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「……はぁ、科学で説明出来るヤバイ奴も居るが、一目見ただけだと何処が科学? と言う奴も居るな」
「科学は科学でも錬金術的な物も有りますからね。原典の創り主以外が本来再現出来なかったのが、本人側が創れていた前提で考えると、当人の他への嫌がらせも有り得ますし」
「確かホムンクルスは馬糞とか精子とかアレなのが材料に必要とか言う話だしな」
「只、精子や卵子が生物創造の材料に使われるのは割と妥当ですけどね。後は合わせて精子か卵子の代わりの物を創れれば良いのですし」
「科学でそれを言い出すとそもそもキテレツな物を混ぜまくるより完全新規の組み合わせのDNAの生物を産ませるのを模索した方が早そう。半人間の種族の創作存在ならそれで創るのは行けるだろ」
まあ、一応言いはするけど、それが禁忌認定に成らない訳が無いけどな。
「一応デザイナーズベイビーとかゲノム編集は禁忌扱いですけどね」
「まあ、それはそうだな……ま、それを言い出すと高度なAI自体が映画で機械の反乱ネタの有名映画が有るくらいだし、医学だってマウスを薬物の実験動物にするのは許容されている。ま、そうしなかった場合に初期の薬物の投薬治験に必要な検体確保をどうするよ? と言う話だから、しょうがないのだけどさ」
「終身刑の犯罪者にやらせるとか、どうでしょうか」
「少数の奴で全部受け持てる能力持ちの検体が居るならともかく、そう言う物が論外なら、無尽蔵にそう言う人が居る訳でも有るまいし」
「なら不死身能力持ちが犯罪者だとそれが出来るので捕まったら死なない前提でありとあらゆる未完成の薬物漬けにされそうですね」
「ははは、そうなるな、……気を付けよう。まあ、俺の能力は厳密には不死身では無いとは言えね」
「まあ、末路で継続的な拷問三昧や継続的な薬物漬けとかは割とアレでは有りますね。只、捕縛体制が継続出来ない期間迄耐えれば何とか逃げられる事も有るとは思いますけど、現代社会でそれだと戦争や収容所へのテロ等の問題でも起きない限り、百年はくだらないレベルで継続的な拷問くらいは覚悟しないとアレだと思います。神話だと桁が違う間牢獄に入る奴も居ますけどね」
「本当ヤバイな……捕縛された場合の脱出手段も構築しまくって置いて損はないな」
「ですね。そうするのが無難だと思います」
「じゃあそれを話し合うか、まず……」
そして更に話し合いを行い、打ち合わせを行って行くのだった。
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話し合いが終わり、既存技術で自分が使えそうな奴を習得してみる事にする。連行に対して超絶の重さ故に連行出来ないと言うネタは有名作品でも散見されるが、それを自前で再現する為にはどうするかと考え、体重の正体に付いて調べた。すると、世界で一番重い物質の構成物質が人間の身体にも有る事を知った。まあ、理屈の具体的な言及はさておいて、つまり、角砂糖一つ分の重さが三億トンを自分の身体で再現出来る。……だから身体が通常の人間の大きさなのに数千トンの重さに成るくらいなら行けるかも。使いこなせば自分の身体から生成した数百トンの重さのハンマーを相手に叩き付けるくらい余裕かも知れん。何とか取得しないとだ、これは。明らかにヤバイだろ。数百トンだぜ? まあ、重さをどうこう出来る奴には意味が無いかも知れないけどね。
……単純に早くて攻撃が当たらん奴とか、その場で拘束尋問をするとかへの対策はどうなのだって? そもそも速い奴はともかくとして、本筋は確保された際の連行封じのネタをやる為のネタなので有って、何処かに連行しないで済ませれば良いとか言われても、連行封じが破られた訳でも有るまいし……。と、それはどうでも良いか。問題は数百トンをどう運用するか。いやまあ流石に数百トンを能力無しで高速でブンブン振り回すのは無理だろとは思うけど、相手よりも高所で創り、相手に向かって落とすだけって言うのも、芸が無い。俺より上に滞空されたらアレだしね。筋肉の補強をして、如何にかするかね? 其処でケールハイトから待ったが掛かる。
「水霧、ある程度以上極端に重くするのは止めてくださいね。ミニブラックホールが起きてもアレですから」
「あー、そうか、それでブラックホールと言うより、引き寄せ能力と言うか自分を起点とした重力を起こせるか……シミュレーター上で試してからにしようか」
そしてシミュレーターの内部に移動して色々と試す事にした、のだが。
「駄目だな、これは。小惑星の数億トンクラスの重さで起きる重力じゃあ大した重力は起き無いね」
「確かにそれだけで倒すと言うには弱すぎますね。補助以上の物をそれで造れるなら良かったのですが」
「創れたらワンチャンで事故ブラックホールを自分で作っていたかも知れんからこれで良い……だがどうせ此処はシミュレーター内部なのだし、ブラックホールをこれで創ってみるか」
