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第七小節:いつも遅刻で始まる

なにが起こるかファーストキスのあと!

 週明けの月曜、海翔は重たい両腕を庇いながらいつものように麗奈が来るのを待っていた。

 いつもの遅刻ギリギリの電車に乗ってくる麗奈は昨日夜まで起きていたのか完全に眠そうだ。

「お前、また夜更かししただろ。」

 呆れるように溜め息をつく。麗奈の意識は既にどこかに浮上しているようなので返事は

「あぁ」

 だけだった。

 しょうがない。とにかく遅刻は免れなければ。思い立ったら早かった。いつものように麗奈の手を取り、猛ダッシュで学校へ走った。麗奈を引きずっていたため、筋肉痛の腕には堪えたようだ。

「まったく、懲りずにギリギリね。」

 学校の校門内にはいつものように薫が仁王立ちで待ち構えていた。

 そんな薫を見て海翔の意識が一瞬だけどこかに飛んだ。麗奈はその瞬間だけを見逃さなかった。

「昨日はありがとう。助かったよ。」

「い、いえ。先輩の頼みでは断れないっすから。」

 赤い耳、早くなる心臓。平然を装っているようだがバレている。

「私、酔ってたみたいだからごめんね。なにかした?」

 耳元で小さく呟く。麗奈に聞かれては海翔も不味かった。

 昨日の電車の中の事が頭によぎる。

「海翔ぉ、どうした?」

 そんな所に麗奈の声が横から入り込んできた。

「早くしないと、遅刻じゃよ。」

 時代物の映画でもみていたのだろうか。じゃって…

 そんな中途半端なツッコミを入れているほど時間は余裕をくれなかった。

「やば!すいません。話しはまた今度。」

 と言ってまた麗奈を引きずりながら教室へと走る海翔。

 それを見送ったあと薫は小さく舌打ちをした。


 チャイムがなる。しかしまだ廊下だ。麗奈の靴を履き替えるのに時間がかかった。猛ダッシュで教室のドアを開ける。

「先生、います!」

 先生含め、見たことのないクラスメイト。

「君、確か五組の…」

 海翔は教室のドアの前の上に貼り付けられてる組が書かれている札を咄嗟に見る。

【1年六組】

 行き過ぎた!

「すいません!」

 物凄い早い一礼して左にあるドアを開ける。

「セーフ!」

「アウト!」

「アウト!」

「アウト多数だから、三島と高尾は遅刻っと、」

 ペンが出席簿に付く寸前、

「風紀委員の薫先輩に捕まってました!」

「本当か?」

 ペンが止まる。ラッキーだ。

「嘘だと思うなら先輩に聞いてみてください!」

「面倒だからセーフにしてやるよ。」

 海翔の勝利のガッツポーズ。席に着こうと歩く。

「お疲れ。」

 と言ってカナが麗奈を掴んでいる海翔の腕を優しく叩く。

 瞬間的な痺れる痛み。思わず麗奈を握っている手を離す。その反動で麗奈は地面に顔からつんこんだ。

「痛いじゃないのよ!バカ!」

 おかげで目が覚めたようだ。おもいっきし状態を起こし、座っている状態で叫ぶ。

「どうしたの?」

 海翔は仕切りにその左腕を眺めていた。

あれあれ?ちょっとヤバイんじゃない?

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