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第四十一小節:遊園地6

終わりの時間が近づいてきました…


 日も暮れてしまい、光り輝く遊園地。


 朝とは違って華やかなグラデーションに目を奪われていた。


「もう時間がないわね。」


 カナがそう言う。


「よし!じゃぁ最後にあれ行ってみよう!」


 麗奈が指差した円の色とりどりに輝く、観覧車。


「レッツゴー!」


 全速力で走り始めた。




 長い坂を登りきり観覧車の下に来た。


 時間も遅く閉園間近だからか、観覧車の入り口には誰も並んでおらず、暇をしている係員。


「よし、最後だな。」


 6人は片手を出す。


「わっかれーましょ!」


 麗奈はパー。


 カナはグー。


 美弥はグー。


 シナはチョキ。


 ユウヤはチョキ。


 海翔はパー。


「麗奈か、」


 海翔が呟いた。


「悪かったわね私で。」


 そっぽを向いてほっぺをプイッと膨らます。


「私たち、先に乗りますね。」


「その次、あたしら行くよ。」


 海翔と麗奈以外の4人は2人っきりにさせるためにさっさと乗ってしまった。


「おら、いくぞ。」


「言われなくてもわかってるよ。」


 2人は横に並び、ゆっくりと観覧車に乗った。


 扉を閉める係員。


 2人は向かい合う形で座る。


 密閉された空間。中は意外と暗かった。


 乗ったばかりで地面が近い。だから話そうにも口が動かない。


 段々と登っていき、地面が見えなくなった。


「なんで遊園地なんかに誘ったんだ?」


 海翔から話しかけた。


「理由なんて無いわよ。私が来たかったから。1人じゃやでしょ。」


「カナとシナとお前、3人で行けば良かったじゃん。」


「細かいこと気にしない。」


 笑って誤魔化した。


 観覧車はまだ4分の1程までしか来ていない。ゆっくり、ゆっくりと回っていく。


「ジェットコースター。」


「ホントだ。」


 光りを放ち、未だに動いているジェットコースター。一番始めに乗ったものだ。


「もうあんなに小さいぜ。」


「意外と高く来てるね。」


 しばらく外の風景を見ていた。


「お前、美弥と仲いいな。」


 海翔が突然おかしな事を言うから麗奈は顔を歪めて、


「はぁ?んなわけないじゃん。あのくそなまいきちび。」


 海翔は笑った。


「あいつ、人見知り激しいんだよ。生意気言うのは仲のいいやつだけだからな。」


「へー。そうなの。」


 麗奈はあまり納得出来なかった。


「お、頂上に来たな。」


 麗奈は外を見る。


「すごい。」


 ジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーランド、遊園地だけじゃない、見えるもの全てが鮮やかに輝き、光りのアートと化していた。


「あと半分。」


 麗奈は呟く。


「またくりゃ良いだろ。」


 たしかにそうだ。だが、麗奈はそうは行かないようだった。


「またこれればいいね。」


 その言葉に海翔は頭を傾げた。


「バカ言うんじゃねぇ。死亡フラグ勝手に立てんな。」


 麗奈は笑って海翔を見た。


「そうだね。」


 観覧車は4分の3まで来た。


 あと少しで終わる。


 シンデレラの時計の針が12時に来たらパーティーが終わるように、観覧車が地面に着けば楽しい今日が終わる。


 この年になってシンデレラの気持ちがわかった気がする。


 もう十秒で地面に着く。


「ねぇ、海翔。」


「なんだ?」


「あのさ、」


 口ごもる。


「すき…」


 扉が係員によって開けられられた。


 2人は降りる。


「でなんだ?」


「なんでもないわよ。」


 もうすでに着いている4人の所に向かって行った。

聞こえてない!

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