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第十九小節:別に…

別に意味は無いんだけど…

 結局一日中寝ていた海翔。そのため部活は無しにして帰ることにした。


 が、放課後になっても目を覚まさない海翔。起こしても起きないため、麗奈は怒って帰ってしまった。


 海翔が目を覚ましたのは5時ぐらいであった。


「あれ、まだ朝?」


「あんた、バカ?」


 そこに来たのは部活が終わって忘れ物を取りに来たカナだった。


「もう放課後よ。さっさと帰る準備しなさい。」


 と言いながら自分の机の中から英語の教科書を取る。


「珍しいな。お前が教科書持って帰るなんて。」


「う、うるさい!良いだろ別に。中間近いんだし。」


 と聞いて海翔は驚いた。


「中間まであと何日だ?」


「あと?え〜と…確か1週間と2日。」


 海翔は空っぽのスクールカバンに机の中に置き勉されている全教科の中から、中間テストの教科、現代文、古典、数学Aと数学Ⅰ、英語Ⅰ、さらに理科総合に地理。


 全ての教科書はスクールカバンに完全には入らなかった。


「あたし、帰るね。」


 そう言って教室から出ようとするカナ。


「待てよ、一緒に帰ろうぜ。」


 カナはその声につられて振り返った。


 そこには海翔の爽やかな笑顔があった。カナはその笑顔に見とれた。


「なんだ?オレの顔になんか付いてるのか?」


 カナはふと我に帰り、顔を真っ赤に染めて海翔の反対側を向く。


「鼻が付いてるわよ。バカ。」


 足早に歩くカナ。海翔は追いかけて、カナの隣を歩く。


 そんな時間帯に麗奈と薫は公園にいた。気まずそうに、迷惑そうにその場にいる麗奈。


 麗奈は無理やりこの場に連れてこられたのだった。薫は麗奈に近付き、


「今日早いわね。またケンカでもしたの?」


 嫌みっぽく言う薫。


「そんなんじゃありませんよ。たまには休まないと死んじゃうからってなっただけですよ。」


 薫から目を反らしてなんの抑揚も無く、平坦に言った。


「あらそう。」


 やはり嫌みっぽく笑う薫。


「要件はそれだけですか?なら帰らさせていただきます。」


 立ち上がり、逃げる様にその場を去ろうとした。


「海翔君から手を引きなさい。」


 唐突な言葉に、つい足を止めた。


「わからない?嫌われてるの。」


 思い当たらない訳がなかった。逆に嫌われる事ばかりをしてきていた。


 麗奈はブレザーの袖を強く握った。


「ご忠告ありがとうございます。でも、薫先輩ほど嫌われてはいませんから。」


 麗奈は勝ち誇った顔を薫に見せつけて、その場を去った。


「まったく、強がっちゃって、」


 薫はイスに座り、ため息を吐いた。


「ホントは泣きたいぐらい、責めてる癖に。」





 麗奈は帰りの電車の中、ドアの近くで夕闇の外を見ながら、手すりを強く握っていた。


「よ、」


 後ろから肩をポンっと叩かれた。咄嗟に振り返った。


「海翔、」


 2人はたまたま同じ電車に乗っていた。


「お前、なにしてんだ?さっさと帰ったんだろ?」


 麗奈はプチンときた。


「別にいいでしょ!あんたには関係ないわよ!」


 電車の中で怒鳴る。回りの人は一斉に2人を見る。


「おまっ!バカ!すみません。」


 海翔は回りの人に謝る。


「別に、バカじゃ無いわよ。」


 麗奈は恥ずかしさ余り顔を赤らめて外を見る様にドアに張り付いた。


 外はすでに、月明かりと街明かりが世界を照らしていた。

別に意味は無いんだけど、ツンデレだね。

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