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第百小節:後夜祭




文化祭の終わりは、後夜祭の始まりを意味していた。


海翔たちは、体育館の裏に回り、楽器を用意していた。


まず、軽音楽部が出る前に、サッカー部の漫才が始まった。


「トゥース!」


「ちょっと待ってくださいよ!」


等々など、テレビでよくみるようなネタばっかりやっていたが。


まぁ爆笑のようなので、後夜祭の始めにはいい感じだ。


次にダンス部が、華麗に躍りを決める。


次に先生方のバンド、と言ってもジャズバンドといった感じだが、が始まる。


聴いていると、海翔たちくらい上手ではないか。


等々軽音楽部の出番になる。


軽音楽部は3団体が出ることになっていた。


まず始めに、3年のバンド、次に【ペインツ】、最後に【グランドマイン】であった。


3年のバンドは最後の文化祭という感じで、【グランドマイン】より上手く聴こえた気がした。


泣きながら舞台裏にくる女性ボーカルは薫に抱きついた。


薫はただ、抱き締めているだけだった。


それを確認した後で、【ペインツ】は舞台上に上がる。


時間がないようなので、1曲だけ。


舞台裏に下がる。


また入れ違う【ペインツ】と【グランドマイン】。


海翔と薫は手を頭ぐらいまで上げて、バトンタッチをするように手を叩き合った。


そして【グランドマイン】は曲を始める。


海翔は楽器をケースにしまう。


「麗奈、すまないがギターちょっと預かってて。


トイレ行ってくるわ。」


海翔はギターを麗奈に渡し、走って体育館を出ていった。


海翔は急いで、校舎に入り、くらい校内を駆けて屋上につく。


海翔は屋上につながる扉を開けた。


冷たい風が海翔にあたる。


風は柵にもたれ掛かって外側を見ている女性の短い髪をイタズラに揺らしていた。


「お前だったのか。」


海翔はその女性に近づきながらそう言った。


女性はその声に驚いき、海翔を見て笑顔を見せた。


「あたしだよ。」


「どうしたんだ?


こんなところに呼び出して。」


女性は再び外側を見る。


「別に、一言…言いたいだけ。」


風で濁すような言葉だった。


「なんだよ?」


女性は動かない。


「おい、カナ!」


女性は振り替える。


海翔の目を見て。


「あたしが言うことに答えないで。


もうわかりきった事だから。


でも抑えられないから聞くだけ聞いてほしいの。


お願い。」


「だからなんだよ。」


さっきまで吹き荒れていた風がやむ。


「あたし、海翔のことが、」


ドン


バン


花火が打ち上がった。


それと同時にカナは逃げるようにして校舎に入り階段を下っていった。


海翔は動けなかった。


右側の体育館より奥で上がっている綺麗な花火を横目に、さっきのたった二文字の言葉を頭のなかでグルグル回していた。


「好き、ってなんだよ。


わかってるって何をだよ。


オレは、アイツの事が、」


「海翔!」


麗奈が来た。


余りに長いトイレだったので、目撃情報を頼りにして校内をくまなく探した結果だ。


「なんで来たんだよ。」


「アンタこそ、なんでここにいるのよ。


あぁあ。花火始まっちゃったじゃない。」


麗奈は大きなため息をつく。


そして、海翔に近づきながら、


「でも、ここ、特等席みたいね。


誰もいないし、眺めいいし。」


海翔は麗奈の笑顔を見た。


そして、ヒュルルと上がる花火玉に目を移し、音をたてて鮮やかに花開くのを見た。


「なぁ、」


「なによ。」


「もし、もしだぞ。」


「だからなによ。」


「お前が、2人好きな人がいて、諦めがつかなかったら、お前だったらどうする?」


「なに?好きな人が2人もいるの?」


「だからもしだって。」


「普通私に聞く?」


「いいから答えろ。」


「はぁ。


私だったら、片方を好きになるまで、片方を忘れようとする。かな。」


「忘れようとするけど、目の前に表れたら?」


「なにそれ?


まぁ、こっちが好きなんだって言うかな。」


「そうか。」


「どうしたのよ。」


「花火終わったし、降りるぞ。」


「ちょっと待ちなさいよ!


なんなのよそれ!


好きな人ってだれ!?


踏んづけてやる!」


「お前にゃぁ関係ねぇよ。」


「だから待ちなさいって。」


そのまま2人は、仲良く帰ったとさ。




カナは帰りながら泣いていた。


海翔は自分のことはアウトオブ眼中だということは知っていた。


麗奈の事が好きなのだから。


たまたま通りかかった公園のベンチに座り込む。


1人で声もなく泣いている。


そんなに好きだったのかと自分でも驚くくらいに。


「おい。」


男の声だった。


聞き覚えがあるようで振り返った。


「どうした?」


「ダイゴ……」


その顔を見た瞬間、貯まっていた悲しみが一気にふりかかり、声を出して泣き出してしまった。


「お、おい!


大丈夫か?」


「なんで、声かけてくんのよ、ばかぁ!


みせたくない、に、きま、てんじゃない!」


「す、すまん。


じゃぁ、見なかった、」


「待ってよ!」


「お、おう、」


「1人にしないでよ!」


「す、すまん。」


その後、カナが静かになったと思ったら、泣きつかれて寝てしまっていて、ダイゴはシナにカナの家を聞いて、おぶって連れていった。


1つの恋が終わる頃、物語が単純に進むかに見え始めた2人に、思いもよらない出来事が起こることは誰も予想できなかった。

やっと全部のフラグ立て終わった…


百もかかった…


まだ1年目の半分しか終わってないのに…


次はハロウィンだぞ(はーと)

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