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第二十九小節:来てないだけで


 至って普通の日。


 いつもと違うのは海翔が来てないことだけだった。


「知ってる?」


 気になったカナがダイゴに聞く。


「知らないな。その様子だと、そっちも知らなさそうだな。」


 カナは小さく頷く。


 ダイゴは困り果てたように頭を抱える。


「風邪で休むんだったら、絶対にメール来るんだけどな。」


「あたしもよ。」


 感嘆の声を吐く。


「一応、メール送っとくわ。来たら連絡するね。」


「おう。わかった。」


 なにかしらの違和感を覚えてカナは麗奈の近くに寄る。


 カナはそのまま話しかけようとした。


「私は知らないわよ。あんなやつのこと。」


 カナは海翔の事を麗奈に相談しようとは思っていなかった。


 相談するのはさすがに悪いと思ったのだ。


「知らないからさっさとあっち行って。」


「あはは、そうだよね。」


 相づちのような笑いをして、麗奈から離れる。


 麗奈は机の最も深いキズを見つめた。






 翌日、海翔はまた学校に来ていなかった。


「おっかしいな。メールも返ってこないし、どうしたんだろ?」


 カナ、ユウヤ、シナはダイゴの机に集まり海翔の事を話していた。


「オレも来てない。確かに2日連続はおかしい、」


「ただ単に家族で海外旅行に行っているのかもしれませんよ。」


「海外旅行に行くんだったらオレには必ずメール来るし、大体学校であったときに話すだろ。」


 そうですね、とシナは呟く。


 4人は悩む。


「まさか、事件にあったとかないよね…」


 ユウヤが呟く。カナの顔色が青ざめていく。


「お前はバカか!」


 ダイゴがユウヤの頭を強く叩き、怒鳴り付ける。


「ですが、連絡がないのはおかしいですよね。」


 カナの目には涙が溜まっているように見えた。


「仮説ですし、信憑性ありませんから、あまり気にしなくても大丈夫ですよ。」


 シナはカナを慰めるようにそう言った。


「小村なら知ってるかもな。」


 ダイゴが急に思い出したように呟く。


「だれ?」


 カナは頭を傾げる。


「保健室の先生ですよ。ほら、あの柄の悪い。」


「あ〜」


 カナとユウヤは思い出したように唸る。


「当たって砕けろだ!行こう!」


 元気になったカナは廊下を指差し叫んだ。


「砕けないで下さいね。」


 苦笑するシナ。


 4人は保健室に向かった。



 一連の話を聞いていた麗奈は携帯を取り出した。


 開き、パスワードを入力してトップ画面が映る。


 そこからメールフォルダに行き、新規メールのアドレスを海翔宛にし、本文に「大丈夫か」それだけを書く。


 送信ボタンを押そうとしたが、指が携帯に触れた瞬間押すのをためらった。


 そのまま、新規メールを削除し、携帯を机の上に無造作に置いて机に突っ伏した。








 保健室を無理矢理開けて押し入る4人。


「なんだ?うちは団体客お断りなんだが。」


 イスに座り暇そうにコーヒーを飲んでいる小村。相変わらずダルそうに物事を言う。


「固いこと言うな。聞きたい事があるんだ。」


 ダイゴが率先して言う。


「残念ながら、先生に対して敬語使わねぇやつには何もしない主義なんでね。」


 カナが前に出て、小村の前まで行く。


 そして腰を90°折る。


「お願いします。」


 小村は困った表情をした。


「わかった、わかった。聞くから頭上げろ。」


 カナは頭を上げ、


「海翔が昨日から学校に来て無くて、連絡しても返事がないんです。」


 小村は顔をタコみたいに歪ませた。


「あのウザイやつか。しらないな。担任に聞いといてやるよ。」


 4人は保健室から出る。


「すまん。無駄足だったな。」


 ダイゴははっきりと謝る。


「大丈夫ですよ、ダイゴくん。裏を返せば、小村先生にも話せないって事ですね。」


 シナの言葉に、さっきの事が頭をよぎった。


「ねぇ、海翔ん家知ってる?行こう。」


 カナの1言を否定する人はいなかった。

なんかスゴいことになってきちゃいましたね…

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