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異世界国家生存記  作者: ラム肉
序章
1/5

世界に響くは大戦の足音



 西暦2040年6月1日



その日、世界は第三次世界大戦の一歩手前まで進んでいた。

半年前、突如としてアメリカと中国双方の一個艦隊が、丸々その姿を消した。通信も何も残さずまるで最初から何も居なかったように。


しかも運が悪い事に、両艦隊は距離がそこまで離れておらず。

また中立な調査をするために、派遣された国連の調査団は、艦隊が消えた海上で高い放射線を検出したのだ。


中国政府は、この調査結果を踏まえ、全ての責任はアメリカにあると主張。


「この艦隊が消滅した原因は、当時近くを航行していたアメリカの試作型核融合炉搭載戦艦ミューリセス・レアーナでなんらかの事故が発生し、結果として核爆発を起こし我が国の艦隊ごと吹き飛ばしたのである!アメリカ政府は今すぐ弁償金と核融合炉関連の全技術を引渡し、中国政府と遺族への謝罪を行うことを我が国は要求する。」


という内容の声明を発表、これに対してアメリカは、そのような事故が起こることは絶対にありえない事で、もしなんらかの事故やトラブルが発生しても核融合炉内のプラズマが消滅して機関が停止するだけであり、中国が主張するような核爆発は起こらないと反論。


やがてお互いが声明を発表してから3ヶ月後、しびれを切らした中国は艦隊を日本の領海ギリギリで展開させ、一週間以内にアメリカが要求を飲まなければ、日本をふくむアメリカの全同盟国に対して宣戦布告を行うと発表。


この発表を受けた日本の首相は、我が国は無関係であると遺憾の意を示し抗議を行うが中国側は無視。


首相は最悪のケースに備え、憲法改正によって国防軍へと昇格した日本国海上自衛隊を領海に展開、さらにアメリカへの援軍を要請。


アメリカ側はこの要請を受諾、艦隊を派遣し世界はいつ新たな世界大戦が起こってもおかしくない状態になっていた。



 西暦2040年6月1日 日本 首相官邸



「「「「「 戦争反対! 戦争反対! 戦争反対! 」」」」」


「「「「「戦争しようとする熨斗内閣を許すなぁー!」」」」」


「「「「「熨斗首相は今すぐ辞任しろぉー!」」」」」


「・・・熨斗首相って漢字で書くとどうだったけ?」

「熨斗首相なら漢字で書くと(熨斗)ってなるぞ」

「お!そうだったなこれでプラカードが書けるぜ!ありがとよ」


「「「「「 戦争反対! 戦争反対! 戦争反対! 」」」」」


1週間前の発表から連日続くデモ隊の行進、それを見ている一人の男がいた。


「・・・」

「熨斗首相、コーヒーを持ってきました。」

「・・・ありがとう、コーヒーは机に置いといてくれ」


このコーヒーを受けとった人物こそ日本国総理大臣 熨斗(のし)昭和(あきかず)首相である。


「またデモ隊を見てるのですか」

「・・・前の世界大戦が終わってからすでに100年以上が経過し、戦争を体験した人がなくなった今、世界は再び大戦を勃発しようとしている事が虚しいのだ。・・・それで、中国の本当の狙いについて何か判った事はあるか?」

「はい、これが調査結果のレポートです。ご覧ください」


秘書は数枚のA4用紙を熨斗首相の机に置いた。


「やはり中国の本当の狙いは尖閣諸島を奪取することか」


レポートには 偉大な人民開放軍による魚釣島の奪還と入植を行うためにいかに邪魔な日本のゴミ共を排除するか と書かれていた。


数分後、レポートを読み終えた首相は電話をとり


「国防省の幕僚につないでくれ大事な話がある」


 ・・・・・・

 ・・・・

 ・・




 西暦2040年6月 尖閣諸島沖 いすか級イージス艦 いすか



「総員、常時警戒体制を続行せよ」


日本領海で展開する艦隊の一つ 第2護衛艦隊群 所属のいすか級イージス艦いすかの山田艦長は、いつ攻めてくるか分からない中国艦隊に睨みをきかせていた。


(中国め! 1週間前のあの発表さえなければ!俺は今ごろかわいくてキュートな(てんし)と共に遊園地で!あんなメリーゴーランドことしたりこんなきぐるみショーのを見に行ったりして「パパ、ありがとう!」って言ってもらっていたのに、中国の!ゴミどもがぁぁぁ!俺の娘とのラブラブ思い出作りをブチ壊した罪!万死に値するぞ!一人残らず血祭りにあげてやる!!!)


 「・・・艦長、まだ遊園地のことで怒っているんですか?」

 「うん?もしかして声にてでたか?」

 「ででませんでしたけど、艦長が考えていることぐらいたった1年間努めただけの隊員でも分かります。」

 「おお!そうかそうか俺の考えが分かるってことはつまり、てんしへのラブパワーがついに身に付いたってことだな!よし!お前達は今日の夜艦長室に集合な!そこで娘てんしを奉り崇める会をするぞ!」

 「「「「「いえ、結構です。」」」」」


 艦長が後ろでそう恥ずかしがるなよとか言っているが、誰も恥ずかしがっていないしただ呆れているだけである。どうやって艦長の興奮を止めようかと考えていたその時、騒々しいサイレンが艦内に鳴り響いた。


「艦長!我が艦がレーダー照射を受けています!」

「何だと!まさか宣戦布告もせずに攻撃するつもりか!」

「多数の熱源を感知!ミサイルです!」

「応戦だ!迎撃ミサイルを撃て!ECMも放射しろ!」

「振り分け完了!迎撃ミサイル発射!」


この艦だけではなく第2護衛艦隊群の各艦から大量の迎撃ミサイルが発射。敵ミサイルと衝突し次々と爆発していった。


「敵ミサイル抜けてきます!」

「主砲、CIWS!迎撃開始!」


ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

ゴオオオオオォォォォォォォォォォ!!!


「別角度からミサイルが接近!距離1200!」

「1200!?なぜそんなに近いんだ!ステルスか!」

「主砲、ミサイル迎撃間に合いません!」

CIWSシーウィズはどうだ!?」

CIWSシーウィズは現在、弾倉を交換しています!」


いすかに近づくミサイルは直撃するまで残り十秒を切っていた。


「くっ総員!対ショック用意!」

(ああ、もう一度(てんし)と会いたかったな・・・)


ミサイルは刻一刻と接近しそして





















全ては光に包まれた。




そこに残ったのは本来いすかがあるべき場所にミサイルの爆発による水柱が立っただけだった

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