第十四小節:久しぶりの会わせ
毎度ながら放課後。4人はいつものように部室の定位置に着く。
「一曲だけだからな。」
溜め息混じりに麗奈に言う海翔。
「えぇ、良いじゃん。鬱憤晴らしにさ。」
ウキウキ気分の麗奈。
「だからさぁ、」
頭を掻く海翔。
「あの曲を作るつってんの。」
「私は歌いたいの!」
「じゃぁ、作らなくて良いな?」
海翔の溜め息が止まらない。
「えぇ!」
「どっちなんだ!」
「わかったわよ、十曲で許してあげるわよ。」
「それじゃぁいつもとかわんねぇだろ!」
「明日休みなんだから明日作ろうよ。とにかく今は歌おう!スティック!」
いきなりふられたダイゴはスティックを落とす。
「ごめん、」
「ちょっとどうしたのよ?ダイゴ。あんたらしくないじゃない。」
「ちょっと考え事してた。すまん、始めるぞ!」
スティックが3つなる。
アーフタクトから入るギター。それに続いてベースとドラムが8ビートを刻む。
高音を響かせるギターはその後に来るボーカルへとつながる。
「あなた見るたびに、苦しい胸をドンと叩いて駆け出す登校道。
あなた追い越して、溜め息をついて校門入る毎日の朝。」
Aメロが終わりBメロにはいる。速いテンポ感にのせて気持ちも高揚してきた麗奈。しかし昨日海翔に言われた事を思い出す。落ち着け…
「今日も言えなかった、あなたの前に行くと、恥ずかしくて緊張して。でも、言います。」
ドラムがソロを貰いその後のサビ。
「好きです。言っちゃったよ。上手く言えたかな。足が震えるよ。
答えて。はやくして。倒れそうだよ。泣きそうだよ。
こんな妄想、下らないわ。はやく言いたい。好きです。」
一番が終わり冒頭に戻る。
そんな感じで演奏仕切った。
「気持ち良い!!」
その場で叫ぶ麗奈。
「やっぱ海翔じゃなきゃな。」
ユウヤが嬉しそうに語る。
「オレもやっぱこっちのバンドの方が好きだわ。」
全員でハイタッチ。笑顔になる【ペインツ】。
「よし、次行ってみよう!」
「少し休ませろ!」
「ダイゴ!」
「おいよ!」
そして二曲目が始まるのであった。
いやいややっているがなんだかんだで楽しがっている海翔。そこに恋意識が芽生えた。
歌詞考えるの疲れる…