異世界召喚
西暦2040年6月1日 日本 首相官邸
「首相!緊急事態です!」
熨斗首相が国防省の幕僚達や国防大臣との会議中に、一人の官僚が顔を真っ青にしながら飛びこんできた。
「落ち着きたまえ、おそらくだが中国が攻撃してきたのだろう」
「は、はいそうです。第2護衛艦隊群がミサイル攻撃をうけています。」
「・・・国防大臣」
「はっ!」
熨斗首相の言葉を受け一人の男が立ち上がる。
「日本国は現時点をもって戦争状態に入ったと仮定する。国防大臣は統合幕僚会議議長と合流し、司令部に向かってくれ。私は中国た「ピシャァァァァァァァァァァァ」いッ!?」
唐突に窓の外から強烈な光が差し込み、熨斗首相はおもわず話しを止めて身をかがめてしまう。
「くっ、何だ!?中国の攻撃か!?」
「ま、まぶしいぃぃ!!」
「目が目があぁぁ・・・」
会議室にいた幕僚や国防大臣が次々と悲鳴をあげている。特にさっき入って来た官僚なんかは、手で目を塞ぎながら某大佐のセリフを言っていた。
しばらくすると光がおさまり、悲鳴も治まっていた ・・・あの官僚以外は
「生きてるって事はさっきの光は核じゃなかったってことたぜ」
「ああ、もし核なら東京がまるごとお陀仏だ」
「ではさっきの光はいったい・・・?」
幕僚たちが光の正体について話し合うなか熨斗首相は立ち上がり
「皆、会議は一度中止にする。さっきの光の正体が中国と関わっている可能性がある以上ここは危険だ。続きは地下にある危機管理センターで全大臣を集めて閣議をおこなう。いいな?」
「「「「「わかりました」」」」」
「では、解散」
熨斗首相を守るように幕僚達が会議室から退出していった。廊下での移動中、熨斗首相は秘書が駆け寄ってきた事に気が付いた。
「首相、JAXAから衛星との通信が途絶えたとの連絡が」
「衛星との通信が途絶えただと!?」
この時はまだ、常識では考えられない事態が起こっているなどまだ誰も予想できていなかった。
「ああ、目が目がああぁぁぁぁ!!」
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神仰歴1371年6月1日 東文明圏 大統和皇国 津田藩
数多の島々や大陸が存在するこの東文明圏に俗するここ津田州は、四国ほどの大きさの島をもち50万の領民をもつ中小規模の藩である。
そして今、その港では100隻を越えるであろう赤塗の朱印船が並び、鎧や着物を着た多く人達が乗船していて、その中でも一際目立つ巨大な船に赤黒い刀を差した一人の男がいた。
「兵の武士よ!陰陽を司る者よ!そして天の神よ!我が声を聞け!我が名は津田藩統領津田宗泉なり!我々は大統和皇国を治める正当なる朝皇陛下の名において、偽者の朝皇を掲げる神武朝廷国を亡ぼすべくまずは名賀野藩で虐げられる人々を解放・・すべく進軍する!全軍出撃!!!」
「「「「「 ウオオォォォォォォォ!!!! 」」」」」
「 朝皇陛下万歳!! 」
「「「「「 朝皇陛下万歳!! 朝皇陛下万歳!! 朝皇陛下万歳!! 」」」」」
兵士達が雄叫びをあげるなか近くの家に住む夫婦が目を覚ました。
「うるせぇな、まだ陽が昇ってねぇじゃねぇか」
「しー!あんたそれ聞かれたら朝皇批判で打ち首だよ」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、聞こえやしねーて」
「そうやけど、用心せんなあかんて、お腹で寝てる子がいるやんから」
「わかってるよ、にしても今日出兵するとは大丈夫なんかな?きのうのアレが何なのか分かってねぇのに」
「きのうのアレね、アレはびっくりしたわ海の遠くらへんがいきなり光ったんだもの」
「そうだな、 ・・・お!ついに出発するみたいやな、はーこれでまた眠れるわ」
「私も眠たくなってきたわ あなた、おやすみ」
「うん、おやすみ」
真っ暗な夜、朱印船は風をうけながら大海をつき進む、敵国の名賀野藩に住む人々を解放するために・・・
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