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上書きされた僕の血筋  作者: pipoca
僕の事
31/44

発見

さて、ここにきて僕たちは様々な偶然に出会うこととなる。


始まりは向こうの世界でたまたま手にした一つの文献だった。


そこにはまさに僕たちがずっと探し求めていた鬼の頭から外れ、一人に一つの身体を手にできる術が記されていた。その一冊に出会えたことは奇跡的だった。何せ日本の国土を埋め尽くすほどの膨大な数の文献の中の一冊だからだ。


そこに記されていた方法とは、人間から力を貰いその力を使ってもう一人の人間の身体を作り出すというものだった。


人間の力といってもいわゆる生命力のことで、一人に多くの力を貰うことはできない。一体何人の人間から集めなくてはならないのかまでは記されていないため、やってみないことには見当もつかなかった。


そしてその力を集めるにあたって重要な役割を担うのが彼女と兄貴の妻だ。これはこの二人にしかできないことで、僕と兄貴は手を出すことができない。


だが、彼女たちがしていることは解くことのできない呪いに自ら向かっていっているようなもので、それはそれは力を使うため、なかなか先に進むことができなかった。ひどい時は一ヶ月以上何もしないときもあったりした。


確かに子育ても大変で、なおかつ頭痛もあり、夜は恐くて眠れないせいで毎日寝不足。そのため日中は頭が働かず睡魔と闘う日々。そんな中、精神的に負担がかかることを避けたくなってしまう気持ちはわからなくもない。


だが、鬼の頭から外れれば彼女の頭痛も治るし、子育てだって毎日帰ってこられるようになれば少なくとも今よりはずっと彼女の助けになれる。


休日も遊びに出掛けたり、金の心配だってしなくて済むようになる。今の現状は僕と兄貴一つの身体の収入で三部屋アパートを借りている。


一つは彼女と息子の住む家。一つは兄貴の妻と子供たちの家。もう一つは兄貴が帰る家。


最後の家は一見必要がないように思えるが、もし兄貴が妻の家に帰った場合、仮に彼女の親が妻といる兄貴を見たらどう思うだろう。姿かたちは僕と変わらないため、完全に浮気していると思うだろう。それを防ぐためにはやはり最後の家は必要となってくるわけだ。


そうなるとやはり金銭的にかなり辛いのが現状だ。彼女も兄貴の妻もお互い毎月決まった金額の中でやりくりしているのだが、ギリギリ、もしくは足りないぐらいだ。


そんな中でも唯一の救いはお互いがお互いを思いやっていることだ。まだこの段階では一度電話で数分話したくらいで会ったことはないのだが、それでも共に同じ悩みを持ち、同じ苦労を味わっている者同士の思いがあるのだろう。


しかし彼女にせよ兄貴の妻にせよ、生活の苦労は次第に節約の知恵がついてくる。そうなると「贅沢はできないけどやっていけてるからいいか」という考えになり、生活が苦しいから僕と兄貴が離れられるようにがんばろうという目標の一つは薄くなる。


だからといって急かすようなことを言うと逆ギレされてしまう。親が子供に「勉強しろ」と言う事と同じだ。結局は彼女次第で僕は待つしかないということになる・・・。

平日14:00~17:00の時間帯で投稿を続ける予定です。

最後まで読んでいただけますと幸いです。よろしくお願い致します。

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