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第百三十二小節:独り言




次の日は休日だった。


麗奈はまだ少しだけ痛い腹部を引きずりながら、淡々と昼食まがいの朝食である、チャーハンを作っていた。


出来上がったものをお皿に盛り、テレビを見ながらスプーンで食べていた。


猫舌らしく、はふはふしながらゆっくりと食べている。


この時間はニュースがやっているので、なんとなく眺めていた。


ニュースでは、エンタメ情報と言いながら、近々やる、あの猫かぶりブスでカワイイ猫、の☆Spring concert☆で、幻のデビュー曲ついに、という見出しでやっていた。


あの猫かぶりブスでカワイイ猫は結局のところカワイイ猫ではないかと、あえてツッコまない。


「デビュー曲って学校でやったあれでしょ、いててて、胃が。」


ちょうど食べ終わったところなので、小村から貰った、いかにも怪しい薬を飲む。


再びコップに水を入れ、机に置く。


その情報を見ながら、一言も海翔が出てこない。


特に目立たないのかと、バカにする。


麗奈はテレビの電源を切った。


そのまま客室に向かい、持って帰ってきたギターを取り出した。


今までやってきた曲。


そのほとんどのギター譜は海翔がやってきていた。


ちょっとした興味本意でやってみる気になったのだ。


まず始めに【私の心は雨】のギター譜をやりはじめた。


「でたF。」


独り言だ。


麗奈はゆっくり1人で頑張ってい、


「またでたF。つーかーれーたー。」


るのか。


「休憩休憩。サイダー、サイダー。」


キッチンに向かって冷蔵庫からサイダーを出して、がぶ飲み。


その後、サイダーをしまい、客室に戻る。


「よし、1回通してみよう。」


ギターをかまえ、ゆっくりと弾き始めた。


始めの方は順調に弾いていた。


しかし、相変わらず歌が入るとどちらもダメになる。


「はぁ、ダメだな私。」


もう1度、もう1度。


何十回もやってやっと1番だけ出来るようになった。


ため息を吐く。


「これ、1人で出来るかな。」


そう呟いて時計を見た。


「げ、4時!


買いものいかなきゃって胃がいたい!


ごはんあまってるからお粥にでもしようかな。


でも具なしって寂しくない?


醤油、かな。もういいやなんでも!」


ギターをしまってキッチンに向かった。


【私の心は雨】のスコア譜が、パラパラとめくれていった。


そこには1番最後のたった2小節だけが別にされて書かれていた。


しかし、線は書いてあるのに音譜は書かれていない。


白紙の2小節であった。


なんの意味も持たない小節を、なぜ、海翔は書いたのか。


その本人は、翌日の本番のためにゲネプロをやっていた。

2小節?なんの事でしょうか?

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