表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/44

無敵

いつもは起こされてもなかなか起きない俺が妻より早く起き、妻と娘を起こしてまわった。


「こんな早くにどうしたの?」


「今日出かけるって言っただろ?忘れたのか?」


「だからってこんな早起きしなくてもいいじゃない。遠出でもするつもり?」


まったくもって計画は立てていなかった。どこに行くのかが目的なわけではない。


夫は頭がおかしいかもしれない・・・。


と1パーセントでも思われているのが嫌で嫌でたまらなかった。せめて妻にだけは100パーセント信じてもらいたかった。


とりあえず家族連れのたくさんいる公園へと向かった。


「なあ、あそこにいる家族が次に向かう遊具は何だと思う?」


突然の俺の問いに妻は少し戸惑っているようだった。


「いきなりどうしたの?そんなことわかるわけないじゃない。」


「俺が当てたらどうする?俺の力のことを信じてくれる?」


「・・・そうね。でも仮に当たってもマグレかもしれないじゃない?ここにある遊具の数は知れてるわ。」


「でも少なくとも主要な遊具や乗り物は八つはある。その中でも滑り台だけでも大小合わせれば四つある。そこまで細かく言い当てれば信じるか?」


「本当にそこまで細かく当たればね。信じるわ。」


「よし。」


俺はその家族に神経を集中させた・・・。


「上の子は、あそこにあるローラーの滑り台に行きたいと言うけど、下の子は汽車に乗りたいと言う。そこで、まずは汽車に乗りに行ってから滑り台に向かう。」


はっきりと見えた。間違いない。その家族が動くのを待った。


「動いたわ。」


こっそりと後をつけた。すると、やはり汽車に乗りに行った。その後も俺が見えたとおりローラーの滑り台に向かった。


「信じてくれた?」


「・・・う、うん。」


なんだか歯切れの悪い返事に納得ができなくて、もう一度別の家族で試してみることにした。


「また・・・当たったわね・・・。」


「もうさすがに信じてくれたっていいだろ?」


「すごい!すごいよ!それで他にはどんなことができるの?」


それからというもの、ことあるごとに力を使いまくり二人で遊んだ。


自分たちの知り合いのほとんどの人生も見まくった。普通に会話しているときだって本当は何を考えているのか、嘘をついているのかさえも俺にはわかる。


力を使えば使うほどできることも増えていった。そしてできることが増えればまた使う。普通の人にできないことができるということは、なんともいえない優越感が味わえた。


この頃の俺に怖いものなど何もなかった。力を持つ本当の恐さ、意味、そして鬼の企み。無知ゆえに乱用しまくってしまったのだ・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