第百三小節:喋る
もうさすがに夏服の人はいない11月。
逆を返せば、10月までは夏服の人がひらほら見れた。
「でさぁ、スカートに夏服とか必要かな?」
「木地とかは多少厚くはなりますが…」
「厚くなっても下フリーじゃん。」
「お金の無駄って感じしない?」
「そう言われましても。」
女子3人がよくわからない会話をしていた。
「しかもさぁ、夏スカートダサくない?
なんか目が痛くなりそうなあの感じ。」
「あれダサいよね。
来年はずっと冬スカートかな。」
「たしかに、先輩方も冬スカートの方が目立ちましたしね。」
「着ないならやっぱり無駄って思わない?」
「私おもーう。」
「しかし、やはりけじめとかが必要なのかと。」
「この学校にけじめ?
茶髪とか金髪とかがはびこってんのに?」
「ホントよねカナちゃん。
先生方にそこら辺徹底してほしいって言っているんだけど、どうも改善する気はないみたいなのよね。」
「薫先輩!いつのまに。」
「いつも麗奈ちゃんの後ろにいるわよ。」
「ストーカー!」
「違うわよ。」
「先輩、まさかのレズだったんですか。」
「シナちゃん、生徒会選挙で入れてあげた恩忘れたの?」
「申し訳ありませんでした。」
「そうそう。シナは生徒会の副会長だっけ。
スゴいよね。」
「それほどでも。
残念ながら、特に面白くもないと天の方の考えで、カットされてますが。」
「意外と楽しいと思うんだけど。」
「でも副でしょ。
会長ならまだしも、副だしねぇ。」
「そう言われるとそうですね。」
「てかシナ、ユウヤとは最近どうなのよ?」
「へ?」
「そうよ、シナちゃん。
私に内緒でいつのまにか出来ちゃって。」
「いえいえ!
内緒にしていたつもりは。」
「だから最近どう?
てか何ヵ月?」
「恥ずかしながら、今月が3ヶ月目です。」
「シナも隅におけないねぇ。」
「あら、カナちゃんはどうなの?」
「へ?カナも?」
「い、いやぁ。
あたしはフラれましたしねぇ。」
「新しい目星があるんじゃない?」
「な、ないっすよ。
あたしはもう部活一筋で。」
「そういう子ほど来年辺りに後輩漁り始めるのよね。」
「先輩!」
「冗談冗談。」
「もぅ。」
「そういえば、麗奈ちゃんと海翔くんは?」
「え!私!」
「そうよ。
仲良いんだし。」
「まだ、」
「え!」
「全く。この子ったら。」
「時には度胸ですよ。麗奈。」
「いや、海翔にもう1人好きな人がいるみたいで。」
「え!」
「へぇ。海翔くんも隅におけないねぇ。
早く捕まえたもん勝ちよ。」
「う、うん。」
「ファイトです。」
きりがよくここでチャイムが鳴る。
「あ、私戻らなきゃ。
麗奈ちゃん、ちゃんとハモれるようにね。」
例のごとく薫は消えていった。
その一連を見ていた海翔とダイゴは、
「なんであんなに喋れんだろうな。」
「さぁ。疲れそうだな。」
「あぁ。」
不思議そうに見ていた。
女性は話し始めたら止まりませんよね(笑)