おもちゃ
それから四年の月日が経ち、俺は二十四になった。
そしてその日は突然やってきた。
俺の身体に鬼が入り、俺は自分の身体から追い出されてしまった。鬼はこの時をずっと待っていたようだ。俺に力を持たせ、そしてその力を使いまくらせる。使えば使うほど力が強くなり結果、鬼を受け入れる身体が出来上がってしまったようだ。
いくら契約によって鬼の子となっても、鬼自体を受けられるほどの力はなかった。そこで“オモチャ”を与えられたわけだ。なにも知らない俺にとって力は本当に楽しいオモチャだった。
誰だって未来が見えたり、自分の目の前にいる人が何を考えているのかがわかるようになれば、その力を最大限に利用するだろう。
ほとんどの人間には裏があり、その裏を隠して生活している。だが、その裏もすべて見ることができれば自分にとって都合よく操ることだって可能で、間違っても自らが損をすることは絶対にない。
自分や家族の危険を回避することもできれば、ギャンブルで一儲けすることだって簡単にできる。人間誰しも一つは恐れることがあるものだが、この力を持てばこの世界で生きていくうえでの恐いものは一つもなくなるといっても過言ではない。
そう、ひとつもなかった。だから使いまくってしまった・・・。
一度手に入れた身体を鬼が簡単に出ていくはずもなく、魂だけにされた俺はただただ見ていることしかできなかった。
そんな俺などおかまいなしに鬼は仕事にとりかかった。