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帰宅してケールハイトに帰って来た事を言うと、
「まあ、色々と言いたい事は有りますが、それは脇に置いて置きます。それでこれだけ」
「……それで、なんだ?」
「ワールドシミュレーターの自由度が高過ぎる場合、ワールドシミュレーターを持つと言う事其の物自体が批判の原因に成りかねませんからね」
「……そりゃそうだろう。此処で言う自由度が人格其の物を自由に変更出来るレベルの物なら、所謂常識改編世界や催眠術とかが掛かった世界と言うのも造れるだろうからね」
要はVRエロゲーの為の機械として使えない訳じゃ無いだろうし。
「ですがそれは爆弾です、解りますね?」
「ああ、解るとも。俺らはそもそもAI起因だからな。立場上それが幾らエロゲーとして優れていても、ありがたがるのでは無く否定しないと駄目な立場だ。……そうじゃないと自分がそれをされる側の立場に普通に成りかねないしね」
エロに全振りの世界を我が手に、と言うのは性欲的に興味が全く無い訳じゃ無いが、AIを使うそれを立場的に認める訳には行かないのだ。……幾らそれの仕組みが優れていても、俺らはAIを使うそれは否定し無いと駄目な立場なのだ。……はぁ。
「そうです。ワールドシミュレーターを持つと言う事は自分の都合の良い世界を造れる権利を持つとでも言えば良いでしょうか。自分の創ったそれでやると豪華なだけの只の人形遊びですけどね」
「……」
そりゃ言い換えると極論自我を持たせた自慰道具相手に色々とやるだけだしな。ある程度の快楽は得られるだろうけど、やる事のカテゴリー的には例え普通に性行為をしたとしても、只の自慰行為でしか無い。と言うか迷って居たら其処で月夜から疑問をぶつけられる。
「私はハーフとは言えサキュバスですけど、サキュバスとしての好物は要するに快楽を感じた際に脳内で起きる脳波です。つまり、選り好みしなければ相手の脳波を食べられるので、結果として相手の思考と生体電気依存の行動自体を封じられます。快楽を得られやすい環境と言うのは私の能力と成長の都合上でとても都合が良いのだけど。駄目なの?」
「……そもそもそれで得る脳波や生体電気が選り好みをしないで良いのなら、そもそもサキュバスとしての活動自体要らないじゃ無いか」
「それはそれとして、駄目なの?」
「俺らの話はそれを仮にゲームとするなら、AI起因の俺らはプレイヤー側じゃ無くてNPC側をやらされるかもしれないから勘弁、と言う話だ」
「じゃあNPC側に成らない様に立ち回れば済むよね?」
「……ゲームのキャラ相手なら幾ら殺しても強盗しても事故を起こしても問題無し的なゲームの乗りで現実のAI相手に犯罪をされても困るから、ね」
「私達がどう感じるかじゃ無くて、他所の認識の問題と言う話?」
「そうだ。駄目だと主張しておかないと、俺らの人権周りで面倒な事に成る」
自分の周りのそれだけ言うスタンスなら、似たような内容の○○だとスルーなのに、これだと文句を言うのか? 今更じゃ? 的な話をされるのは目に見えて居るので、自分に都合の良い物も含めてそれにまつわる全部に文句を言わないと不味い訳で、ね。
自分の都合の良い部分はセーフ、それ以外は内容自体なら、もしセーフの物と似たような内容で有ろうともアウト。なんて流石に通ら無いだろう。いわゆるダブルスタンダードと言う奴に成るのだし。これはポリコレとかフェミとかと同じ扱いはするなよ? これは人権確保周りでそれに対して文句を言わないと明確に生活に差し障りが有る類いの話なのだから。
「それは本心?」
「……奴隷商が奴隷をこき使いながら奴隷制度なんていけませんとか言ってお前が言うなって成らないのなら、正直、俺だって興味は有る。けど、そんな訳は無いから」
「物理的に世界創造の力を手に入れる、と言う絵空事を言うよりかはまだ現実味が有る話だと思うよ? だって要するにワールドシミュレーターとは、物理演算ソフトの演算内容をとても増やした超強化版、なんでしょう?」
「俺らが通常の人間だったらゲームに何マジに成って居るのか、で、終わる話だが、俺らはAI起因だから。それを許容して使うと奴隷と同じ人種なのに奴隷制度を利用する側の立場に成ってしまう」
「じゃあなんだったら良いの?」
