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第八十五小節:真っ白




3日目の朝は騒々しかった。


全員は部屋の片付けに追われていたのだ。


男子陣は楽器関係で手こずり、女子陣はどの洋服が誰のかで手こずっていたのだ。


部屋の片付けが終わると、最小限の荷物を残して大きな荷物はバスに入れる。


その後、朝食。


最終日でもセルフサービスだ。


朝食後、全員はライブハウスに集まった。


「最終日は、昨日やっていない見せ合いをします。


ただ見せ合うのも暇なので、一般の方も入れます。


時間もないので、両者1曲づつ。


自信がある曲でお願いします。


始まりは1時間後。


以上です。」


海翔たちは小さな部屋を借りて合わせをしていた。


「なんか、大事になってんな。」


「まぁ、いつも通りで大丈夫だろ。」


「キンチョウシテキタ……」


「ぼ、ボクも。」


「大丈夫か?


まぁオレもだが。」


「大丈夫。


【ペインツ】はサイキョウ!」


「強くはないと思うけど……」


「違うよ。


最も響くと書いて最響。」


「ムリヤリ過ぎねぇか?」


「気にしない気にしない。」


「ワタシトイレ……」


「お、おう。」


緊張気味の【ペインツ】。


一方、【グランドマイン】は、にこやかだった。


とうとう時間がやって来た。


はじめは【グランドマイン】。


一昨日の一番始めにやった曲をする。


会場は大盛り上がりだった。


次に、【ペインツ】。


海翔たちは舞台に入る。


会場は平日の昼間なのに、ぎっしりとつまっていた。


「マジヤバイ、」


ガタガタ震えてる麗奈の肩を叩く海翔。


「落ち着け。


大丈夫だよ。」


そして、始まる1曲目。














もう、そんな事も夢の中の話だった。


帰りのバスでは、全員は疲れて寝ていた。


「小村先生。


先ほどはどちらが良かったですかな?」


じいは運転しながら聞いた。


「オレですか。


やっぱり【グランドマイン】ですかね。


早崎先生は?」


「ぼ、ボク!?


どっちもどっちかな。」


「さようですか。


わたくしは【ペインツ】の方が良かったですかね。」


「どうしてですか?」


「薫お嬢様も、まだ若いです。


故にまだ気持ちが入りきっておりませぬ。


そのてん、麗奈さまの方が暖かかった気がしましたの。」


「そうですな。


オレは、【グランドマイン】の方が、全員で音楽をやっている気がしましたね。


まだ【ペインツ】は1つになりきれないで、全員が各々の色を主張し過ぎている気がしましたね。」


「感じることは人それぞれですな。」


2人は笑った。


段々と暗くなっていく世界で、全員はどんな夢を見ているのだろうか。


きっと鮮やかな夢なのだろう。


青春の色が、真っ白な心のキャンパスに色をつけ、段々と大人になっていく。


まだまだ、全員は、小村やじいからすると、白かった。

合宿編終了。


でも夏はまだまだ……

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