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試合開始五分前に試合の場所に付き、入場料を払い会場を見渡す。そうすると会場は、例えるなら会場は直径十キロくらいの大きさのコロッセオの舞台の中に様々な材質の障害物が上空含めてアスレチックスの様に張り巡らされている場所だった。
「んー、舞台に障害物が多すぎるな。この会場だと多分機械竜の機動力は見られないかな?」
「デモンストレーションなら壊す前提な可能性も有りますよ」
「ま、そうだな。じゃあ見てみるか。そろそろ時間だ」
そして黄色の機械竜と先に見た深紫の機械竜が入場して来た。だが会場が広いのと障害物が原因で、現地に居るのにモニター越しにしか状況が解らん。まあ、それは良い。其処で試合開始のタイマーが時間を告げた瞬間、二体の機械竜は互いに電磁砲か何かを撃ち出し、会場の対角線上の障害物を尽く破壊し、接敵を始めながら次弾を装填し始めた。黄色の機械竜の方が速く装填を終えたのか深紫の機械竜より早く電磁砲を撃つが深紫の機械竜はそれを普通に防ぐ。……なんて言うかアレだな。
「砲弾が電磁的に撃ち出されているが、それを電磁場をぶつけて防ぐ、か。電磁砲の乱射合戦とかもう意味が解らん。と言うか障害物がハリボテかとか言いたいくらいには飴細工のように壊されるね……」
「そう言えば、レールガンやコイルガンに理論上の限界速度は有りません。只、磁石の性質を使う以上、弾丸も磁石化して居て、応手で十分な出力の弾を反発する電磁場を展開して置けば、電磁力の出力で対抗出来さえすれば直接には何処に撃たれようが当たらない……と言う事だと思います。それを互いにして居て互いに膠着状態に成って居るのでは?」
「……と成ると、出力が似たり寄ったりだったので、後は電力量的のゴリ押し合戦なのは互いに相手の充電切れ狙いかね……」
「……もう数百発は撃たれていますよね、電磁砲は」
「本当何だって言うのかね……発電設備の搭載や遠隔充電方法でも構築していて無尽蔵状態に見えるだけなのだろうか?」
そして更に二百数十発ぐらい撃ちあった後に黄色の機械竜の方の充電が切れたのか普通に電磁砲が通り破壊され、決着した。
「……なんて言うか、もう数えられただけでも合計千発其処らは電磁砲なり何なりを撃ちあったのか? もう何が何だか……」
「なんか砲弾の軌道が通常の物では無い奴も有りましたよね。多分電磁場の相互干渉で電磁砲の軌道が歪んだのだと思いますが……」
「本当にアレだな……」
そして会場から出て、どうするかを考えてみる事にする。さて、次はどうしようかね……。其処でケールハイトが追加で感想を口にする。
「凄い事は凄いですが、会場の都合で機動力が見られませんでしたし、何なら物理格闘のスペックも解りませんでしたね。デモンストレーションで敢えてやらないと言う事は、何か演目内容に下駄を履かせているかも知れません」
「それを言うなら周りの障害物だってそうだ。それらの物質の硬度を開示されてないから柔い物だった可能性も有る。まあ、それでも仮に外部からの給電在りきだとしてもあれだけの数の電磁砲なり何なりを撃てるのは確かな訳だし」
「確かに見せ方的に実演内容に下駄を履かせる事は可能な気もしますが、それ込みでもヤバイ事はヤバイと言える内容なのが何とも言えないですね」
実際障害物の破壊と最後の破壊が無かったら、電磁砲を撃って居る様に見せかけるホログラムを展開し合い、それを互いに電磁場で潰しているだけ説も有り得た気がするので、機械竜の機動力を活かすステージにせずにステージに破壊前提の障害物の膨大配置は妥当なのがなんとも言えない。
「此処で言う下駄が弾幕に偽の電磁砲を混ぜる事だとしても、そのフェイク弾も電磁まみれなのは変わらんから、計器で図りながらでも無く、只単に見ただけだと偽物とは簡単には解らんと言う……」
「此処で言うそれは多分電子シールドとホログラムを纏うナノマシンの高速射出だと思いますから、弾幕が一種類しか無い訳では無いだけで、偽弾幕と言うほどでは無いのでは無いですか? まあ、使用電力量の大きな違いが有るなら別としてですが」
「ははは、本当にアレだな……」