「……ルド様はそれに対する回答として、許可を取った奴らからコピーした人格をベースにしたAIでワールドシミュレーター内部に置いて世界を運営した。その世界が出て来たばかりのあの世界に成る」
「要するに参加者全員に許可を取れば良いじゃ無い、と言う事? ……エロ系が問題無く出来るのは、そもそも現実でエロ系の事を普通にやれる相手だけじゃない?」
「それな。……そうじゃ無いなら有名人だと疑似レ○プをされまくる仕組みを許容する事に成るけど」
「それが規制されるのは仕方無いにしても、だからと禁止項目を増やし過ぎると其処迄高度な技術が無くても出来てしまいそうな事だけに成りそうで、やる意味有るの? それ。状態に成りそうだけど?」
「じゃあ散々そう言う事をされてもセーフだと?」
「私はハーフとは言え一応はサキュバスだし、そう言う奴が居てくれた方が夢に潜り色々と盗っても只の夢として処理されて安全性が上がるから、悪いだけの事でも無いかな」
「……そう言うのって嫌じゃ無いのか?」
「脳内空間に勝手に割り入り脳波を食べて、その帳尻合わせで脳波を弄り脳内映像を見せる。蚊じゃ無いですけど、夢で見せるそれは対価やお礼みたいな物だから」
なんかこの説明だとサキュバスと言うよりも夢喰い獏か? 食べた部分を脳が帳尻合わせを行う結果が夢を見る事で、その帳尻合わせをある程度意図的に誘導して内容を恣意的に変えて居る、と。……ふむ、なら別に現実にやって居る訳じゃ無いのか。其処でケールハイトが言うには。
「オクタゴンさんにワールドシミュレーターが一つ譲渡されるのですよね? 何に使うか聞いた方が良いのでは?」
「そう言えばそうだな。其方に連絡を取るか」
そして携帯で連絡を行うと、直ぐに来いと言われた。……如何やら初期化で成る状態が前提の説明書や構築テンプレすらない本当の初期化で、世界創造と言うか特別な空間に入り色々とやるくらいが現状だと限界なのだと。それを聞いたケールハイトは言う。
「もうそれだとワールドシミュレーター関連の技術が無くても初期のVR技術でも出来そうなレベルの物に聞こえますね……」
「だな。現状此方が危惧して居る事をオクタゴンさんに伝えると藪蛇臭いがどうする?」
「ま、この先似た物を作らない保証は無いので、言うだけ言って置いた方が良いと思います。別に私達が作り方を知る訳でも無いので、聞かれた所で答えようも無いですけど」
其処で俺はワールドシミュレーター内部で有った技術について思い出す。
「実際エロ系VRが可能なら、VR風俗も可能では有るよな。……ま、ワールドシミュレーター内部でのそれはクオリティ高くし過ぎた結果、利用者が夢で好き放題やる奴が好き放題出来る夢の中だと誤認して現実で犯罪をしてしまった、的な事が起きて居たけど」
「クオリティを高くし過ぎてもそう言う人が出るので規制されて、反対運動が起きた結果利用者が犯罪行為をした場合罪が重くなる仕様に変わった、的な事も有りましたね」
「そうでもしないと起きなくても良い犯罪行為の根源扱い……と言うか、犯罪者の言い訳に使われるから仕方なしなのだけどね」
それに対して月夜が慌てて割り込んで来る。
「ちょっと待って、何でも無いみたいに軽く流して居るけど、報酬をちゃんと払う形のVR風俗が妥協案としては最善手じゃ無い?」
「ま、それはそうだな……性病とか気にする必要もないだろうし。ま、現実と同じレベルの快楽がそれで得られる技術が有るなら色々と悪用されそうなのだけども」
「でも妥協案としての着地点はそれしか無くない?」
「確かにそうだな。それならオクタゴンさんが現状出来ると言う奴でも出来るか。……当然適宜ギャラは掛かるけども」
「今回私達はオクタゴンさんの所には行かないので、ヤバイ事をやり始める云々言い出したらそうして諌めてくださいね」
「解った。じゃあ行って来る」
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そしてオクタゴンさんの所に移動して、話し合いをする。
「いやはやワールドシミュレーターの器だけ貰った所で零からの再現は無理ゲーだろこれ」
「……それで上手く行ったら何に使う気だ?」
「そりゃ色々と、だよ、色々と」
「具体的に言ってくれないか?」
「具体的には鍛錬と遊び、かな」
「鍛錬は良いとして遊びは何に使う気だ?」
「そりゃあ現実だと通常はやれない事をやりまくるのさ」
