手が加えられていたのであれば、それは彼女と息子。それに兄貴の妻と子供たちのためだろう。


決して僕や兄貴のためではない。


平日14:00~17:00の時間帯で投稿を続ける予定です。

最後まで読んでいただけますと幸いです。よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