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第十二小節:舐めないでよね

 朝。何時もの時間に電車を降りる麗奈。焦らず海翔が待っている場所へと向かう。

 やはりいなかった。昨日喧嘩したんだ。いるはずが無かった。

 麗奈は小さく溜め息をつく。

 1人だけど走る。全速力で。まだ歩いている遅刻組を追い抜き、髪を風に預けながら学校へ向かう。自分で走るのも良いものだと思った。

 学校に着く。いつものようにギリギリ。校門を入って走るのをやめる。汗が地面に落ちるのを見る。


「ギリギリですよ。」


 そこにいつも声を掛けてくる薫。勝ち誇ってる顔だ。


「今日は1人みたいですけど?」


 やっぱりいびってきた。


「たまには1人も良いものですよ。先輩。」


 そんな薫に麗奈は逆に勝ち誇った顔を返す。それに驚いたのか薫は息を呑む。


「遅刻しますのでいきますね。」


 麗奈は笑みを見せて教室へと歩いていく。


「負け猫が、小賢しい。」



 麗奈は教室に入った。

 教室は冷めた空気へと変わるが麗奈はそんなこと知ったことじゃない。

 もうすでに机に突っ伏せている海翔の所にいく。

 そして腹部を足の裏でおもいっきし蹴る。

 海翔は椅子ごと床に倒れた。


「なにすんだ!いてぇな!」


 起き上がり怒鳴る海翔。

 麗奈は倒れた椅子の足に蹴った方の足を乗せてさらにその足に右ひじを乗せてその手の甲に顎を乗せる。


「なにが痛いよ。昨日の謝罪、まだ貰って無いんだけど?」


 辺りの空気は完全に冷えきった。


「蹴り入れる奴に謝る義理はあるかよ。」


「なに?男のクセに言い訳するの?かっこわる。」


 挑発的に言葉を発する麗奈。地面に転がっている海翔を見下した状態を保つ。


「悪いことしたら謝るのが人としての義理じゃない?」


「じゃぁお前はなんなんだよ!?」


「私?私はね…」


 ニヤリと頬を上げる。


「おひめさまだから何したって許されるの。」


 その場にいた全員が納得していないだろう。ただ気迫に圧倒された海翔は何も言えなくなった。


「早く土下座しなさいよ。」


 海翔は言われるがまま動き始める。そして両手を床につけた時…


「そこまでだ。」


 ダイゴが2人の間に入った。


「この通りだ。許してやってくれないか。この通りだ。」


 ダイゴが頭を深々と下げる。


「ダイゴが言うなら、べ、別に良いわよ。」


 麗奈はそっぽを向く。顔も何故か赤くなる。


「ほら、頭上げなさいよ。本当に悪いことしてるみたいじゃない。」


「いやしてるよ。」


 海翔が呟く。


「なにを!」


「やるかチビ!」


 ダイゴは頭を上げ、溜め息をついた。


「まったく、なんなんだコイツらは。」


 そんな時先生が入ってきた。


「騒がしい!座れ!座らんと欠席にするぞ!」


 ほっぺを摘まみあった2人の動きが止まり、グチャグチャになった机や椅子を全員で治す。


「よし、出席とるぞ!」


 この時、海翔と麗奈は笑顔だった。

仲直りしたの!?

変な2人でした…

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