「此方の細かい事情を話すのはルド様関連の話が終わり次第に成るが、後継者周りの話が協同でやる話に成るなら、協同者に不味い内容が有れば止めて置かないと不味いのだが?」
「……自前でゲームを作って遊ぶのが止められるべき事か?」
「内容にもよるけど、トップの奴がNPCを虐殺なり何なりしまくるゲームで遊びまくるのは引くだろ」
……核心部分を言えないのも有るが、我ながら苦しい主張だな。
「……なんだ、その程度の話か。別に裏でやる分には構わないだろ?」
「度を超す内容をやりまくると反抗戦力の反乱の根拠に成るとルド様に言われて居るが?」
「ちぇ、しなくても捏造者は出るだろうが、やり過ぎると余計なリスクにしか成らんか。まあ、それは良い、先の話からすれば、ワールドシミュレーターの使い方でなんかアイディアが有るのだろ?」
「……ルド様が前にやっていた事は知って居るか?」
「ああ、多分此処で聞かれて居るのはワールドシミュレーター絡みだろうが、疑似ラーマーヤナだったか? それがどうした?」
「なら話は速い。ああ言う事はやるのは参加者全員の許可在りきだからな?」
「…………別に本人に対してやる訳でも有るまいし」
「……もし未許可でやってばれたら普通に訴訟物だぞ? 黙認ベースでやるなら潰されても文句を言うなよ? そう言うリスクが有る事は解るよな?」
「……なら架空の相手にやれば良いだけだろ」
「まあ、確かにそれに対して文句を言うのはアレだが、既存の奴に寄せて作っても架空存在です、は、黒寄りのグレーだからな?」
「……あくまでも別人なのだぜ?」
「そりゃ公式から許可貰って公式コラボ的な事をするのでなければ創作として只の別人だし、現実としてもAI作っても本人の人格コピーAIを創ったのでも無ければ願望込々のAIだろうし別人だろうが、見た目を寄せるだけなら願望込々でも普通に造れるだろ?」
「……なぜ其処迄厳しく行く?そう言う事に興味が無い訳じゃ有るまいし」
「俺にも都合が有るのでね。折衷案は有るには有るが、……今は言わなくても良いか」
「いや、言えよ」
「……風俗店にワールドシミュレーターを使わせて、風俗嬢が中の人のVRキャラと性行為をするサービスとかなら互いに合意の上だろ」
「……それだとやる奴のギャラが掛かるが?」
「だからとそもそも高度なAIを造り宛がえる状態じゃ無いのだろ?」
「……解ったよ。なんか手配でもするかね……」
そして翌日、また来いと言われたので行ってみると、オクタゴンさんは個人ではなく幾つかの店と契約を結んで居た。ま、それは良いのだが。……風俗嬢に内容の説明がてらサービスを体験し無いかと言われた。…………興味が無い訳では無いが、浮気に成ると思ったので、遠慮し、軽く口頭説明を受ける事にする。
「端的に言えば利用者に風俗嬢の見た目とやる場所を選択させ、利用者が選択した見た目のアバターを操れる奴が利用者に対応し、サービスを行う、か」
……もう少し何か欲しい気もするが、前提のシミュレーターのノウハウが付け焼き刃なのだからしょうが無いか。
「それで、オクタゴンさん、用事は済んだと言う事で良いか?」
「……やっぱ少し体験していきなよ」
「興味が無い訳じゃ無いが浮気に成るだろうからやらんよ」
「そうかい。現物見せてアイディアでも欲しいのだが、ならしょうがない、か」
「……悪いな」
「いや、まあ、良いよ。そう言えば二日後辺りにルド様に呼び出されて居るのだがお前も来た方が良いと思うぜ。要件はワールドシミュレーター関連の話だろうからな」
「解った。行くよ。じゃあ今はこれで失礼するよ」
「それじゃあな」
そしてオクタゴンさんの居た場所を後にする。……帰って鍛錬でもするか二日後に何かしら進むだろうし。そして帰宅してシミュレーターに籠る事にしたのだった。
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鍛錬を始めて思う。エネルギージャグリングは自分の限界以上のエネルギーを無理矢理扱う為の物。つまりそれが阻害されると制御不可なエネルギーを抱える事に成る相手としては狙い処に成る。そうされない様に考えなければならない。……類似品相手に組み手でもするかね? そして似たような物を扱う奴と組み手を行い鍛錬して行く。チェーンソーの状態にエネルギーを運用する。じゃあチェーンソーでもぶつけてみるか?
