第十小節:お昼の事
たまにはお昼もゆっくりどうですか?
お昼休み。いつものように6人で机を四角く作る。
「もう大丈夫なのですか?」
シナは弁当箱を机の上に出した状態で海翔に聞く。海翔はいつも通り購買で買ってきたおにぎりを左手に持ち、もう片方の手はペンを持っていた。
「あ、大丈夫。ほら、この通り。」
と海翔は自分の腕をペンでつつく。正直少し痛いらしい。
「朝はごめんな。」
カナは両手を目の前で合わせて頭を机にぶつけた。
「大袈裟だな。知らなかったんだし、しゃぁねぇよ。」
おにぎりをパリッと一口。この音がたまらない。
「そうだぞ、カナちん。逆にもっと叩いてやればよかったんだ。」
そこに麗奈が箸を目の前でグルグル回し威張ったように言う。
「まじか!?じゃぁいまから…」
不気味な笑いを浮かべ海翔に向かっていく。
「いやいや!いま食事中だから。」
「そうだよ。カナさん。」
そこにユウヤが入っていく。
「気荒な子は嫌われるよ。」
カナは何かに刺される感覚がした。
「とりあえず、座ろう。」
「うん。…ごめん。」
カナは大人しく席に座る。
「あ、卵焼き!貰うよ。」
「良いですよ。」
そんなしんみり空気もなんのそのな麗奈はシナの弁当箱から卵焼きをとった。確実に返事を聞く前に貰っているのはお決まりだ。
「そう言えばさ、カナちんってさ、お弁当自分で作ってるの?」
いきなりのキラーパス。麗奈は素朴な疑問を投げつけたがカナは驚いてしまった。
「え、当たり前じゃん。」
「意外だな。」
海翔が呟く。
「なによ!あたしが弁当作れないとでも!?」
カナは怒った。
「いや、違うよ。結構可愛い所もあるんだなって。」
カナの顔が赤くなる。
「う、うるさいわね。おだててもなにも出ないから。」
ゆっくりと座って箸を口に加えたまま小さく言った。
そんな姿を麗奈がじっと見る。
じっと見すぎて近くにあったシナの水筒を倒してしまいお茶がこぼれた。
「あ!ごめん!」
「大丈夫です。」
とシナは立つ。すると机に腰が強打し、机が大きく揺れる。その反動で弁当箱が飛んだ。
ゆっくりと飛んでいく弁当箱。中身はまだまだ入っている。それがダイゴの頭にかかる。
辺りは騒然とした。ネッチョリと弁当箱が落ちる。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
何度も何度も頭を下げるシナ。
「大丈夫だよ。」
と、なにも無かったかのように平然なダイゴ。机を拭く海翔と麗奈とカナ。
「落ち着こう。ここは落ち着こう。」
そんな荒れた状態をユウヤが止めに入る。
「お前はなにもしないのか!」
海翔と麗奈とカナは同時にまったく同じことを言った。
「だから、落ち着こう。」
ここで慌ただしいお昼は終わったのだ。
各々は机を戻す。
「あ、麗奈。」
「ん?なに?」
海翔は思い出したように呼ぶ。麗奈は振り向いて聞き返す。
「あの曲ってさ。自分で創ったのか?」
麗奈は顔を赤らめる。
「そうよ。悪い。」
意地を張って言う。
「いや。いい歌詞だなって。」
「誉めてもなにも出ないわよ。」
「オレが出すよ。」
「へ?」
麗奈は驚いて声を裏返してしまった。
「曲付けてやるよ。ボーカルの所、教えろよ。」
「う、うん。」
「放課後な。よろしく。」
「うん。」
麗奈は今の気持ちに困った。どんな気持ちかわからないのだ。
勉強に集中出来ない午後でした。
曲創っちゃうんですね♪
気になるけど小節だから歌詞しか出せない(泣)