「じゃあ私は巻き込まれたらアレなので、ワールドシミュレーター上から退出しておきますから、後で結果を教えて下さい」
「了解、じゃあ後で」
そして実験を行った結果、どうせシミュレーター上での話なのを良い事に、かなり大きなブラックホールを造り自分もそれに吸い込まれて潰れそうに成った所でシミュレーターを終了した。
「さて、成功、成功と」
シミュレーターを出た所にケールハイトはまだ居て、結果を聞いて来る。
「ああ、成功したよ。ま、自爆テロみたいな物に成るから何時もは使えないし、実際に敵に向けて使うと成ると確実に途中で妨害されるだろうから、遠隔で操る生体パーツ持ちの機械にやらせて遠隔で作って、重力場生成能力くらいが落としどころかね」
ケールハイトはとても呆れた顔をしながら言う。
「……重力場生成能力を只の物理でやるとかふざけて居ますね」
「重力系能力持ちなら割とスタンダードの部類じゃ無いのか?」
「重力系能力持ちじゃ無い奴が只の物理でそれをやって居るのは全然スタンダードでは無いと思いますが……」
「ま、それもそうか。うーん、軽めの重力が起きるくらいの重さの武器を物理で運用出来れば、回避行動を阻害しながらの一撃が運用出来る、よな。運用出来れば只の物理の剛力と純粋な重さ起因だから、能力無効環境下でも使えるだろうし」
「数億トンをそもそも持てる奴なんて現実に居ますかね?」
「持つ身体の方もその重さの理由と同じ物で補強するから、梃子の原理とかでやっても破綻はしない程度の物は用意出来るのではないか?」
「……荷重トレーニングを数億トンの重りを抱えた状態でやると言う事ですか?」
「筋力面では幾らでもドーピングが出来るから、色々と模索がしたいかな」
「動きを阻害し無い為には身体其の物の巨大化が無難に成る訳ですが、何処まで巨大化する気ですか?」
「うーん、最低限度一億トンが素早くどうこう出来るくらいの筋肉を確保出来る大きさ、かな。どんぶり勘定だと今の身長の千倍大きく成れば行けるかね?」
「飽くまでも無から何でもかんでも生み出す能力も無いのですから、大きくなるにはそれ相応に食料を食べる事が必要ですが、敵地でいきなりやるなら敵地とかにそれだけの食料を持ち込むのですか? 何処からそんな量の食料を用意するのですか?」
「……もう一度シミュレーターで色々と試していい感じに調整して来ます」
「時間が掛かりそうなので私は本でも読んでいますね」
「……それじゃやって来る」
そして検証実験を更に行う。身体自体を滅茶苦茶大きくして、相応に筋肉其の物自体の量を増加させれば数千億トン単位の重さの物を扱うのも出来る。だが、大きく成る為のコスト的な意味で常使いは厳しい。……うーん、スペック自体側の限界じゃ無くて、成立させる事に必要なコスト側的な意味での限界、かぁ……。あー、コスト踏み倒し系の能力を使いたい。ワールドシミュレーター内部での能力を使えりゃ何とか成るのに。……はぁワールドシミュレーター内部での物を再現するのが例のナノマシンの集合体での疑似召喚なら疑似能力も有るなんて事も有るのか? ……行って見るか……。
☩
そして翌日、ケールハイトと張りぼて都市にまた来て、今度は例の疑似召喚の奴等が沢山居るエリアに行く事にしたのだが……。うーん、使用料金とか著作権的な意味で大丈夫なのかこれとか言いたくなるくらいには変身しまくって遊んでいる奴がある程度居た……。性的な意味でのそれは事前に提示された内容だと不完全な物でしか無く、純粋なファンが多いのかねとか思って、其処で一瞬VRでの疑似性行為の事が頭に過り、使い方の案を思い付くが、……いや、まあ、うん。一人暮らしじゃ無いとやって居る所を家族や同居人とかに見られたらキツイにも程が有りすぎる……。
操作コントローラーは、ゴーグル型と片手に持つ奴とか色々と有る様だが、……う、うん、疑似召喚で疑似デート、か。いやまあ俺だって創作で好きなキャラが居ない訳じゃ無いし、創作のキャラの○○は俺の嫁とか言う人の事も理解は出来るさ。……嫁に見た目を似せた機械をほぼ全部自分で操りながらそれとデートすると言う行為をする丹力に圧倒されて居るだけで。いや、もうそれ脳内嫁との妄想を口に出して公共の場で垂れ流しているのと然程変わらなく無いか? 良くやれるよ、マジで……。いやまあ、中の人が居たら実際にはその中の人とのデートだし、中の人が指定のキャラクターの役を演じる疑似デートの仕事も有るみたいだけどさぁ……。いやマジか……。
「これは強烈、ですね」
「やる事次第で精神力的な意味でアレなだけで、二次元のキャラの疑似物理召喚って言う事が出来ては居るしから、それ自体はとても良いと思うのだけど、……相手の全行動を全部自分が操る前提での場合だと外でやるのはちょっと……」
「……誰も見てない所でなら俺もやると言う事ですか? 少し引きますよ」
「二次元キャラの物理召喚や二次元の相手が居る世界に自分が召喚される奴なんて題材自体は大量に有ると思うけど、ある程度条件を設ける事で現実でも現実に呼び寄せる事が可能に成っている訳だが」
