表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/17

救世主となるか

第1試合は6回が終わって、2対0でAチームがリードしている。


近衛はチームメイトと離れて、バックネット裏の客席から観戦している。



「しかしまぁ、ホントにレベルの低い試合だな…」


ピッチャーは力任せに速球を投げて三振を狙い、バッターはブンブン大振りでホームランを狙うスイングをしている。



状況に応じたピッチングやバッティング、守備位置の変更や相手にプレッシャーを与える走塁も稚拙、いや全く出来ていない。



「これでプロになろってんだからなぁ…」



能力云々ではなく、基本から徹底して教えなければならないと思った。





「ところで、自分の能力を見る事が出来るって言ったけど…どんなもんなんだろうな」




先程アイリーンに教えてもらった通り、「ステータス」と唱えた。




すると、ブゥゥン…と目の前に数値を表示してあるパネルが表れた。




【名前】近衛克哉


【年齢】22


【守備】外野手


【投/打】左/左



【打力】76/100 【選球眼】74/100


【長打力】68/100


【走力】82/100


【肩力】84/100


【守備力】93/100





【特殊能力】



得点圏打力 B


満塁時打力 C


アベレージヒッター A


対左投手 B


制球力 A


フェンス際捕球率 S









「な、何だ…これって、スゲー能力値なんじゃ」



まさか、自分がこんなにもステータスが良いとは思ってもみなかった。



「特殊能力って…あのゲームみたいじゃん」



根強い人気のある、某テレビゲームの特殊能力をそのまんまパクったかのようだ。




とはいえ、この数値はあくまでもこの世界に於いての数値であって、元の世界の数値はこれよりはるかに下回る。



「打撃もそうだけど…それ以上に守備と走力が良いんだな」




という事は、元々守備と走力がそこそこ良かったのだろう。







第1試合が終了した。



8回にBチームが1点を返したが、Aチームが守り抜き2対1で逃げ切った。




「次はオレの出番か…不合格にならないよう、真面目にやるか」



客席を立つと三塁側ベンチに向かった。






Dチームはフィッシュバーンというコーチが采配を振るらしい。




近衛は7番レフトでスタメン出場。



1チーム25人という人数の為、何も出来ずに交代させられてしまう可能性だってある。




先行はCチーム、Dチームは守備についた。





Dチームの先発はアシュリーという、右のピッチャーで年齢は近衛よりも少し若く見える。



この国の男は東洋人と同じ肌と、ハーフの様に彫りの深い顔立ちが特徴だ。



頭髪は茶色や金、銀髪が多く、黒髪で一重まぶたに薄い顔立ちの近衛は珍しく映るのだろう。




レフトの守備についた近衛は真後ろのスタンドを見た。





「はぁ~い」



スタンドでミリアが手を振っている。




「とにかく、オレはこのトライアウトを合格するしかないのか」









両チーム無得点のまま、3回の裏へ。



Dチームの攻撃は7番近衛から。




「1打席、1打席が大事になるよな…」



凡退すれば、交代させられる可能性は高い。



ヘルメットを深く被り、素振りを数回行ってから打席に入った。





Cチームのピッチャーは63番のゼッケンを付けた右ピッチャー。



120km/h台のストレートにカーブを混じえたピッチングでノーヒットに抑えている。



(今まで相手にしてきた中で、1番楽なピッチャーじゃん!)



一軍半の選手とは言え、これでも一流の選手を相手にしてきた自負はある。





ややスリークォーター気味のフォームから初球を投げた。



ストレートを投げたのだが、腕の振りが上手く使えてない。



案の定、手前でおじきする棒球だ。




「もらった…」



近衛は上手くボールを捕らえた。




乾いた打球音がグラウンドに響き、打球はグーンと右中間へ。



定位置よりも手前に守っていたセンターとライトが懸命にバックするが、打球は最深部に落ちた。



近衛は快足を飛ばして一塁から二塁へ。



悠々セーフなのだが、二塁打よりもインパクトの強い三塁打を狙った。



「ウソッ、物凄く速いっ…」



スタンドで観戦していたミリアが思わず声を上げた。




ライトがボールを捕って送球するが、既に三塁へ。



「ウォ~っ!スゲーぞ、あのバッター!」



「三塁打じゃん!」



「何モンだ、あいつは?」



バッティングもそうだが、ムダのないベースランニングに驚く。



「スゴい…ひょっとしたら、彼がこのチームを救ってくれるかも…」



ミリアも何かを感じ取ったみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