と、其処でストーカーらしき奴が来たので、今回の襲撃者が来たのだと察し、周りに迷惑が掛からない場所に移動した所で、俺とケールハイトに多大な重力が掛けられた。辺りを見回すとそれらしい機械が空中に浮いている。アレを壊せば、と思った所でいきなり武器が投擲されて来たので防ぐ。なんか重力で加速して居るのも有るのだろうが異常に速いし、何なら投げている奴も居るはずなのに何処にも見えない。光学迷彩なら投げる武器側も隠しながらやれば良いはずだし、多分別の理屈なのだろうが……。そして機械を壊し、警戒しつつ他所の時計を見たら試合を見た時から四時間くらい経って居た。
「え? 俺らはタイムトラベルをしたのか?」
「……水霧、何を言って居るのですか?」
「手持ちの時計じゃ無くて、其処の時計見なよ。さっきより明らかに時間がずれている」
「……其処の時計が壊れているだけの可能性も有るので、電波時計とかテレビ番組で表記されて居る時間を見たいですね」
「ああ、そうだな。じゃあ、電気屋に行くか……」
其処で何処からか再び武器が大量に投擲されるが今度は普通に対応する。……重力に依る加速が無いからだろうとは言え、流石に簡単過ぎるな。
「じゃあ先に犯人を捕まえますか」
「だな……」
そして暫くの間辺りを探すが、近くには店の店員すら含めて一人すら居ない。
「逃げられた、のか?」
「……とりあえず今日は早く範囲外に引き上げましょうか。不意打ち暗殺狙いなのだとしたら長く居座るのもアレですし」
「……だな。じゃあ帰るか……」
そして手早く張りぼて都市の外に出て帰宅したのだった。
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自宅にて、時間を確認した後、あれは何だったのだろうかと話し合う事にする。
「多分なのですが、今回の話は重力がキーですよね」
「時間のスキップが? ……ああ、SFなんかだとウラシマ効果とか言うのが有るのだっけ。だがアレを長時間のタイムトラベルに活かそうとしたら周りとかなりの重力格差が必要な気がする」
「只の重力だったらそうですね。恐らく空間歪曲辺りなのでは?」
「空間歪曲って出来る物なのか?」
「さぁ? ですが、急速降下等でGを掛ける事は科学で可能なので、それを行った、のですかね?」
「……良く解らんがまあ、良い。要は鈍足魔法みたいな事をされた訳だな。空間対象だから他が高速でどうこうやろうにも他が近場に来た瞬間其方も鈍足に成る形だが……」
「それはともかくとして、次回行く場合は急襲されると思うので、見ながら色々な案を考えるのは厳しいと思いますけど、どうしますか?」
「少しずつ貯蓄して置いて緊急時に大量消費して巨大化する……と言うのも出来るだろうけど、魔法じゃ無いのだし、濃縮や圧縮したとしても、質量換算だと一トンくらいの量は欲しいが」
「重さの原因物質を造るなり何なり出来るなら、それらが重さに換算されない様にするくらいは出来るのでは?」
「……ふむ、そう言えばそうか……色々と試してみよう。シミュレーター上でサプリメント辺りを試してからにするけど」
「まあ、一トン分の重さの各種のサプリメントを何度も購入すると考えると、経費がヤバすぎますから、一度の巨大化の対価として使うのは千キロくらいが限界ですかね……」
「緊急時はそうは言ってはられないけど、まあ、そうなるかな……。だから色々なサイズでの駆動の練習も熟さないと……」
そして一通りシミュレーターで練習を熟して、今日は終わった。
次の日。張りぼて都市にまた行く事にした所で、ルド様から連絡が入る。
『今日は張りぼて都市の闘技場に来てくれ。機械竜と戦ってみようか』
「……昨日の闘技場でヤバイ奴を見たばかりなのですが、本気で言っています?」
『アレとは違うから。メインは風と氷の奴だな』
「……解りました。じゃあ其処に向かいます。何時に行けば良いですか?」
『そうだな。後一時間後の昼一時くらいかな』
「了解です……ヤバイのか出るのは解りきっていますけどね……」
『ははは、模造品だから其処までじゃ無いよ。じゃあ一時間後な』
「それでは一時間後に」
そして通話を切り、準備を済ませ闘技場へと移動し、機械竜とバトルする事に成った。




