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転生した鬼は元クラスメイトを地獄へと誘う  作者: 月のウサギ
一章 復讐者の慟哭
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ダンジョン

 翌日、同じ宿に泊まっている連中よりも早く起き仮面をつけ荷物を持ってダンジョンに向かう。


 本来なら革鎧とか剣とか装備すべきだが……鬼族の皮膚は革鎧を越える硬度と剣を越える固さがある。逆にそれは無駄なだけだ。


 ……宿を出るときスノーに「可愛い顔をしてるのですから外して下さい」と言われ無理矢理外されそうになってしまった。


 何とか死守したが……対外的には俺が鬼族だって知られるのは今はまだダメだ。てか、俺の顔はそんなに可愛いか?確かに童顔であることは認めているが……。


 まぁ、今はその事については考えるのはやめておこう。


「へぇ……案外暗くないな」


 ダンジョンに続く階段を降りたどり着いたダンジョンに率直な感想を口から洩らす。


 ダンジョン内部は白磁のような壁や床で覆われ、僅かに放つ光は反射して入り口の見た目より明るい。


『白亜の迷宮』と呼ばれるだけあって見るもの全てが白磁のような病的な白さで包まれてる。僅かに聞こえる魔物の雄叫びさえなければ、更によく調べれたが……まぁ、別に良いか。


『グギィ!!』

「邪魔だ」


 宿を出る前にスノーに押し付けられた地図を頼りに進んでいると脇道からインプが飛び出してくる。


 爪に触れる直前に見てから後ろに下がり避けるとバク転しながら蹴り上げ天井の染みに変える。


『インプ』。ゴブリンと同じく最下級の魔物として知られてる魔物。体長はゴブリンと同じくらいで体は灰色、耳が尖り白目のところが黒いのが特徴。身体能力はゴブリンよりも上だかゴブリン程の繁殖力はない。


 まあ、この感触だとそこまで耐久力は無さそうだた。人族とそう大差はないか。


『『『『グギギギギギギ!!』』』』


 染みになったインプの体が霧散し魔石を落としたので回収していると、曲がり角の奥から複数のゴブリンの群れが現れる。


 ……数は十体か。


「イージー」


 唇を舐め好戦的に笑うとゴブリンの群れに突っ込み手刀を振るう。


 振るわれた手刀は無防備のゴブリンたちの首を跳ねられ霧散していく。


「この程度なら片手間で終わってしまうな」

 あまりの弱さに文句を呟きながら魔石を回収し終え腰に付けた袋に積めると立ち上がって歩き始める。


 俺は戦闘狂ではないが、弱すぎて話にもならないのはあまり好きではない。殺しあいはあくまで命のやり取り、作業では決してない。


「……ここが階段か」


 地下に続く階段を見つけると辺りを確認して気配を消して静かに降りていく。


 さて、どんなものがあるかな。



『ブモオオオオオオオオオオオオ!!』

「うっせぇ!!」


 雄叫びをあげて突進してくるオークの腹を蹴り飛ばし壁に叩きつけて起きるよりも速く肉薄し心臓を貫手で穿つ。


 霧散したところで背後から振り下ろされる棍棒を左手で受け止め回転扉のように力を右手に流し貫手で腹を穿つ。


『ブモォ!?』

「遅い」


 困惑と痛みで声をあげるオークの腹を真上に切り裂き霧散させる。


 辺りから魔物の気配が無くなったところで魔石やドロップアイテムを回収し狭いホールの中に隠れながら休息をとる。


 十一階層。オークたちが出てきたところで俺は戦いまくった。体力的、精神的には問題ないにしろ、量が多い。


 先ほどもオーク二十体をたった一人で殲滅したのだ、これが連続する訳ではないにしろ休息を取った方が良い。


「予想以上にシビアだが……成る程、ランク付けの理由がはっきりと分かる」


 ダンジョンの厳しさは方向性は違えどかなりのものだ。厳しいランク付けにもそれなりの理由がある事が理解できる。


 鬼族だからたった一人で持続して戦闘出来るが他種族だと複数のパーティを組まなければすぐに押し潰されるだろう。……魔法に特化した森人族は違うだろうがあいつらは俺ら以上に風習を重んじるから外に出る事はないからここでは関係ないか。


 ランクを見誤り犠牲が多く出るとギルドの収入も減る。それを回避するためにギルドはランクに厳しいのか。


 ……本能で襲ってくるのはやはり慣れない。対人戦ばかりやってきたのが原因だろうか。一週間程集中してダンジョンに潜って慣れた方が良さそうだ。


「さて……」


 休憩を終えると気配を消して歩き始める。


 この階層はオーク以外にも多くの魔物が出現する。警戒に越した事はない。


『モオオオオオオオオオオオオ!!』

「早速お出ましか……!」


 背後から振り下ろされる石斧を真横に避け瞬間的に加速し腹を蹴り間合いをとる。


『モオオオオオオオオ……』

「へぇ……ミノタウロスか」


 腹を抱えながら獰猛に睨み付けてくるミノタウロスに俺も好戦的に睨み付ける。


『ミノタウロス』。牛の頭と人の体を持つ異形の魔物。黒い毛皮に曲がった角、オークよりも小さいながらも引き締まった肉体。俺と同じく戦いに特化した生き物だ。


 スノーが「中層で最も多くの魔物はミノタウロスだから注意して下さい!」とは言っていたがここまで良さげな魔物がいるとはな。


「良いぞ、やはりこうでなくては」

『モオオオオオオオオ!!』


 体を屈め激震と共に地面を蹴るミノタウロスに合わせるように地面を蹴る。


 斧の間合いに入った瞬間振られる石斧を跳躍して回避し天井を蹴って降りるのと同時に回転して蹴りを入れようとするが右腕に防がれ振り払われる。


 筋肉が固い。打撃は効かなさそうだな。せいぜい、距離を開けるくらいにしか使えない。


「まぁ、別に構わないけど」


 地面に足がついた瞬間地面を蹴り鈍化した世界で振り下ろされる斧を避け左の手刀で胸を切り裂く。


『モオオッ!?』

「どうやら、反射神経と動体視力は普通か」


 痛みでのけ反ったところに右手の拳を打ち込み距離を取りつつ間合いを広げる。


 だがまぁ……筋肉の密度は向こうが上か。攻撃を当てる事は楽だが、傷が浅い。連続して攻撃して殺す……はいつ魔物が出現してもおかしくないから却下だ。


 ……仕方ない。この方法はあまり好きではないのだが勝つためだ、やらせて貰おう。


『モオオオオオオオオオオオオオ!!』

「……こい」


 石斧を捨てて身を屈め突進してくるミノタウロスを鈍化した世界で見ながら突進を避ける。


『モオオオオオオオオオオオオオ!?』


 すれ違い様に眼球を左手で抉り出すとミノタウロスは無くなった目に手を当て咆哮は悲鳴に変わる。


 手刀による切断や心臓や腸の抜き取りと違って死ぬまでに痛みが長く続くからあまり好きではない。


 だから、次はすぐに殺せるようにしないとな。


『ブモ―――』


 悶絶するミノタウロスの背後に肉薄し心臓を強引に穿ちミノタウロスを霧散させる。


 貫手の力をオークたちよりも力を込める必要があるが……最適の力を掴むためにも、何匹か殺しておきたいところだな……。


『『『『モオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』』』』

 魔石とドロップアイテムの毛皮を回収して終えたところでミノタウロスの雄叫びが聞こえ、ニヤリと笑いながら立ち上がる。


 ……ちょうど良いところにミノタウロスが大量に出現したようだ。距離も近いし、試し切りの材料になって貰うか。




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