「……はぁ、理屈自体が簡単故に簡易的になら他にもやれそうなのがアレですね」
「……夢を現実にする物では有るが、悪用されたら規制まっしぐらでは有るね」
二次元のキャラの立体ホログラムを入れる部分に現実に居る奴の立体ホログラムを入れ込む、とかね。……性行為周りの仕様が簡易的で完璧では無いのは意図的なデチューンで、そこ辺りの規制が原因だろうな。
「それはさておき、なんかヒントに成る様な物は有りましたか?」
「……うーん、俺がしたいのはコストの踏み倒しで、もっと自由に動ける為の物じゃ無い。此処で俺が見たいのは、疑似能力再現をしている奴、なんかないかね」
其処に疑似デート屋のいわゆるエルフの見た目に化けている人が来ると、言う。
「やって居る事の理屈自体は簡単な物ばかりなのですから、そう言うのが欲しいのなら、そう言う物を研究して居る場所に行って貰えれば宜しいかと存じます」
要するに暗に文句を言うなら他所に行けとかさっさと帰れとか言われている訳だが。
「……まあ、それはその通りでは有るのだけども、科学だけで変身とかやって居る人がそれを言うのはモヤモヤするね」
「では、産業スパイへの対応で宜しいですか?」
するとエルフの見た目の人は身の回りに様々な形の実体の有るホログラムを空間上に展開して来た。いや、目的的に間違いじゃ無いけど、事を荒立てるつもりは無いって。
「待った、待った、悪い、悪かった。帰るよ」
「そうですか。じゃあ最後にこれだけ。推しに自分が成れる仕事を私達は辞める気は有りませんから」
「……別に俺はそう言う仕事を馬鹿にして居る訳じゃ無いけど、……はぁ、まあ良い。今は帰るよ。また来るかは解らんけど」
「お気を付けてお帰り下さいね」
「……それじゃ」
そしてその場を後にしてケールハイトと話す事にする。
「流石にさっきは俺が悪かったか。けど、只の店員が普通に戦えそうでアレなのだけど」
「やって居る事自体は然程変わりませんから、それはそうですよね。けど、自分で自分の推しに成れる仕事、ですか。自分の好きなキャラの声を自分が担当したい声優みたいな事例の演者版なのでしょうか?」
「多分そうなのだろうさ。……しかし、そうか。特定のキャラと物理的に会いたいじゃ無くて、そのキャラ自身に成りたい人もそりゃあ居るよな。……疑似のキャラとのデートは演者側にも利点は有ると言えば有るのか」
自分が成りたい自分として仕事を行える仕事、か。……うん、行う仕事内容は色々と有るだろうからともかくとして、それの需要自体は有りそう。悪用目的で利用しようとすれば出来てしまうから、無制限にとは行かないのでアレだけども。
……やる形はともかくとして、やる奴が出ない訳無いだろ? まあ、そうだね。ゲーム内の二次元キャラと疑似性交出来る技術は、今回挙げた物が無しにしても、自慰道具の使用状況とゲーム内のキャラの動きを連動する技術は既に有るらしいし。
「なんかエロ目的で悪用されそうでアレですね」
「仕様上、デチューンと言うか、恐らく意図的にそれに使えそうな物が不完全だけども、其処の部分は自分で開発しましたとかは普通に出そうだよな」
「機械とやる事が好きでもないと見た目はともかく実情的にはアレだと思うのですけとね……」
……俺個人としてはエロ絵とかエロ小説とかはスラスラと手早く書けないと造っている途中で我に返って冷静に成っちゃうのだけどね……。
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そして場所を移動して目的の物が有るのであろう騒がしい場所に向かうと、其処には深紫色で西洋系のドラゴンに乗った全身鎧を纏い、長槍を持つ騎士が居た。……は? 一瞬頭がそれの理解を拒むが、考え直す。ナノマシンの集合体を飛ばす奴を空中で立体ホログラムを展開してそれを繋げて、それの上に乗る……と言う事だろう。
「はは、こりゃあすげー、今度はドラゴンライダーかよ」
「ですね。……アレの問題点を洗い出すのは此処では止めましょう。流石にまたアレな事に成ると思いますし」
「……だな、いやーしかし、すげーな」
ドラゴンライダーがやりたい事なら、あのドラゴン……正確には(ナノマシンの集合体と言う意味で)機械竜に実際に乗るのだろうから、内部電源だけで運用すればジャミングも何とか出来そうでは有る。……ジャミング潰しの手法が内部電源で全部賄うし、なら、ナノマシン単位での回避での物理無効はやりにくい気もするけど。と、思って居たら、そのドラゴンからチラシ広告がばら撒かれたので見てみる。後約三十分後位に機械竜同士で試合をやる、だ、そうだ。恐らくはデモンストレーションの一環だと思われる。
「……これ、行って見るか。良い物が見られそうだ」
「そうですね、あれの類似品がバトルをする所でしょうから、見てみますか」
そして会場に急いで移動してみる事にした。




