第四十五小節:初夏
いきなり過ぎますが季節が変わります。
とうとうセミが鳴き始めた。
相変わらず遅刻ギリギリの時間に木陰の所で立ったまま貧乏揺すりしている海翔。
気温は朝なのに25℃を越えており、普通に立ってる抱けでも汗が出てくる。
手で火照った顔を扇ぐ。服装は緑っぽい黒いブレザーは無く、Yシャツにネクタイを緩ませ袖は肘辺りまでまくっている。ズボンもなぜか灰色から黒いチェック柄に変わっていた。
いわゆる夏服だ。
「いつまで待たせんだ!」
暑さのあまり苛立ちが増している様だった。
電車が来た。
駅から出てくる遅刻組。しかし、その中から麗奈は出てこなかった。
「あぁ!」
ケイタイを出し麗奈に電話する。
「あい、もひもひ」
「お前!どこにいるんだ!」
「うひろ、」
海翔は振り返る。
青いアイスバーを口に挟み、髪を一本に結んだ麗奈。
海翔と同様に夏服だが、ネクタイもリボンも付けておらず胸元は第2ボタンまで空いていて白い肌が見えている。スカートも青っぽいチェック柄であり太ももが大胆に見えていた。
「てめぇ!オレにもくれ!」
「いやよ。さっさと行きましょ。遅刻しちゃう。」
「誰のせいだ!」
海翔は麗奈の手を荒々しくとり、学校に向かって走り出す。
歩いている遅刻組を後目にものすごい勢いで走る。
「またギリギリ。いい加減余裕もちなさいよ。」
薫が夏服正装で緑のネクタイ付け、暴れないようにピンを付けている。
「コイツに言って下さいよ!」
アイスの棒をまだ口に加えながら眠そうに海翔を見ている奴に指を指す海翔。
「そのおねぼうちゃんのしつけもあんたの役目でしょ。連帯責任。」
そりゃないぜ。と捨て台詞を吐いた海翔だった。
教室内は冷房がかかっていた。外から戻って来たときには涼しいほどギンギンに冷やされている。
「おはよう。」
「おっはよー!」
2人は教室に入るや否やすぐに叫ぶ。
「ちーっす。」
カナが笑顔で返してくれた。
カナはYシャツに第2ボタンを空けられ小麦色の肌をちらつかせ、スカートは男子と同じ黒のチェック柄だった。スカートだけ冬もの。
「麗奈さん、海翔さん、ごきげんよう。」
シナがおしとやかに言う。
シナは夏服に赤いリボンを付けて、その上セーターを着ていた。
「やっぱ、シナが普通だよな。」
海翔が呟く。
「どういう意味よ!」
麗奈とカナは噛みつく。
海翔は驚いた。すぐに体勢を戻し、
「自分等の胸元見てみろよ。」
2人は一緒に第2ボタンの内側を眺めた。
「もしかして、あんた見たことないの?女の子のブラジャー。ウブね。」
カナが意地悪っぽく笑う。
「あほ、そこじゃねぇよ。透けてんぞって意味だ。」
背中の方に麗奈はピンク、カナは黒の線がはっきりと見えていた。
「わざとに決まってんでしょ!」
麗奈は顔を赤く染め、腕組をしそっぽを向いた。
「わざとにしては、大胆だな。ピンクだし、黒だし。」
と言って逃げるように自席に向かっていった。
2人は顔を真っ赤に染めた。
まぁ制服の着方も人それぞれですね。




