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第百六小節:ピアノのネックレス




「え!薫先輩が!」


「しぃ!内緒だって。」


カナが麗奈たちにあの事を言った。


「だってまだ2年だよ。


早いでしょ。」


「あたしもそう思うけど、大学受験が大変なんだって。」


「やっぱり、ピアノで音大なのか?」


「なんで海翔が知ってんの?」


海翔は窓の外を見た。


カナの質問を答える人がいなくなった。


「最後かぁ。


なにか準備しなきゃね。」


「準備って何を?」


「寄せ書きとか?」


「卒業じゃないんだからそれはないだろ。」


「だって部活は卒業するんでしょ。」


「戻って来るかも。」


「む。


じゃぁなにが良いのよ!」


そこにいる全員が悩み始めてしまった。


沈黙の時間が流れる。


「飲み会?」


「そりゃないだろ。」


「でっかいケーキとか?」


「誰が作んだよ。


シャーペンはどうだ?」


「もっと勉強しろって意味にならない?


母の日にエプロンみたいな。」


「そうだな。」


再び案が出なくなった。


もうお手上げの表情を麗奈が見せ始めた。


その時に、


「ピアノのネックレス。」


海翔がボソッと言った。


それを聞くと麗奈は机をおもいっきし叩いて立ち上がり、海翔に指を指す。


「それ、いいじゃない!


決定!」


麗奈はすぐに買いに行こうとスクールカバンを担いだ時だった。


「授業はじめますよー。」


次の授業が始まってしまった。


麗奈は舌打ちをして仕方なく席に座った。


そのまま最後まで授業を受ける。


「よし!海翔、さっさと行くわよ!」


「うわ!ちょ!待てよ!」


麗奈は海翔の耳を掴み、そのまま走っていく。


「元気だねぇ。」


「そうですね。


私たちも、これからどこかいきません?」


「う、うん。」





海翔と麗奈はいつもの、調布のパムコに来ていた。


「あ、あるじゃん。」


「ホントだ。


いくらだ?」


海翔は値札を取り、ひっくり返した。


その値段を2人はマジマジと見た。


「いちじゅうひゃくせんまんじゅうまん…


13万!」


「さすがにたけぇな。」


「6人で割っても1人2万ちょっと…


よし、貯めに行くわよ!」


「貯まる前にクリスマスが終わるっつうの。」


「じゃぁどうすんのよ!」


海翔は腕を組んで悩んでしまった。


麗奈はそのネックレスをマジマジと見つめる。


「どうしたお前ら?


若者らしくないしわくちゃな顔して。」


小村があらわれた。


「こむT!


良いとこに来た!」


「こむTってなんだ、クソボウズ。」


「細かいこと気にすんなって。


なぁ、いくら持ってる?」


「あ?イクラは持ってねぇぞ。」


「ふざけてんのかよ。


金だよ。」


「なんだ?先生の金でもせしめる気か?」


「ちげぇよ。


薫先輩の為にこれ欲しいんだよ。」


小村は13万のネックレスを見た。


「諦めろ。


もっと安いもんにしろ。」


小村はそのまま上の階に行ってしまった。


「ったく。けちぃな。」


「諦めよ。


やっぱ、ケーキね。」


麗奈は海翔に顔を見せないようにパムコを出た。


「は?


ってか待てよ!」


海翔は麗奈を追いかけて行く。


その様子を最後まで見届けて、小村はネックレスの所に戻って来た。


「ったく。なんでこんな高いやつなんだよ。」


小村はそう呟きながら、それを手にとった。

小村さん?大丈夫なんですか?

ダメだと思いますよぉ。

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