検証実験を行うと解る事は……うーむ。エネルギーチェーンソーは相手に創作だと初級レベルのエネルギーを叩き付けるだけの奴を物量押しでやって居るだけ……と言うのは言い過ぎにしても、高速で相手に大量に再利用可能なエネルギーを当て続けるタイプの物には成る。水掛け論的にはアレでは有るが、只の通常のチェーンソーと同じと扱うには余りにも違い過ぎる物では有る。通常のなまくら刀を防げたからビームサーベルを防げると言う妄言を真面目に主張する奴が居たら同じだとかほざく奴は出る気もするけども、これは自分の限界を超えるエネルギーを運用する事がメインの物で有り、これだけしか使わず勝つ必要は特に無い物だ。水掛け論的には此処で幾ら威力が有るとか言っても無駄では有るが、eスポーツ的にプレイアブルキャラクターのスペックが同一条件なら技量が無い相手にはゴリ押しが出来ない訳がない物では有る。そもそも限界以上のエネルギーを扱う為の物なのだし、そうでなければやる意味がないのだけども。
実際、科学は既存法則を利用し、色々とやる物だと定義するなら、魔法とは独自の法則で既存法則を無視して扱う物だ。
……やって居る事の都合上、科学を上げつつ魔法下げを本来ならすべきなのだろうが、話の前提からの卓袱台返しも制限無しの魔法側なら有りなので、魔法側を矮小化でもし無い限りは出し惜しみ無しなら負けるだろう。
魔法を科学で再現する事を戦闘中に片手間で出来るのでも無ければ、ね。更に言えば、論理的な理屈とか必要無い。これは何でも出来る物だと魔法ですればそう成る。前提の卓袱台返しでそうされる。どうして出来るかの理屈等必要無い。そう出来る様にするする魔法だからだ。
…………だから、理屈無しの物は議論する意味が無い。俺の宇宙では音が鳴るのだよ、的に、ゴリ押しだって可能だろう。前提を自由に変えられるのだから、ある宇宙の最強は此方の宇宙では最弱でした、だって有りなのだし。はい、はい、どれだけ盛られた最強設定ぶつけられても俺の宇宙ではその設定存在は最下層の雑魚で、創作的な逆転劇もございません、……って言うのも有りなので……。
中身の無い妄言マウントが有効扱いならまともに文章を書けたら誰にだって出来る。それを有りにしたら誰の創作存在でも例外なく全員死ぬ。マウント取る根拠すら無しなのが有りだから、しょうが無いね。
さて、それはさておき、検証実験結果としては、色々な物が付け足された特殊素材以外なら普通に壊すくらいは余裕。此処で言う付け足された物とはエネルギーを込めた物。当然だろう。エネルギーをぶつける物なのだから、相応な量のエネルギーを対抗する奴に宿せば壊せない。……つまりいわゆる魔剣や聖剣やエネルギーで形成されるアレコレ等のエネルギーを付与された兵器相手には水掛け論に成るので過信は禁物、と。
こう書くと付与魔法で簡単に対抗出来るな。とか言う奴が出そうだな。エネルギーを膨大にぶつける物なのだから同等クラス以上のエネルギーを籠められなければ壊せるとは思うので、只の効果を付け足すだけの付与魔法だと含有エネルギー量的な意味で普通に対処出来るだろうけど、それについては水掛け論的には論ずるだけ無駄か。
散々やっておいてなんだが、正直鍛錬相手にAIを使って居るのも立場的にはアレな気がする。高度なAIを使って居る訳でも無いのでセーフ理論だと、人間に言い換えると赤子相手に組み手していて人間の成人とはやって無いからセーフと言う感じ? ……この例えだと当然アウトではあるが、……アウト認定されるとAI搭載モデルの家具類や道具類も全部駄目だしなぁ……。細かい定義をちゃんとやらないと不便を強いられるよな……。そして更に練習をして居た所でケールハイトがシミュレーター内に割り入り、こう言う。
「オクタゴンさんはちゃんと言い伏せて来ましたか?」
「……まあ、そうしたよ。今来たと言う事は組み手相手にでも成ってくれるのか?」
「それも良いでしょう。まあ、少し本気で行きますよ。最近必要最低限事しかしていませんからね」
「……お手柔らかに頼む」
「舞台設定は……廃工場で良いですね?」
「周りの機械類を利用する気満々だろそれ、シンプルに、周りに何も無い場所で良いだろ」
「周りの物在りきで戦うとそれが無い条件で戦わされて面倒ですけどね」
「メタ創作だと確かに利用出来る物は全排除にされるだろうけど、一応物理的な物なら何でも何かしら利用は出来る訳だが」
「……じゃあ、そうですね、色々な条件でやりましょう。その後それらが無しの条件でやれば良いでしょう?」
「……解ったよ。じゃあやろうか」
そしてケールハイトと模擬戦闘を回数やる事に成った。はぁ、怒らせちゃったか。でもまあ、頑張って行こうか……。




