計画
それは妻の妹。
つまり俺からすれば義妹になるのだが、この義妹は本当に心が真っ黒な人間だ。黒ければ黒いほど鬼にとっては都合がいい。そんな人間を鬼が放っておくわけもなく、義妹にある話を持ちかけた。
それは義妹にも俺が身体を追い出される前に使っていた力、すなわち他人の心を読めたり、過去や未来が見えたりする力を使えるようにする代わりに、性行為を行い子供も産むように約束させた。
傍から見れば立派な不倫関係だ。
性行為も一度や二度の話ではなく、何度もしなくてはならない。それには理由があった。
鬼は義妹から性行為を行なうことで力をもらっていた。いくら俺の身体に鬼が出入りできるようになっても、鬼はこの地上に元々いられないし、いてはいけない。そのためすぐに力を消耗してしまう。だからこそ真っ黒な心の持ち主である義妹に目をつけたわけだ。子供を産ませるのも、もう一人鬼の子を作るためだった。
全部で七人鬼の子を作らなくてはならないのだが、七人揃うのに何十年、何百年、何千年かかるかわからない。待っているよりは地上にいるうちに一人でも多く作っておこうとしたのだろう。
結果的に義妹は条件をのんで力を使えるようになり、散々力を使いまくった。まるで前の俺のように・・・。
ひとつ違うといえばそれプラス鬼の力も借り、気に入らない相手がいれば鬼に頼んで力で痛めつけたり、不幸になるようにし向けたりしていた。
やがてそんな義妹もついに鬼の子を身籠った。すべて鬼の計画どおりだった。
一方、実の妹と中身は違うが自分の夫がそんな関係であることなどまったく知らない俺の妻にも一つの変化が起きていた。
ひどい頭痛に悩まされる日々を送っていた。その頭痛の原因は、妻も力が使えるようになる準備ができ始めていたために起こっていた。
これは鬼の子の妻として避けては通れない道だった。しかし俺の妻は義妹とは真逆で真っ白な心の持ち主であるため、俺達のように黒の力とは違う白の力が目覚めようとしていた。
そこで鬼は自分では使うことのできない妻の白の力も利用しようと考え、さっそく力が使えるようになるために手引きした。
そして霊の声が聞こえだし、霊の姿も見えだし、やがて力も少しづつ使えるようになってきていた。鬼も利用価値のある妻が狂ってしまわないようにしっかりフォローしサポートしていた。
しかし、ここから鬼の計画は少しずつ狂いだしていった。




