第二百七小節:観覧車
とある日曜日、麗奈と弘太郎は遊園地に来ていた。
と言うよりも麗奈が行きたいと言い出しもはや強制的に連れてこられたのが弘太郎だった。
そして、入園そうそう目を輝かせてジェットコースターを指差した。
「ねぇ、アレ乗ろう? 乗るわよね? さぁ行こう!」
麗奈は弘太郎の手をムリヤリ引っ張りジェットコースターに乗った。
降りてきた麗奈は楽しそうな笑顔を浮かべていた。
「お腹空いた。なにか食べに行きましょ」
相変わらずの自分勝手な発言にも弘太郎は嫌な顔1つせず、着いていく。
2人はまったく一緒のものを買って食べている。
「ねぇ、こうくん。私のこと好き?」
いきなり過ぎてコーラを噴き出してしまった。
「す、好きだよ」
麗奈は満面の笑みになる。
なんだかんだで食事が終わり、次に見つけたのは『恐怖の館』と言うお化け屋敷であった。
引っ張り入るが、入った途端に弘太郎の後ろに隠れた。
「恐いの?」
「そんなわけないじゃない!」
2人は進んでいく。
いきなり光って出る魔女のシルエット。
吹き出てる風。
震える地面。
どの場所でも麗奈は驚いていた。
お化け屋敷を出て、再び聞く。
「恐かったんでしょ?」
「そんなわけないじゃない!」
まったく一緒の返しに弘太郎は笑ってしまった。
次にメリーゴーランド。
次にコーヒーカップ。
なにかに引き寄せられているような感じで麗奈は乗り物を選んでいった。
もう日が暮れ、麗奈が最後に選んだのは観覧車だった。
すぐさま乗り込んで、風景を楽しむ。
「ねぇ、こうくん」
「なに?」
「ジェットコースターが綺麗だよ」
「ホントだね。もうあんなに小さいよ」
「だいぶ高くまで来たみたいね」
「もうちょっとで一番上だよ」
「見て! 綺麗」
「すごい……」
輝く遊園地を眺め、言葉をなくす2人。
そろそろ、終わるころ。
「麗奈、」
「ん?」
2人は見つめ合う。
弘太郎は麗奈の肩を確りと掴んだ。
顔を近づけていき目を瞑る。
麗奈も目を瞑った。
その刹那……。
麗奈は弘太郎を押し返した。
「はい終わりです」
扉を開けられる。
2人は降りた。
「なんで?」
帰りながら弘太郎は聞いた。
「ダメ?」
麗奈は俯いたままだった。
「ねぇ、麗奈!」
「ごめんなさい……」
麗奈から涙が溢れた。
その時、弘太郎は全てを悟った。
その後2人は会話もなく別れた。