表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/216

第百七小節:痛い




もうクリスマスも目の前だった。


テストも終わり、特にやることもない授業をしっかり受けている。


午前中に授業は終わるのでそのあとは部活のし放題だった。


クリスマスライブも近いので、全バンドがフルで練習を入れていた。


【ペインツ】もそのなかの1つにしか過ぎなかった。


文化祭で評判が良すぎ、期待され過ぎている【ペインツ】は曲のレベルを上げ過ぎ完成度が低い。


「ごめん。


もう一回。」


さらに麗奈がギターを始めたことで、やらなければならないことが増えていた。


このままでは、確実に完成しない。


海翔はそう考えていた。


「よし、ダイゴもっかいいこう。」


「おう。」


ダイゴがスティックを叩く。


いきなり歌から始まる曲。


8ビートで簡単めなのだが、左手がついてこない。


明らかに違う変なコードを弾いてしまい麗奈は自分で止める。


それを繰り返していた。


「ごめん。もう一回。」


「休憩。絶対に楽器に触るなよ。」


海翔の変な指示だった。


海翔は基本的に休憩をいれない。


いれたとしても自分はギターを弾いている。


が今日はそんな指示を出した。


4人は楽器を置き、適当に動き回ったり座り込んだりしていた。


海翔は動き回ってる麗奈に近づき、いきなり左腕を掴む。


「いっっっ!」


麗奈は余りの激痛に腕を引いた。


「なにすんのよ!!」


「触っただけだ。」


麗奈は首をかしげた。


その言葉にユウヤは反応した。


「麗奈大丈夫!?」


「平気よ。強く掴まれただけだし。」


海翔はため息をつく。


「だから触っただけだ。」


「嘘よ。あんな痛いはずが…」


そう言いながら、自分の左腕を右手で触った。


「いっ!


なんで。」


「肉離れだバカ。


よく動いてんな。


ちょっと待ってろ。」


海翔は部室から出ていった。


麗奈は泣きそうだった。


「あんまり触らないでね。」


「うん。」


「大丈夫だよ。」


「うん。」


「うん。」


ユウヤはどうすれば良いかわからなくなった。


「楽器に触るなとは言われたが、口を動かすなって言われてないぜ。」


ダイゴがそう言う。


ユウヤは首をかしげた。


「ったく。歌なら練習出来んだろ。」


ユウヤは閃いたように首を戻す。


「麗奈、歌だけでもやってる?」


麗奈は目を閉じた。


ユウヤはすねちゃったかと思ってあたふたしていた。


「太陽と雪が交わり


金色に光る雪の


降る場所を眺めて


あなたがそこにいると願ってる」


急にさらっと歌った。


そこはハモりパートで単品で聞くとおかしなフレーズにしか聞こえないはずなのに、ハモりが旋律に聞こえてしまう。


ダイゴとユウヤは開いた口がしまらなかった。


そこに海翔がシップを無数に持って帰ってきた。


「どうした?」


そう聞くのも無理はない。


麗奈は一筋の涙を流し、2人は口をあんぐり開けて麗奈を見ているだけなのだ。


行動が矛盾しまくりなのだ。


「ま、いっか。


麗奈、左腕出せ。」


海翔は叩きながらシップを張り始めた。


麗奈の泣き叫ぶ声は校舎内をぐるぐる回った。


一通り終わると、


「もう無理すんな。


無理そうなら諦めろ。


あんまりやり過ぎると左手、動かなくなるからな。」


麗奈はコクりと頷いた。


「よし、じゃぁ始めんぞ。」


海翔が号令をかけると、全員が定位置につき、練習が始まった。

そんなに強く握らないはずなんですけどねぇ。

力が弱いのかな?

にしても大丈夫でしょうかねぇ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