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転生した鬼は元クラスメイトを地獄へと誘う  作者: 月のウサギ
一章 復讐者の慟哭
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序幕の終わり

「ふむ、よく来たな」

「ええ、来させて貰いました」


静寂に包まれる聖堂。その中で俺と領主は面会する。


街が寝静まった頃、俺はベアトリス孤児院に来ていた。ここが領主が選んだ取引場所だからだ。


まあ、納得できる。領主の館付近に不審な物を持ってこられていぶかしられても困る。それなら少し遠めの場所で接触した方がバレる危険性が低くなる。


それに、この孤児院の地下に養殖場があり、そこから直通路が繋がっている。臭いがキツいだろうが誰にも気づかれずに移動できる。


だからこそ、俺が堂々と入る事ができる。


「ここは養殖場のカモフラージュとして作られておる。何だったら何個か貰っていくか?報酬として」

「いえ、特には必要ありませんよ。私はあくまで冒険者、その妨害が無くなったのならそれだけで十分ですよ」


ちっ……人の事をモノ扱いかよ。やっぱり、こう言った人間とはつるみたくないな。不快な上に面倒ごとにしかならない。


「それで、それがそうなのか?」

「ええ」


勇者の頭が出たカーペットを取り出して見せつけるようにもつ。


さて、始めようか。


「では、こちらを」

「うむ、ありが――ぐふっ!?」


カーペットを受け渡して醜い笑顔を浮かべる領主の腹を貫手で刺す。


やはり、二重のカーペット(・・・・・・・・)が緩衝材になって貫手の威力も低くなり傷も浅くなってしまったか。だがまあ、別に構わないか。話したい事があったし。


「な、何を……これでは勇者が……」

「ああ、それは偽物だよ。良くできてるだろ?」


傷口を手で抑えよろめく領主を脚払いで転ばせる。


それでもなお疑問しかない顔にイラつきを感じながら転がっている木の人形の頭を手に取る。


これは俺が木で作った頭だ。仮面を作るよりも簡単に作れるため製作したのだ。髪の毛はスフィアが全て抜き取ってくれたおかげ植毛できた(糊付けしただけだけど)。


「まさか偽物だとは気がつかないとは。愚物だな」

「貴様……!一体何故……!?」

「何故?お前には思い当たる節があるのでは?」

「なっ……!?」


仮面を取り外し鬼族としての俺を見た瞬間領主は息を飲む。怒りで赤かった顔は一気に青ざめ、歯ぎしりする。


そうだよな、お前は俺の事を前から知っていた(・・・・・)だろうからな(・・・・・・)。


「お前は俺を奴隷に(・・・・・)しようとした(・・・・・・)。それが原因の一つだ」


十年間、迫害や差別に耐えながら俺は旅を続けていた。


その際現金を手に入れるために犯罪組織や盗賊を積極的に襲っていた。その中で、鬱陶しく成る程何度も襲ってきた犯罪組織があった。それが昨日ここの支部を潰した『ヴェルディ』だった。


その構成員の一人を尋問したところ、ここの領主の名前、来ている勇者、その聖具を教えて貰えた。


一々相手にするのも厄介だし、勇者への復讐を兼ねて組織を潰したが……。結果的にだがその元である領主を潰す嵌めになった。


そもそも、本来の計画なら組織に入り内部からの壊滅やギルドの情報を統制し勇者を罠に嵌めるつもりだった。その後、ついでに組織を壊滅させるつもりだった。


まあ、『ヴェルディ』への嫌悪感よりも領主の怒りが勝ったから領主を利用する事にしたが。


「ぐっ……!」

「おおよそ、俺を種馬にしたかったとかそんなところだろう。鬼族は希少だから養殖して増やして高値で売るつもりだったんだろう」

「貴様ら亜人どもは我らに生かされているのだぞ!そのくらい当然だ!」

「うっさい」

「がっ!?」


持論を吠える領主の頭を殺さない程度に踏みつける。


亜人。この世界で人族の亜種、なりそこないを意味する言葉で人族以外を一括りに差別するこの世界で最も酷い差別用語だ。


物扱いするのも俺にとっては許せないことだが亜人と言う言葉も心底気にくわないしムカつく。


「俺はお前が口答えする権利を与えていないぞ」

「ぐっ……!」

「それで、どんな気分だ?自分が下に見ていた亜人に利用された挙げ句頭を地面に付けさせられて、どんな気分?」

「ぐ……ぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


もう、いい。こいつの魔力はあまりにも淀んでいる。こんなものを見ているのも不快だ。


「逝け」


短く死刑宣告を呟いた瞬間頭を力任せに踏み潰す。


領主だった者は少し痙攣した後、すぐに動かなくなる。


こいつが行ってきた行為は醜い欲望をぶつけ多くの者の心と体に傷をつけた。まさに『悲劇』と言えるだろう。


そして、その『悲劇』は俺の『絶望』によって食い尽くされる。


「……エイン様」

「おう、戻ったかスフィア」


俺が頭が潰れた領主だった物を転がして適当に置いていると台座が動き血に濡れたスフィアが女性の体を持って出てくる。


スフィアには館に直接乗り込んで貰い子安が見つかるように装飾して貰った。


本当は俺がしたかったが……まあ、そこら辺は仕方ないか。この領主だけは確実に殺しておきたかったし。


「あの……エイン様。よければ何ですがお母様を……」

「別に構わないよ。そこら辺はお前の自由だ」

「そう言えば……これを」


女性を長椅子に座らせてポケットから取り出した眼鏡を俺に渡す。


これは……聖具ライアーだったか。人の心が読めるとんでもない魔道具だったな。


ああはなりたくないが少し心を読むと言うことがどういう感じなのか試してみたい。


「え、エイン様!?」

「使い方さえ気をつければ便利そうだしな」


眼鏡に付着した血を拭き取ってかけ外部の光を収束させる。


俺は外部の魔力を感覚的に操作できる。魔道具と魔法の中間辺りにある聖具に外部の魔力を注ぎ込むことで本人の意思とは関係なく発動させたのだ。


さて、少し魔力が溜まるのに時間がかか


『大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き』


「ぐおぉ!?」


聖具ライアーが起動した瞬間流れ込んできた心の声が頭に響いた瞬間頭に金槌殴られたような激痛が走り眼鏡を取る。


な、何だったんだあの糖度ゼロのビターチョコみたいなとんでもなく重い心の声は。てか、さっきの声。間違いなくスフィアじゃねぇか。


「おい……!」

「心の中で思った声、どうでしたか?」

「どうこうじゃねぇよ……!頭が無茶苦茶痛ぇ……」


茶目っ気の笑顔を向けるスフィアにイラつきながらも拳を振るわないで眼鏡をポケットに仕舞い俺らは孤児院を出る。


たく……確かにあれは使い勝手が悪すぎる。それと、スフィアの悪戯が本当に洒落にならない。まだ頭がガンガンと痛い……。


「(ふふ……大好きですよ、エイン様)」

「何か言ったか?」

「いえ、何もありませんよ」


そうか……。何かとんでもない事を言っていた気がするが気のせいか。


だが、これでこの街でやるべきことは終わりを遂げた。後は向こうが食いつくだけだな。


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